レンタル・プレーヤーの動向。ワールドシリーズMVPは残留し、元MVPは新天地へ。Uターンする選手も
この夏、マニー・マチャドはレンタル・プレーヤーとして、ボルティモア・オリオールズからロサンゼルス・ドジャースへ移った。この場合のレンタルとは、シーズン終了後にFAとなるため、獲得した球団の保有期間が数ヵ月にとどまることを指す。英語でもこう表現するが、必ずしも元の球団へ戻るわけではない。
マチャドをはじめ、レンタル・プレーヤーの大半はFAのままだが、ストーブリーグの幕開けから1ヵ月が経ち、来シーズンの球団が決まった選手もちらほら出ている。
テキサス・レンジャーズからシカゴ・カブスへ移ったジェシー・チャベスは、レンジャーズへ戻った。ヤフー・スポーツのジェフ・パッサンは、2年800万ドル程度の契約とツイートしている。A→B→Aと動くこのパターンは、まさに「レンタル」と呼ぶのがふさわしい。2年前には、アロルディス・チャップマンがニューヨーク・ヤンキースからカブスへ移り、ワールドシリーズで優勝した後、FAとなってヤンキースへUターンした。
今年のワールドシリーズMVPに選ばれたスティーブ・ピアースは、6月に彼を放出したトロント・ブルージェイズではなく、獲得したボストン・レッドソックスと契約し、結果的にレンタルではなくなった(ピアースの契約については「FAになったワールドシリーズMVPの去就。レッドソックスは再契約したが、過去には松井秀喜らが退団」で書いた)。
ピッツバーグ・パイレーツからドジャースへ移ったデビッド・フリーズも、ドジャースと1年450万ドルの契約を結んだ。ピアースの7年前には、こちらもワールドシリーズMVPを受賞している。
レンタル・プレーヤーになる可能性もあったが、そうならなかった2人も、ピアースとフリーズのパターンに近い。コール・ハメルズはレンジャーズからカブス、フェルナンド・ロドニーはミネソタ・ツインズからオークランド・アスレティックスへ移り、どちらもFAとなる直前に、球団オプションを行使された。来シーズンの年俸は、ハメルズが2000万ドル、ロドニーは525万ドルだ。A→B→Bのパターンでは、昨シーズンのジャスティン・アップトン(デトロイト・タイガース→ロサンゼルス・エンジェルス)のような例もある。アップトンは6年1億3275万ドル(2016~21年)の残り4年8850万ドルをオプト・アウトし、FAになる権利を持っていたが、エンジェルスと5年1億600万ドル(2018~22年)の延長契約を交わして残留した。
一方、ミルウォーキー・ブルワーズへ移籍したホアキム・ソリア(シカゴ・ホワイトソックス→)とジョーダン・ライルズ(サンディエゴ・パドレス→)は、ブルワーズにオプションを破棄された。ソリアの相互オプションは1000万ドル、ライルズの球団オプションは350万ドルだった。カンザスシティ・ロイヤルズから移り、彼らとチームメイトになったマイク・ムスタカスも、相互オプション(1500万ドル)の行使はなし。こちらはムスタカスが却下したらしいが、そうしなくてもブルワーズが破棄していたはずだ。
シーズン途中に放出した球団と獲得した球団ではなく、別の球団と契約する選手もいる。A→B→Cだ。3年前にブルージェイズでMVPを受賞し、この夏にクリーブランド・インディアンズへ移ったジョシュ・ドーナルソンは、アトランタ・ブレーブスと契約した(「若手がブレイクした三塁に、ベテランを高額で迎え入れた狙いはどこにある!?」)。引退を表明したブラッド・ジーグラー(マイアミ・マーリンズ→アリゾナ・ダイヤモンドバックス)も、このパターンに含めていいだろう。
なお、スンファン・オ (呉昇桓)はブルージェイズとコロラド・ロッキーズで計73試合に投げ、来シーズンの球団オプション(250万ドル)が確定する、70登板の条件をクリアした。よって、このままいけば引き続きロッキーズで投げることになるが、聯合ニュースによると、本人は韓国復帰を考えているという。