明治大学、苦しい試合を制してよかったこととは?【ラグビー旬な一問一答】
大学選手権の準々決勝が12月21日、各地であり、東京・秩父宮ラグビー場では昨季王者の明治大学が関西学院大学に22―14で競り勝った。4強入りを決めた。
勤勉さと強さを持ち味とする明治大学は、今季、加盟する関東大学対抗戦で全勝優勝。しかしこの日は、関西大学リーグ戦3位の関西学院大学に苦しめられた。
選手権には5大会ぶりの出場となった関西学院大学は、序盤から鋭く前に出る防御で明治大学に圧力。牟田至監督曰く「プレータイムを削る」と、彼我のフィジカリティの差を試合展開に影響させない工夫も凝らした。スクラムでも応戦した。明治大学は前半を12―7で終え、後半の先取点を奪うまでに27分の時間を要した。
しかし、この苦しいゲームを乗り越えたことに価値があったとも取れたか。試合後、田中澄憲監督と武井日向キャプテンが会見した。
以下、共同取材時の一問一答(編集箇所あり)。
田中
「3週間ぶりのゲームだったのですけど、まずは関西学院大学さんの素晴らしいファイト。そういう意味では引き締まったゲームになったと思います。関西学院大学さんから学んだことを活かして東海大さんにいいチャレンジをしたいです」
武井
「勝ち切れたことだけは本当に良かったです。次につながるチャンができたということなので、1月2日までにきょう出た課題を修正し、もっと成長したいです」
――山沢京平選手、森勇登選手、山村知也選手が欠場していた。メンバーをローテーションで変えていたのか。相手との力関係をどう読んでいたか。実際の出来は。
田中
「メンバーはローテーションということではないです。小さな怪我、コンディションが悪いことがあったので、コンディションのいい選手を出したというだけです。ゲームに関しては、理想は、全然違います。それは皆そう思っていると思います。メンバーが変わって、1年生も入っていた。難しい試合になるなとは思っていました。しかし、そのなかでも齊藤誉哉は、いきなりの大学選手権でプレッシャーがあったろうなか、そつなくこなしてくれた。本当にいい経験ができたと思います。
(欠場者は)回復すれば、もちろん使いたいです。関西学院大学さんだからこのメンバーと言うのは決してない。現状のベストメンバーを選びました。次も誰が帰って来られるかわからない。そこで、ベストなメンバーを組みたいです」
――試合全般を通し、力を発揮できなかったとしたら、なぜだったか。
武井
「厳しい展開は大学選手権ということで予想ができたんですけど、そのなかで、僕自身も含め、ああいう場面でのまとめる力、ひとつの方向を見てプレーするという修正能力が、まだまだ甘かったと感じます。(加盟する関東大学)対抗戦でそうした厳しい(試合)展開があまりなかったので、ああいう場面でも修正できるようなチームになっていけたらと思います」
――ハーフタイムにはどんな話を。
武井
「フォワード、バックスのなかでどう修正するかを話し合って、1人ひとりの役割を全うしようと話しました」
田中
「やるべきことをやるということ。バックスでは何となくプレーしていることが多かったので、どういうプレーをするのかの意思表示をするように後半に向かいました」
――選手権前までの期間はどんな練習をしてきたか。
田中
「特別なことはしていません。自分たちがやっていることのさらに小さいこと、ディテールにどこまでこだわっていくか、積み上げていくかにこだわってきた。試合まで3週間空いた難しさは特に意識してなかったんですけど、関西学院さんのファイト、これだったんだと思います。自分たちの力を出せなかった関西学院さんが素晴らしかったと思います」
――スクラムでコラプシングを取られた。
武井
「関西学院大学さんが、シンプルに強いというのは感じました。そのなかで関東ではなかなか経験できない組み方もあったので、それへの対応が…。完璧に修正しきれなかったのが課題でもあります。スクラムが劣勢だった試合は経験したことがなかったので、それを経験できたことは大きかったです」
――1月2日の準決勝では東海大学と対戦する。
武井
「東海大学さんもスクラムに自信を持っているので、そこに対して自分たちのスクラムを組む。優劣もあると思うので、しっかりスマートに戦いたいです」
田中
「セットプレーには対応する。あとは、ひとりひとりがやるべきことをしっかりやらないとこういうゲームになると思うので、パスを放るところへ放る、タッチにはしっかり出すというシンプルな部分をしっかりやっていきたい」
――リーダー陣に要求は。
田中
「今季リーダー陣がしっかりやってくれている。何も求めることはない。長くても1月11日まで。そういうものを捉えながら毎日どう過ごすかというところが、4年生、リーダーの仕事になってくると思います」
武井の言葉通り、今季の明治大学は対抗戦で快勝続き。ミスが重なり一時リードを許したこの一戦を乗り越えたことは、新たな財産となりうる。