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【全曲解説1万字インタビュー】新しい才能Billyrrom、1stアルバム『WiND』を紐解く

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
Billyrrom:photo by 新谷隼人

●新たなる方向へと動き続けるBillyrromの決意表明

東京ニューバイヴス。インディペンデントに活動する、ロックを経由したソウルフルなファンクネス=“トーキョー・トランジション・ソウル”を奏でるBillyrrom(ビリーロム)。

メンバー全員、大学生だったコロナ禍に結成。Mol(Vo)、Rin(Gt)、Taiseiwatabiki(Ba) 、Shunsuke(Dr) 、Leno(Key/Syn)、Yuta Hara(DJ/MPC) による、東京都町田市出身の6人組バンド。

すでに2年連続で『フジロックフェスティバル』への出演。北海道『ライジングサンロックフェスティバル2024』や山中湖『スウィート・ラヴ・シャワー2024』など主要夏フェスを賑わせ、世界的に有名なギターメーカーが主催する『Fender Next TM』2024日本代表に選出され、月見シーズン2年連続となったすき家“月見すきやき牛丼”TVCM(出演:石原さとみ)への楽曲「Eclipse」抜擢も話題となった逸材だ。

YouTubeやSpotifyなどストリーミングサービスでも『RADAR: Early Noise』、『New Music Wednesday』、『Tokyo Rising』、『キラキラポップ:ジャパン』など主要プレイリストに多数リストイン。さらに、アジア9カ国へもリストイン。台湾ではライブが注目され『バイラルチャート』4位に入るなど、次なる時代の到来を予感させる新しい才能なのだ。

そんなBillyrromは、記念すべき1stアルバム『WiND』を9月25日にリリースしたばかり。

飛躍し続ける個性豊かなメンバー6人に、2024年を体現するポップアンセムとなるであろう要注目アルバム『WiND』について話を聞いてみた。

<プロフィール>

東京都町田市出身のメンバーによって2020年に結成された、Billyrrom。


Mol(Vo)、Rin(Gt)、Taiseiwatabiki(Ba) 、Shunsuke(Dr) 、Leno(Key/Syn)、Yuta Hara(DJ/MPC)の6人組音楽集団。SOUL、FUNK、ROCKなど幅広いルーツを持つメンバーによって、次世代ポップミュージックを創出する。

渋谷 WWW、追加公演の渋谷 WWWX、恵比寿 LIQUIDROOMとワンンマンライブはいつもソールドアウト。2023年にリリースした5曲を皮切りに、今年リリースの「DUNE」、「Once Upon a Night」のMVも100万回再生を突破! 昨年に続き、FUJI ROCK FESTIVAL やMETROCK、RISING SUN ROCK FESTIVALなど大型フェスにも出演決定し、注目を集めている。


バンド名の由来は、敬愛するビル・エヴァンスが持つ“流されないマインド”と、移動型民族であるロマ族による“自分たちの音楽を様々な場所から発信していく”という流動性を大切にしたいという信念から名付けられた。


次世代へと進化し続けるサウンド=“トーキョー・トランジション・ソウル”を奏でる彼ら。 新時代を颯爽と切り拓く、快進撃は止まらない。

<全曲解説インタビュー>

●フェスの醍醐味ってBillyrrom目当てで無いお客さんにも出会えること

――まずは、今年のフジロックで『RED MARQUEE』ステージへの出演いかがでした? 

Shunsuke(Dr):バンド結成時から目標に掲げていた夢の舞台でした。出演が決まった瞬間からずっと頭の中でいっぱいで……。当日は緊張しましたけど、朝イチでステージに上がった瞬間に全部吹き飛びました。お客さんがパンパンに入っていたのを目の当たりにしたんですよ。それからは、リラックスして楽しめました。

――そうそう、オーディエンスもメンバーもみんな笑顔で楽しんでいるなって。

Taiseiwatabiki(Ba):やる前は緊張してたんですけど、お客さんは音楽を楽しみに来ているのでラフな良い空気感で。一緒に楽しもうってナチュラルにライブできましたね。

――フェスでの経験を積み重ねたことで、よりバンドとしての成長を感じられるんじゃないですか?

