ASD(自閉スペクトラム症)に多い【つま先歩き】の理由【保育士ママが漫画でわかりやすく説明】
こんにちは。発達と育児の支援サポーター『夢 かなえ』です。
わたしは保育士・幼稚園教諭と介護福祉士の資格を持つ、神経発達症(発達障害)の子の親でもあります。
子どもたちは成長の過程で『つま先立ち』や『つま先歩き』を楽しみます。
つま先で立つと、普段よりちょっと高い位置から景色を見ることができますね。
いつもとは、少し違って見える世界を、楽しんでいるのでしょうね。
『つま先歩き』は子どもにとって、自分の足の発達を確かめたり、バランス感覚を試す遊びの一つなのかもしれません。
そして、この『つま先歩き』は、ASD(自閉スペクトラム症)の子どもによく見られる、特徴的な歩き方でもあります。
(つま先歩きをする子が、全てASDというわけではありません)
どうして、ASDの子には『つま先歩き』が多いのでしょうか?
その理由を、いつものようにイラストを交えて、順に説明していきます。
理由1.足底の感覚過敏
ASDの特徴の一つに『感覚過敏』があります。
足裏や、かかとに感覚過敏があると、足裏をべったりつけて歩いたときに、痛みや気持ち悪さを感じます。
この足底の感覚過敏のせいで、常時つま先立ちで歩く子がいます。
理由2.常同行動
ASDの子の中には、感覚過敏のない子もいます。
そして逆に、つま先で歩くことが『心地いい』と感じる子もいます。
ASDのもう一つの特徴に『常同行動』があります。
ASDの子どもは、自分の気に入った特定の行動を、繰り返し行う傾向があるのです。
何かのきっかけで始めたつま先歩きが、お気に入りの歩き方になり、習慣化してしまうことがあります。
理由3.発達性協調運動障害
ASDの約8割は、発達性協調運動障害(DCD)を併発することが報告されています。
DCDとは、麻痺などの身体疾患がないにも関わらず、年齢にふさわしい日常生活動作ができない状態をいいます。
例えば、乳児期にハイハイがうまくできなかったり、幼児期にハサミが上手に使えなかったり、大人になっても靴ひもが結べないといった症状があります。
このDCDの症状として、つま先歩きが現れることがあります。
トレーニング方法
つま先歩きの原因が、感覚過敏やDCDの場合には、療育などでさまざまなトレーニングが実施されています。
たとえば、
・芝生やアスレチックで遊ぶ
・マットやクッションなど、さまざまな足場で歩く
・足のマッサージ
等々、足底をさまざまな触覚に慣れさせる方法に効果があります。
まとめ
『つま先立ち』や『つま先歩き』は、子どもの成長過程で自然にみられる行動の一つです。
これらの動作が見られるからといって、必ずしもASDであるというわけではありません。
しかし『つま先歩き』が、感覚過敏やDCDが原因である場合には、適切なトレーニングにより、苦痛を減らすことができます。