「10秒」でできる! 他人からナメられない話し方
他人から「ナメられている」「軽く扱われている」と感じると、誰でもイライラするものです。要するに「バカにされている」「関心を寄せられていない」という意味だと思うからです。「ナメられている」「軽く扱われている」ということは「簡単に動かされている」と言い換えることもできるでしょう。
他の人なら断られることでも、あの人ならちょっと頼んだだけですぐに引き受けてくれる。
他人から、このように思い込まれていると、要求はどんどんエスカレートしていきます。「刺激馴化」という現象です。要求する側が「要求ストレス」の刺激に馴れていき、要求のレベルが引きあがっていきます。さらに問題なのは、断ると「逆ギレ」されることです。相手は「簡単に動かすことができる」と思い込んでいるため、
「今回は、ちょっとゴメンなさい」
などと断ったりすると、
「そんな風に言わないで、少しぐらい手伝ってくれてもいいじゃない」
と強い態度になることもあります。非常に理不尽な態度で言われると、「ナメられ度合」はますます膨れ上がり、イライラも募ってくることでしょう。
「カチッサー効果」という言葉があります。他人のある要求に対し、深く考えることなしに、条件反射的に承諾してしまう心理現象のことです。
「ちょっと忙しいので手伝ってくれる?」
と言われ、条件反射で「いいよ」と返事をしてしまうのが「カチッサー効果」。言ってから、だいたい後で後悔します。しかし「いいよ」と言ってしまってから、
「やっぱり無理。5時までにどうしても、この仕事を片付けないといけないから」
などと反論はできないもの。それで、しぶしぶ相手の要求を飲むことになります。そして「どうして引き受けてしまったんだろう」と自己嫌悪に陥るのです。
それでは、どうすれば他人から軽く扱われないようになるのでしょうか?
相手から何か依頼されたら、すぐに返事をしないことです。これは「カチッサー効果」を逃れるためです。心の中で「10」を数えましょう。
(いち、にい、さん、しい、ごお、ろく、しち、はち、きゅう、じゅう……)
相手の顔を見てもいいですし、目を向けてなくてもかまいません。しばらくの時間、沈黙を守るのです。無視はしないけれど、返事はしない、という態度です。もし、この態度をして、
「ちょっと! 無視しないでよ」
と突っかかられたら、かなりナメられています。ここまでナメられていたら、話し方を変えたぐらいでは関係を修復できません。普通は、相手から返事がないので、「聞こえてないのかな?」「ひょっとして怒ってる?」と探るような態度に、少し変化してきます。
「あの……。ちょっと手伝ってくれないかな」
相手がもう一度言ってきても、すぐに返事をしません。そして、一呼吸置いてから、
「ゴメン。5時までにどうしても、この仕事を片付けないといけないから」
と言えばいいのです。たとえ手伝える時間や、心の余裕があるときでも、「最近ナメられてるな」と思ったら、あえて断るのです。そうすることで、他の人なら断られることでも、あの人ならちょっと頼んだだけですぐに引き受けてくれる、とは思われることはないでしょう。
ただでさえ忙しい毎日なのに、他人にいいように使われたら、どれだけ仕事を片付けても片付くことはありません。フラストレーションがたまるいっぽうです。「10秒」でいいですから、意識して「間(ま)」をとってみましょう。相手のペースに合わせないこと、条件反射で即答しないことがポイントです。