Mol(Vo):フェスの醍醐味ってBillyrrom目当てで無いお客さんにも出会えることだし。僕らが演奏している空間を作るという視点で、この夏のフェスシーズンはやってこれました。他のアーティストのライブも観られて刺激になったし。

――新曲「Once Upon a Night」が、アルバムやフェスでの名刺がわりになったのもよかったですよね。ちなみに、ミュージックビデオは今熱いスポットで撮影されたそうですね?

Mol:そうなんですよ。偶然なんですけどNetflixドラマ『地面師たち』 にも出てきたクラブで。同じシーンで、鳥肌立ちましたもん。

Taiseiwatabiki:あったっけ?

Mol:ピエール瀧さんが階段を降りてくるシーンがあるんだけど、ディスコみたいなところで。

Yuta Hara(DJ/MPC):へえ〜。

――歌舞伎町のTHE27CLUBですね。で、そんな「Once Upon a Night」をライブでやられてみてどうだった?

Mol:お客さんとの距離感が縮まる曲だと思っていて。イントロからアウトロまで楽しみ尽くしてくれる曲ですね。

――さらに、台湾でのライブや「Once Upon a Night」のリリースをきっかけに台湾のSpotify『バイラルチャート』へ4位にリストインするなど好調な状況をどう捉えていますか?

Leno(Key/Syn):なんでなんだろうね。バイラルって、ネットで話題? 聴かれているってことですよね?

――シェアされたりね。

Leno:それを確かめにまた台湾に行ってきます。答え合わせしなきゃ。

――YOASOBIが世に出てきたとき、メディアはノーチェックだったんだけど『バイラルチャート』による統計がいち早く人気を可視化したんだよね。

Mol:なるほど。いい兆しってことだ。

●“Billyrromらしさ”を考えないことによって滲み出てくる“Billyrromらしさ”を追求

――9月25日にリリースした1stアルバム『WiND』は、今年リリースした3部作シングル「DUNE」、「Windy You」、「Once Upon a Night」を軸に、新たなる方向へと動き続けるBillyrromの決意表明となる1枚だと思いました。

https://nex-tone.link/A00163894

Rin(Gt):おお、たしかにそうですね。

――バンドBillyrromのこれまでとこれからが交差しながら、らしさをアップデートして、次のステップへと歩み出すアルバムになりました。

Rin:去年『noidleap』というEPを出して、それは、自分たちの妄想を飛躍させていくというコンセプトだったんです。そして、恵比寿リキッドルームでワンマンもやって。今だったら自分たちのアルバムを作れるかもしれないって思ったんですよ。最初、空間の広いというか規模の大きなロックな曲をやりたくなって。でも、なかなか難しくって。それが合宿で「DUNE」という曲が生まれて、これはいけるかもしれないなって。

――昨年12月ごろ、荻窪のスタジオで合宿して泊まり込んで作ったんでしたっけ?

Rin:そうです。「DUNE」は、これまでの自分たちだったら作れない曲だったので。さらに大きな空間に足を踏み出していくという。それは自分たちのバンドの由来でもある“自分たちのこだわりは捨てずに、いろんな場所でいろんなジャンルの音楽をやっていく!”という考えが体現された曲が「DUNE」で、そのときにバンドのチャプター2が見えて。そこから『WiND』というアルバム、自分たちの色というか、コンセプトなどは考えずに自分たちの素を出して、敢えて“Billyrromらしさ”を考えないことによって滲み出てくる“Billyrromらしさ”を追求したいと思ったんです。

――それはアルバムのタイトルにも表れていますよね。

Rin:“風”というイメージが中心にあって。「DUNE」は決意であり、向かい風という意味もあって。「Windy You」が風が乗せていってくれるという意味合いで、「Once Upon a Night」は風に自分たちが能動的にのっていくという。

――3部作のシングルでアルバム『WiND』への道筋を表しているんですね。

Rin:自分たちが台風の目だったり、中心になっていろんなことを動かしていきたいという意味合いであったり。具体的な事物として、自分たちの方向性に何が結びついたかと言えば風だったんです。そして、“Walk in New Directions”という言葉の頭文字をとってアルバムタイトルにしました。

Mol:そう、何も考えずにいたことがコンセプトになりました。事前にテーマを決めて、それに対して作った曲は無いんです。歌詞では、紡いでいるところはあるんですけど、楽曲はその瞬間に自分たちがいいと思うものに集約して作りました。それが、のちにコンセプトを帯びたというか。そんな逆な捉え方で完成したアルバム作品です。寄せ集めみたいな感覚はまったくなくて。アルバム全体に筋は通っていて、ちゃんとサウンドと歌詞に想いを込められた1枚となりました。

