全米史上最悪の93人連続殺人犯(シリアルキラー)死亡:日本の場合はどうなるのか
連続殺人は、何人もの人を淡々と殺していく殺人です。一度に大量の殺害をする大量殺人とは異なります。
■全米史上最悪の殺人犯 93人殺害自供のサミュエル・リトル受刑囚死去
サミュエル・リトル(80歳)は、2014年に3人の殺人による終身刑の判決を受けて受刑中でした。しかしその後、彼は1970年から2005年にかけて29州37都市で93人もの人を殺したと供述していました。
逮捕された人間が、実際より大罪を犯したと吹聴することは珍しくなく、警察も安易に信じたりはしません。
しかし、サミュエル・リトルの供述は真実性が高く、FBIは少なくとも50件の殺人を認めていました。
こんなに多くの人を殺害していると、記憶が混乱しても不思議ではありませんが、彼は驚異的な記憶力を示し、一件一件の殺人を語りました。
FBIは、彼の供述に沿って捜査を続けていましたが、12月30日、サミュエル・リトルは死亡しました。
■被害者の特徴と犯行動機
被害者のほとんどは女性で、身寄りのない麻薬常習者やセックスワーカー(売春婦)が多くを占めています。犯行動機には性的なものがあるようですが、単なる性欲だけではない快感を殺人から得ていたようです。
彼は、犯行時には「マリリン・モンローと一緒にベッドにいるように感じました!」と語っています。
■なぜ逮捕されずに93人も殺害できたか:連続殺人とは
サミュエル・リトル自身は、「殺害したら、すぐに街を出たからさ」と答えています。
連続殺人は、一度に大量の人を殺害する大量殺人とは違います。
大量殺人者は、自分の人生も終わりにしようと思っているので、その場で逮捕されることもしばしばです。逃げることはあまり考えていません。
しかし連続殺人者は、殺人を楽しみ、しばらくしてその快感が薄れてくると次の犠牲者を探すことを繰り返します。できるだけこの楽しみを続けられるように、犯罪が発覚し逮捕されないように工夫します。
殺人事件は、被害者と加害者に人間関係があると操作の手が伸びやすいのですが、今回のような行きずりの犯罪の方が逮捕が難しくなります。
また今回の被害者の多くは、その人がいなくなっても熱心に探してくれる人がいませんでした。
それでも同じ地域で次々と行方不明者が出たり、ましてや殺人が続けば、連続殺行方不明事件として注目されたのでしょうが、全米をさまよいながら、次々と目立たない人を殺害していくことで、捜査が進みませんでした。
また彼は、無職で銀行口座もなく、自分名義の車も持っていませんでした。現代社会から見れば、まるで透明人間のような存在だったのです。
■サミュエル・リトルの人生
彼の母は、獄中で彼を出産しています。彼は母親が売春婦だったと語っています。彼は祖母に育てられましたが、少年の頃から犯罪を繰り返し、少年更生施設にも入所し、高校を中退しています。
成人後も犯罪を繰り返し、職についても長続きしませんでした。
■日本における連続殺人のこれから
連続殺人者(シリアルキラー)、特に快楽殺人(殺人自体に快楽を感じる殺人)は、西洋文明の中で生まれました。
日本では極めてまれなケースであり、日本文化の中では連続快楽殺人は起こりにくいという考えもあります。しかし、しばしば欧米の犯罪の流行は少し遅れて日本でも起こることがあるために、これからは日本でも連続快楽殺人が増えるのではないかと考える人もいます。
実際、日本でも最近は連続快楽殺人と見られるケースが散見されます。
連続殺人を含めて極めて異常な殺人、猟奇殺人事件の犯人は、欧米の場合は、非常に劣悪な環境でひどい虐待を受けてきた例がよく見られます。
ところが日本の場合は、そのようなケースは少なく、むしろ熱心な教育を受けてきたような事例が見られます。
いずれにせよ、連続殺人など異常な犯罪は、単なる金目当てや怒りなどではない、深い心理的な問題が絡んでいることが多くあります。そのため、この種の犯罪の予防には、警察力に加えて心理的なアプローチも必要でになってくるでしょう。
そのためにも、個々の犯罪ケースを深く調べる必要があります。サミュエル・リトルの場合も、十分な調べの前に死亡してしまったことは、残念なことでした。