京都の歴史街道に銘菓あり「御鎌餅」の柔らかな餅肌とこし餡が癒してくれる大黒屋鎌餅本舗さんの名物和菓子
いわゆる、古き良き街並みの京都が息づく今出川駅から徒歩約15分程に佇む和菓子屋「大黒屋鎌餅本舗」さん。
賀茂川のせせらぎや、同志社大学に京都御所といった、文教的な施設が建ち並ぶエリアに近接した昔ながらの和菓子屋さんです。こちらの名物は、店名にもなっている御鎌餅(おんかまもち)。名前の通り稲を刈り取る鎌の形を模しているのですが、福を刈り入れるという、このあたりを通って鞍馬寺を目ざす旅人たちの縁起物としても喜ばれたことでしょう。
今回は、大黒屋鎌餅本舗さんの「御鎌餅」をご紹介。
持ち上げると、とろりと首を垂れてしまうほど滑らかで柔らかな餅。中の餡がうっすらと透けて、ほんのり青みかかった色も特徴ですね。粘り気、というよりは、むちむちっと歯切れのよい餅皮となっており、上生菓子の外郎生地にも似ているような食感。
また、中にたっぷりと包まれているこし餡は想像以上に瑞々しく、非常にクリアな甘味。小豆のわずかな渋みをさっと薫らせたかと思うと、優しく、至極ほのかにふんわりと黒糖の香りが漂い始め、控え目な余韻を残してすっと引いていきます。
黒糖を前面に押し出しているわけではない落ち着いたバランスが、絶妙な塩梅の引き算を演出し、もうひとつ食べようかなという気持ちにさせてくれるようなお餅。
また、それぞれがくっつかないように、一本ずつ「折ぎ(へぎ・木を薄くシート状に剥いだもの)」にぐるりと巻かれており、冷凍保存可能なことも記載されてあるのが嬉しい心遣い。翌日には食べきってしまいそうなのですが、ひとことそういった万が一食べきれない場合の対処法に触れてくれるだけで、ちょっと心が軽くなりますね。
かつて、鞍馬寺までの険しい道のりに、足だけではなく心までささくれてしまいそうになった方がごまんといたに違いありません。ですが、その道中のお茶屋さんにて提供されていたというこの鎌餅を食べたら、騒めいた心が凪いだことでしょう。
街道巡りはなかなか普段は難しいところではありますが、日常の何処かに癒しとして存在していてほしいお菓子でした。
こちらは京都のお店での販売となりますが、時折都内百貨店の和菓子コーナーにて販売されております。ご入用の方は、ぜひ百貨店等のホームページをチェックしてみてくださいね。
<大黒屋鎌餅本舗>
京都府京都市上京区寺町今出川上ル4阿弥陀寺前町25
075-231-1495
8時30分~18時30分
定休日 水曜・木曜