――これまで配信で出してきて、ライブでの定番曲を集めてアルバムにするということでもよかったはずなのに、敢えて1stアルバムだからこそ2024年という時代にジャストなBillyrromを新曲中心に表現しているから素晴らしいよね。

Leno:アルバムはそうあるべきだっていうメンバーの認識があって。最近は既存曲を寄せ集めてアルバムにすることも多いと思うんですけどワクワクが違うっていうか。僕らが聴いてきた名盤は、その時の一番の新しさと、魂が込められていたなって。

――思いの強さが伝わってくるね。では、ここからBillyrrom、1stアルバム『WiND』について1曲ずつお話を聞かせてください。

一同:はい!

Billyrrom@台湾ライブ:photo by 臺北流行音樂中心
Billyrrom@台湾ライブ:photo by 臺北流行音樂中心

【1曲目:Walk in New Directions(作曲:Leno)】

――アルバム冒頭は、ワクワクするイントロダクションからリキッドファンク的なサウンド展開でのスタートとなりました。こちらはLenoさんの曲?

Leno:僕が作りました。

――とうとう作ったね。

Leno:はい(笑)。自分でもソロ(プロジェクト)をやろうかと思っていた時期はあったんですけど。俺の場合は、それをBillyrromでやってしまえばBillyrromに新しいエッセンスを加えられるんじゃないかなって。2曲目の「DUNE」に繋がるというイメージで、割とやりたい放題やらせてもらいました。

Mol:めちゃくちゃいいよね。

――どんなとっかかりから?

Leno:最初は不穏なピアノから。いったい何がはじまるのこのアルバムは? という問いを大事にして。途中で裏切りつつ畳み掛けていく流れを強く意識しました。

Yuta Hara:Lenoの良さがめっちゃ出てるよね。奥行きや深みがあらわれるというか。

【2曲目:DUNE(作詞:Rin / 作曲:Billyrrom)】

――決意を示した「DUNE」という楽曲については先ほどRinさんにも伺いましたが、ライブでのキラーチューンとなるナンバー。逆風から桃源郷を目指す様が描かれていきます。パワーとなる、力強く鳴り響くハンマービートなドラムが重要な曲ですよね?

Shunsuke:これまでこういうタイプな曲を叩いてこなかったので大変でした。スタジアムロックのイメージを勉強しましたね。

【3曲目:Apollo(作詞:Mol / 作曲:Billyrrom)】

――3曲目は、ライブでの景色が楽しみなアッパーチューンへと仕上がりました。

Mol:アルバムのなかで一番BPMが早い曲であり、この曲に限らず僕が作詞した曲は、主に“愛”が中心にあるテーマが多くて。それでいうと「Apollo」は、バンド活動をしているなかで愛の力を感じる場面がすごく多くて。それをどうしても1stアルバムに入れたかったんです。それこそ日常の小さな愛に気がつけない人が多すぎないかなって、ちょっと嫌気がさした時期があって。それに対する嘆きというか。サウンド的には疾走感を大事にしていて、今の時代の流れの速さだったり。人と人との対人関係すら消費するみたいな社会が嫌なんですよ。それに対するアンチテーゼ的な尖った雰囲気を曲調に持たせつつスピーディーな感じを意識しました。

――ジャンルとしてのパンクとは異なるんだけど、たしかに反抗心=パンキッシュな尖り具合が伝わる曲ですね。

Taiseiwatabiki:Molが曲作りのきっかけを作って、ギター入れてメロも入れた時点でビビッとキテル曲だなって思っていました。アルバム全体が勢いづくというかドライブ感が増しますよね。

【4曲目:Windy You(作詞:Rin / 作曲:Billyrrom)】

――自由と風に導かれるように揺蕩うポップソング。Billyrromの新境地となった曲ですよね?

