イチローとは正反対に、シーズン安打がすべて長打という選手もいるわけで
イチローが今シーズンに打った9安打がすべてシングル・ヒット(単打)であることは、「イチローが塗り替えられなかった、シングル率100%のシーズン最多安打」で書いた。一方、それとは反対に、シーズン安打がすべてエクストラベース・ヒット(長打)という選手もいる。
シングル率0%のシーズン最多安打(1900年以降)は5本だ。ディクシー・ハウウェル(1957年)とリック・ローナ(1994年)に続き、昨シーズンはサンディエゴ・パドレスのルイス・ペルドモが記録した。
ハウウェルは1957年6月16日の試合で、シカゴ・ホワイトソックスの2番手として3.2回を投げ、2打席続けてホームランを打った。他に、メジャーデビューから15年後に初勝利というトリビアも持つ(その間に従軍と捕虜生活を挟む)。
ローナは1994年が、メジャーリーグ最後のシーズンとなった。この年、4試合に出場した時点では5打数1安打(1本塁打)だったが、その後の2試合で5打数4安打(4二塁打)と固め打ちした。
ペルドモが昨シーズンに打った三塁打4本は、投手による三塁打の過半数を占めた(ペルドモ以外は3投手が1本ずつ)。また、自らは長打を「量産」しながら、投げては多くのゴロを打たせ、ナ・リーグ最多タイの32併殺打を記録した。今シーズンはノーラン・アレナード(コロラド・ロッキーズ)の身体すれすれに投げて乱闘を引き起こし(向かってきたアレナードにグラブも投げつけた)、5試合の出場停止処分を科された。
今シーズンのシングル率0%のなかでは、マイク・マージャマ(シアトル・マリナーズ)の3安打が最も多い(5月11日時点)。安打はすべて二塁打。4月7日の5回表には、イチローとマージャマが続けてヒット――2人ともそれ以外に打っていないのだから当然、単打と二塁打――を放ち、ディー・ゴードンの単打で揃ってホームインした。
マージャマは開幕戦でスタメンマスクをかぶったが、故障で出遅れていたマイク・ズニーノの復帰により、4月20日にAAAへ送られた。昨シーズンを含め、マージャマがこれまでにメジャーリーグで打った通算6安打中、最初の1本を除く5本は長打だ。