久保建英よりも、鈴木優磨もよりも気になる鹿島の18歳
前半を抑えて戦い、後半に勝負を懸ける。昨季のチャンピオンシップ以降、このパターンがすっかり板についた感のある鹿島。先日の大宮戦(アウェイ)の勝利も、この形そのものだった。
これで開幕5連敗となった大宮を弱者とすれば、鹿島は日本サッカー界における強者だ。つまり、後半33分まで0−0で推移する展開は、鹿島にとって苦戦を意味する。勝利を宿命付けられたチームは焦る。その結果、バランスを乱す。普通ならば。後半勝負のスタイルは、強者という立場にある鹿島には、ともすると不向きなように思える。
だが、鹿島は焦らない。むしろ、それまで健闘してきた相手の方が焦り出す。根比べに敗れ、浮き足立ち、崩れる。大宮戦で土居聖真がマークした決勝点も、大宮の最終ライン、河本裕之の軽率なミスパスに起因する。レオ・シルバがカット。鈴木優磨のラストパスを経て、土居のゴールが誕生した。
鹿島でいま売り出し中の選手といえば、そこでアシスト役を演じた鈴木になる。現在20歳。若手の人材難に悩む日本サッカー界にあっては貴重な存在だ。スポーツニュース等々の試合後の報道も、「得点だけではなくアシストプレイでも光る才能を見せた」と、鈴木をメインで伝え、持ち上げた。しかし、僕にはそれが多少、無理くりに感じられた。そのアシストプレイは、そこまで褒めるほど、正確無比ではなかったし、土居に向けた同じラストパスなら、その少し前に安部裕葵が送球したモノの方が、企画性の高い、きらりと光る洒落たプレイに見えたからだ。
土居のシュートはGKにセーブされた。得点には至らなかった。あまのじゃくなこちらの心は、それだけに揺れた。鈴木優磨ではなく、安部裕葵のラストパスに。
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