Rin:今年の頭にみんなで沖縄のフェスに出て。それこそ、メンバー全員で見たひとつの景色を落とし込んだ曲がこれまでなくて、それをやってみたいなと。でも、そこからサウンドを作ったわけではなくて。もともとデモがあって沖縄の状況とマッチして、そこで感じたことを書いています。たまには誰かに助けを求めてもいいし。風に運んでいってもらう、みたいな意味合いもあって。サウンドも歌詞も好きな曲ですね。

【5曲目:Once Upon a Night(作詞:Rin / 作曲:Billyrrom) 】

――バンドの名刺となる、世界を七色に変えていく決意を感じるナンバー。現時点での代表曲なイメージ……と言いつつ、Billyrromはライブで軸となる曲がアルバム収録曲以外でも「Defunk」、「Danceless Island」、「Solotrip」など実はめっちゃ多いんですよね。とはいえラジオでの評判も良かったナンバーなのが「Once Upon a Night」で。

Leno:ライブを意識した楽曲ですね。バンド的にもこれぞBillyrromという曲に仕上がったんじゃないかなと思います。80年代ディスコがメンバーみんな好きだし。それを現代風に落とし込んで。キラキラしたポップチューンになったんじゃないかな。

Shunsuke:「Natural Sense」から「DUNE」、「Windy You」と続いて、四つ打ちの曲やR&Bルーツの曲から半年ぐらい離れた上で新たにディスコに帰ってきた、みたいな。ミュージックビデオも、いろいろやりたくなっちゃうところをディスコに振り切ることにこだわった作品ですね。

【6曲目:CALL, CALL(作詞:Rin 作曲:Billyrrom)】

――タイトで跳ねるサウンド感が新鮮。電話のダイヤル音が印象的な、90’sテイストなRinによるラップチューン。電話は、コミュニケーション欲求へのメタファーですよね。

Taiseiwatabiki:どうしてもアルバムでラップがしたいって生粋のラッパーの人がいて(苦笑)。

Leno:議論したよね。“やっぱり俺はラップがしたい!”って。そんなに言うんだったら是非って(苦笑)。

Rin:ひゃっひゃっひゃ(大きく笑いながら手を叩いている)

Taiseiwatabiki:意外と最初のビート作りは時間がかかったというか。

Mol:音数があまり多くない感じ。ちょっとミニマムな感じで、かつスタイリッシュな雰囲気という共通認識はあって。Lenoが、あのビートとシンセのフレーズを入れはじめて。“おお、それそれそれ!”ってなりましたね。

Leno:最初、ベースをMolが弾いて、これいけるなって。なので、深く考えずにちょっと変な感じを出そうって思って。

Mol:俺の推しポイントは、ラスサビ終わってシンセリードがアウトロで入ってきて。空間広がった後にタイトに戻るところです。ループミュージックの良さみたいな。いい意味でトラックっぽいというか。

Rin:前回ラップした「Flower Garden」は、メロディーっぽい要素がラップに多くて。今回はよりラップなテイストにしたいなって思って。自分がこれまであまりやってこなかったタイプのラップだったと思います。

Mol:Rinが徹夜でラップを入れてきて。次の日、(Taisei)watabikiとたまたま

一緒にいて。ラップのデータが送られてきて(Taisei)watabikiが“最高だわ!”って言ってたのが忘れられないですね。

Taiseiwatabiki:絶妙なツボを突いてきたよね。

Leno:言葉の選び方と音の選び方と。

Taiseiwatabiki:ただカッコいいだけじゃなかったんだよね。えっ、ちょっと褒めたくないな(苦笑)

一同:笑

――このタイプのフロウは新しいよね?

Rin:自分がこれまで聴いてきたラップをこういう方向性に向けた感じですね。

Mol:歌詞とか鋭いこと言ってるんだけど、Rinのラップって品を感じるんだよね。そこが曲調とマッチしているんですよ。

【7曲目:Devenir(作曲:Leno)】

――フランス語のタイトル? 生成という意味かな? 

Leno:生成変化ですね。

――まさに生まれ変わっていくようなインタールード。宇宙空間、スペーシーな音像。SF好きなLenoさんによるアレンジ?

