主要動画配信事業者のユーザー実情をさぐる(2023年公開版)
動画提供の仕組みは作品ごとの切り売り、定額見放題方式など多々あるが、インターネット技術の進歩と普及に伴い、有料動画配信を事業とする事業者も多様におよんでいる。今回は日本映像ソフト協会が2023年5月に発表した、日本の映像ソフト協会そのものやソフト関連の実地調査結果を絡めた白書「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査」の最新版(※)を基に、主要(有料)動画配信事業者における、利用者の実情を年齢階層別で確認する。
次に示すのは主要な(有料)動画配信事業者の利用者について、年齢階層別の構成を確認したもの。例えばAmazonなら15~19歳の値が5.6%となっているので、Amazonによる動画配信事業を利用している人の5.6%は15~19歳で占められていることになる。調査対象は15~69歳なので、14歳以下と70歳以上の人は勘案されていない。また事業者について今回調査ではYouTubeは対象となっていない。
それぞれの事業者のサービス内容、料金システム、利用に必要な機材など多様な条件の違いがあるため、すべての事業者が同じような年齢階層別の構成比をするはずなどないのだが、個々の事業者毎のサービスの特性が顕著に表れていて興味深い。
NetflixやHulu、U-NEXT、Disney+では若年層が多めだが、これはデジタル系との相性のよさによるものだろうか。特にU-NEXTでは30代までで半数近くを占めている。AmazonやWOWOWは他の事業者と比べると50代以降の利用者が多い。とりわけWOWOWでは50代と60代で過半数を占めている。
このグラフはそれぞれの利用者内での年齢階層別構成比を見たものだが、公開値を用いて概算ではあるが、全体(有料動画配信を利用していない人も含む)比を算出したのが次のグラフ。例えばAmazonなら全体の14.7%が利用しており、そのうち0.8%は15~19歳で占められている。
Amazon利用者の圧倒的な多さがあらためて確認できる。15~30代までで単独ならばNetflix全体とほぼ同じ、それ以外の主要事業者のいずれよりも多い利用者を確保している計算になる。
あくまでもこれは有料の動画配信サービスに限った話ではあるが、各社の立ち位置は大いに参考になるに違いない。
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※「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査」の最新版
2023年1月にインターネット経由で実施されたもので、調査対象は16~69歳。一般調査は1744人、有料動画配信の内情調査は1383人を対象としている。いずれも男女・年齢・インターネットの利用状況に関するウェイトバックがかけられており、調査対象母集団の属性に関する偏りは最小限に抑えられている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。