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予告したものの10月中の北朝鮮の3度目の軍事偵察衛星発射は時間切れ!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
発射に失敗した北朝鮮の軍事偵察衛星(労働新聞から)

 北朝鮮が今月中に予告していた軍事偵察衛星の発射は時間切れとなり、11月以降に持ち越されそうだ。

 偵察衛星を発射する担当機関の北朝鮮の国家宇宙開発総局は8月の2度目の発射が失敗に終わった時「当該事故の原因が段階別エンジンの信頼性とシステム上の大きな問題ではない」と説明し、「原因を徹底的に究明して対策を立てた後、来る10月に第3次偵察衛星の打ち上げを断行する」と宣言していた。

 北朝鮮は1回目の発射の時は5月29日に日本の海上保安庁に「5月31日から6月11日の間に打ち上げる」と通告し、予告から2日後の5月31日(午前6時27分)に発射していた。

 また、2回目の発射では8月22日に同じく海上保安庁に「8月24日から31日までの間に打ち上げる」と通告したうえでこれまた2日後の8月24日(午前3時50分)に発射していた。

 今月は今日(27日)を含めて残り4日間である。本日中に予告があれば、今月中の発射の可能性もゼロではないが、北朝鮮は発射予告期間を1回目は12日間、2回目は8日間を置いていた。

 この2回のケースとは別に北朝鮮は2009年4月5日、2012年4月13日、そして2016年2月7日と3度「人工衛星」と称する発射を行っているが、2009年の時は3月13日に「4月4-8日の間に打ち上げる」と国際民間航空機機関(ICAO)と国際海事機関(IMO)に通告し、予告から41日目の4月5日に発射していた。

 また、2012年4月の時も3月16日に「4月12-16日の間に打ち上げる」とICAO)とIMOに通告し、予告から27目の4月13日に発射していた。

 さらに、2016年2月の発射時は2月2日に国際電気通信連合(ITU)に「2月8-25日の間に発射する」と通告したうえで12日に発射していた。予告から12日目の発射だった。

 前例からして、「3日以内に発射」の通告は常識外で船舶の安全を管理する国際海事機構(IMO)、国際航空運送の安全を管轄する国際民間航空機関(ICAO)も容認しなし、国際社会の批判を浴びることになるであろう。

 北朝鮮は国家宇宙開発局を4月18日に訪れた金正恩(キム・ジョンウン)総書記が軍事偵察衛星を「正当な防衛権」と主張していることから今回も発射予定日を国際機関に事前通告するものと思われるが、現在のところ、東倉里の西海衛星発射場での動きもなく、ロケットに液体燃料を注入した兆候も感知されていないことからどうみても今月中の発射の可能性はゼロに等しい。

 但し、米国がオバマ前政権下の2014年初期から北朝鮮の核とミサイル技術の進展を遅らせるため「Left of Launch」(発射直前攪乱)と称されるサイバー・電子戦能力の増強に努めていたことから北朝鮮が仮に前回2度の失敗原因がいずれも米国による電波妨害によるものと疑っているとすれば、大陸間弾道ミサイル「火星17」のように不意の発射も考えられなくもないが、それも非現実的である。

 このまま公言した10月中に発射ができないとなると、北朝鮮はこれまで核実験とミサイル発射に限っては「有言実行」してきただけに相次ぐ失敗に続き、再び面子を失うことになるであろう。

(参考資料:再度の偵察衛星発射失敗で金正恩総書記の権威失墜!)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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