太陽系は宇宙の巨大空洞のど真ん中に位置している!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「太陽系は星間物質の巨大空洞の中心にある」というテーマで動画をお送りしていきます。
●宇宙空間にある物質の密度
宇宙はよく「真空」と表現され、全く物質が存在していないイメージがありますが、実際には非常に低密度ながらも物質が存在しています。
例えば太陽系内の空間にある物質は「惑星間物質」と呼ばれ、その密度は太陽からの距離が遠いほど低くなります。
地球の付近で言えば、密度は1立方センチメートルあたり水素原子が5個ある程度に過ぎません。
ちなみに地球の大気中には1立方センチメートルあたり10^19個(1000億のさらに1億倍)以上の粒子が存在しているそうなので、いかに惑星間物質が低密度で存在しているのかがわかります。
そして太陽系から離れ、恒星と恒星の間の空間にも「星間物質」と呼ばれる物質が存在していますが、こちらはさらに低密度であり、銀河系の平均で1立方センチメートル当たり0.5個の水素原子がある程度に過ぎないようです。
●星間物質の空洞「局所泡」
そんな中、これまでの観測によって、太陽系を含む近傍の宇宙空間には、「局所泡」と呼ばれる星間物質が非常に希薄な領域が広がっていることが、数十年も前から明らかになっています。
先述の通り銀河系の星間物質の平均密度が粒子0.5個/cm^3だったのに対し、この局所泡の中では粒子0.05個/cm^3しか存在せず、泡の外と比べて10分の1の密度しかありません。
このような低密度領域は、中心部付近の同じ場所で短い間に連続して超新星爆発が起き、その衝撃によって周囲の星間物質が押し出されることで形成されたと考えられています。
そのため泡の表面は星間物質が圧縮された高密度領域になっており、そこでは新たな星が誕生しやすくなっていると考えられています。
●局所泡の成長と影響の再現に成功
以下はアニメーションを交えつつ解説をしていますが、ここでは静止画しか貼れないので、YouTube動画の2分46秒~も併せてご覧ください!
先述の通り局所泡の存在自体はかなり前から知られていましたが、2022年1月12日とつい先日、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターなどの研究チームが、局所泡の成長や周囲への影響などを表現したアニメーションを公開しました。
このアニメーションでは、今から1400万年程度前の数百万年間という宇宙規模で言えば短期間で、約15個もの超新星が連続して発生することで、局所泡が形成されています。
局所泡の膨張に伴い、その表面に押し出されたガスによって高密度領域が形成され、そこで高温で青く輝く大質量の星々が形成されている様子も描かれています。
局所泡の表面には7つもの有名な星形成領域や分子雲が存在しています。
局所泡は現在でも秒速6.5kmという速度で膨張を続けていますが、これでも勢いは非常にゆっくりになっているとされています。
実は太陽系は、最初から局所泡の中心部に存在していたわけではなく、約500万年前に局所泡に突入し、現在の中心部付近に至るようです。
現在の太陽系の位置からは局所泡の表面で起きている星形成の過程をしっかりと観測することができるため、研究チームは偶然太陽が局所泡の中心部に存在していることを「非常に稀で幸運なことである」と表現しています。