名物喫茶店も撤退…老朽化で建替え検討の築95年の木造駅舎 高徳線 引田駅(香川県東かがわ市)
6月末、香川県東かがわ市の引田(ひけた)駅で23年に渡って営業を続けてきた喫茶店が閉店した。カレーが名物だった「カフェ ド カンパーニュ」だ。引田駅の駅舎内で営業していた同店は地域住民や駅の利用者に親しまれてきた。
閉店理由は駅舎の老朽化。店の入居する駅舎は昭和3(1928)年4月15日の駅開業時に建てられたもので、今年で築95年。耐震性がなく、シロアリの被害もあって老朽化が進んでいた。JRでは建物の状態が良くないことから建て替えを計画しており、その意向を市に伝えていた。建て替えの詳細についてはJRと市の間で協議をしている段階だという。
引田駅は高松と徳島を結ぶ高徳線の駅で、特急「うずしお」の一部が停車し、普通列車の多くが折り返す主要駅だ。平成15(2003)年4月1日の合併で東かがわ市となった旧:大川郡引田町の玄関口でもある。引田は古くより風待ち港として栄えたところで、醤油醸造でも知られている。
引田駅は令和4(2022)年3月12日に無人化された。駅が無人化されるとそれまで駅員が詰めていた事務スペースは不要となるのが普通で、無人化からほどなくして駅舎が小さなものに建て替えられるという事例も珍しくない。引田駅の新駅舎についても現在のものと比べてかなり小さなものとすることが検討されているようだ。
前述のように引田駅の駅舎は昭和3(1928)年に建てられたもの。国鉄からJRになってから改装されており、当初はJR四国系列の「喜多方ラーメン麺小町引田店」が入居していたが、撤退して「カフェ ド カンパーニュ」に替わった。JR四国では発足以降、駅舎を改装してテナントを入居するというやり方が盛んにおこなわれていたが、近年は店舗の撤退や駅舎の建て替えで数を減らしつつある。
駅舎の隣には、駅舎と同時期に建てられたと思われる古いトイレがある。こちらも建て替えで撤去される予定だが、新しいトイレは建てられず、建て替え後の駅はトイレなしになる計画だという。
引田駅の詳しい建て替え時期は今のところわかっていない。残念ながら駅舎の中で名物のカレーを食べることはもうできないが、築95年の木造駅舎を見ておきたい方は早めに行っておいた方がいいだろう。