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自宅が「ゲーセン」に? 外出自粛中でも楽しめるアーケードゲームのサービスとは

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
※写真はイメージ(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

新型コロナウイルスの影響により、全国各地でゲームセンターが臨時休業を余儀なくされて久しい。間もなく大型連休を迎えるというのに、せっかくの書き入れ時に営業できない店舗側も、遊びに行きたくても行けないユーザーも、かつてないほどにつらい思いをしていることだろう。

そんななか、今年のゴールデンウィークを機に、ユーザーの関心が俄然高まる可能性があるのではと、筆者が注目しているサービスがある。それは、PCやスマホを利用して、自宅でも各種アーケードゲームが遊べるオンラインサービスだ。事実、4月7日に政府が最初の緊急事態を宣言して以降、ユーザーが増え始めているサービスがすでにあるのだ。

取った景品が自宅に届く、オンラインクレーンゲームサービス

以前に拙稿、「ゲーセンの数は5分の1に減少、歴史に残る作品が続々誕生:数字で振返る『平成アーケードゲーム30年史』」でもご紹介したが、現在のゲームセンターにおけるオペレーション(店舗)売上の約半分は、プライズ(景品)ゲームによって占められている。

そのなかでも定番の、「UFOキャッチャー」シリーズに代表されるクレーンゲームを、自宅PCやスマホで遊べるオンラインプライズゲームサービスが、実はかなり以前から登場している。「ゲーセンにしか置いていないゲーム機を、自宅で遊べるわけがないだろう」と思う人もいるかもしれないが、遠隔操作によってクレーンを動かし、しかも獲得した景品を自宅まで宅配便で届けてくれるサービスがすでに確立されているのだ。

2012年に正式サービスを開始した、サイバーステップが運営する「トレバ」のスタッフにお話を伺ったところ、なんと「4月8日~22日までのユーザー数は、先月の同期間に比べ、新規登録者数が71.14%アップしました」というのだから驚かされる。また、「アクティブユーザー数は2.54%、ログイン者数も4.64%アップと好調です」とのことで、ゴールデンウィーク中も引き続き好調に推移する可能性が高そうだ。

クレーンゲームを遠隔操作中のひとコマ(※サイバーステップ提供)
クレーンゲームを遠隔操作中のひとコマ(※サイバーステップ提供)

現在人気のプライズについても尋ねてみたところ、「人気アニメ作品のフィギュア、大きなぬいぐるみ、自宅で遊べる玩具や調理家電景品などが人気です。また、現在注目を集めているオンライン飲み会などで使用できる面白マスクや、スマホ用のライト、家でも遊べるキッズテント、DIY系のおもちゃなど、自宅で楽しめる景品も人気となっております」という。

ただし、獲得した景品の発送については、昨今の新型コロナウイルスの影響による物流の事情で、通常よりも遅れる可能性があるそうだ。とはいえ、「トレバ」ではゴールデンウィーク期間中も通常どおり24時間営業を続け、期間限定のキャンペーンも実施予定であるとのこと。さらなる新規ユーザーの獲得に向けた準備は万端のようだ。

「トレバ」に用意されたプライズの一例(※サイバーステップ提供)
「トレバ」に用意されたプライズの一例(※サイバーステップ提供)

また、現在では「トレバ」のほかにも、オンラインクレーンゲームサービスは多数存在する。ご参考までに、主なサービス・サイトを以下にご紹介しておく。きたるゴールデンウィークは、各社のサービスがこれまでになく需要が高まり、シェア争いが一段と激しくなるかもしれない。

・「トレバ」

・「ネットキャッチャー ネッチ」

・「カプコンネットキャッチャー カプとれ」(カプコン)

・「セガキャッチャーオンライン」

・「タイトーオンラインクレーン」

・ネットクレーンモール「とるモ」(バンダイナムコアミューズメント)

ビデオゲーム配信サービスも脚光を浴びるか?

プライズゲームだけでなく、アーケード用ビデオゲームがPCやスマホで遊べる配信サービスもある。コナミアミューズメントが運営する「コナステ」だ。

「コナステ」では、現在「麻雀格闘倶楽部 GRAND MASTER」、「クイズマジックアカデミー 軌跡の交叉」、「天下一将棋会2」の3タイトルと、PC版専用の音楽ゲーム2タイトル、「beatmaniaII DX INFINITAS」と「SOUND VOLTEX III GRAVITY WARS」を配信している。プレイデータはユーザーIDごとに自動で保存され、「麻雀格闘倶楽部 GRAND MASTER」「クイズマジックアカデミー 軌跡の交叉」「天下一将棋会2」の3タイトルは、全国各地のプレイヤー(※ゲームセンターで遊ぶプレイヤーも含む)とリアルタイムで対戦、および協力プレイができるのも特長だ。

「コナステ」のトップページ(※筆者撮影)
「コナステ」のトップページ(※筆者撮影)

同社スタッフから正式な回答は得られなかったが、こちらも筆者が調べた限りでは、緊急事態が宣言されて以降、ユーザーの利用率が上がっているようだ(※蛇足ながら、かく言う筆者も、利用率が上がっているユーザーの1人である)。

なお、同社にお話を伺ったところ、新規登録の手続きはゲームセンターに行かなくても、すべてネット上でできるとのこと。ゴールデンウィーク期間中も営業時間に変更はなく、また5月12日(火) までの期間限定で、「クイズマジックアカデミー」の半額キャンペーンを実施中だそうだ。

実は本サービス、以前は「e-AMUSEMENTCLOUD」という名称で2014年から開始しているのだが、いまだに一部のアーケードゲームマニアにしか知られていない感がある。しかし、今後はこちらも一段と注目される可能性が高まりそうだ。本サービスを機に、今までアーケードゲームの存在を知ったユーザーが、やがてウイルスの終息後にゲームセンターへと出掛けるきっかけにもつながれば、メーカーもオペレーターも願ったりかなったりだろう。

「クイズマジックアカデミー 軌跡の交叉」より。自宅PCで、アーケード版とまったく同じものが遊べる(※筆者撮影)
「クイズマジックアカデミー 軌跡の交叉」より。自宅PCで、アーケード版とまったく同じものが遊べる(※筆者撮影)

もしかしたら今年のゴールデンウィークは、ゲームセンターに行きたくても行けないユーザーたちに対して、これらのサービスが外出自粛に貢献するとともに、同時に急成長するというアーケードゲーム業界の歴史に残る年になるかもしれない。

(参考リンク)

・「コナステ」

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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