Leno:8曲目の「SERANADE for Brahma」を最初にRECして、インタールード付けようと思ったんだけど何も考えていなくって。でも、地続きな感じが欲しくて、導入的な。なので「SERANADE for Brahma」を録音した勢いですぐに、モジュラーシンセとエフェクター使って、MolとRinにもギターで変な音を出してもらって。Yuta(Hara)にもDJでFXをぶっつけ本番で。ある種ジャムみたいな感じで出来ちゃいました。

Yuta Hara:どう、生まれていくかっていう感じが未知数というか。手探りだけど、形になってきている感があって。このテイクではみんなの音がベストな感じになりました。

【8曲目:SERANADE for Brahma(作詞:Rin 作曲:Billyrrom)】

――「SERANADE for Brahma」は、ライブ人気の高いサイケデリックなロックチューン。Rinさんによる泣きのギターソロがエモいです。

Rin:たしかに、やりたかったというか弾いていて気持ちがいいですね。

――なんていうか、時間軸を狂わしてくれる楽曲なんだよね。

一同:あ〜。

――毎回ちょっとずつ変化を感じられるというか。この曲の成り立ち自体、変化し続けて生まれた曲なんですよね? 初期のワンマンライブからやっていたし。

Mol:それこそ混沌としたコロナ禍の頃にRinがデモを持ってきて。そのときは、今のアレンジよりもBPMちょっと早くてブルースっぽくて。この6人になってからみんなで育ててきた楽曲で。この曲で大事にしているのは、いかに非日常的なものにするかというか。現実からかけ離れたものにしたいと思っていました。

――Billyrromで一番プリミティブでフェティッシュな曲ですよね?

Mol:ハリソンふくりゅうですか(笑)。

一同:ははは(苦笑)。

【9曲目:Soulbloom(作詞:Mol / 作曲:Billyrrom)】

――そして、9曲目は珍しく英語詞によるナンバー。英詞は最初期の2021年にリリースした「Babel」以来?ビートが特徴的なR&B的要素を持つミディアムテンポながらダンサブルな曲。

Taiseiwatabiki:たしかに「Babel」以来の英詞曲ですね。

――本来Billyrromは敢えて日本語詞を大事にしているイメージがあるよね?

Mol:そうですね。これはLenoとふたりで曲を作ろうとなったときに生まれて。

Leno:そうです。

Mol:みんなに聴かせたら好感触で。サビで声が重なるところ、ゴスペルっぽい感じをやりたくって。メロディーの感じは英語が合うし、せっかくの1stアルバムだから攻めた曲を入れてみたいなって。曲のテーマ的にも、愛が育まれるプロセスみたいなものを僕なりにストーリーにして落とし込んだ楽曲なんです。その愛を花に例えました。

――なるほど。

Mol:花は贈っても、貰い手が水をあげなければ枯れちゃうじゃないですか? 愛も一緒だなと思って。そんなことを考える、不器用な主人公みたいのが僕の中にいるんです。受け取った花に水を注いでやらないと愛って育まれないよね?っていう。それって世界中で起こり得ることじゃないですか? 国を超えて届いて欲しいですね。

【10曲目:Sun shower(作詞:Mol / 作曲:Billyrrom)】

――繊細なる心情が、やわらかい雰囲気のなかで力強いメロディーとして流れていく名曲。ベースが牽引するサウンドが心地良く、ギターの伸びやかなプレイもいいですよね。エバーグリーンな曲になりました。

Mol:きっかけはShunsukeで。「DUNE」を作った作曲合宿に行ったときに、俺とShunsukeだけ近くの銭湯に行ったときがあって。帰ってきたら、みんなラーメンを食べにいっちゃって。“面白いかもしれないからふたりで曲を作ってみようよ!”って。“やりたいビートは?”って言ったら、8分の6拍子の3連符のビートを提示してくれて。そこに僕がパッと思いついたベースラインとメロディーを乗せて軽いデモを作り上げて部屋で垂れ流しにしていたんです。そうしたら、ラーメンから帰ってきた(Taisei)watabikiが“これ誰の曲?”って言いだして(苦笑)。

Taiseiwatabiki:Shazamしようとしてました(笑)

――いい話だな(笑)

Mol:俺らの曲だよって。そっから、そのデモは終盤にスタジオに入ったときに、各々のやりたいように弾きあって完成しました。自由度高めな感じで。

Shunsuke:このビート感のバラードをずっとやりたかったんです。Molの声がバラードが映える声だと思っていたので。

Taiseiwatabiki:「SERANADE for Brahma」もなんですけど「Sun shower」も一斉RECでMolも歌いながら。そのときにライブ感、生感を大事に楽しみながら演奏しました。

――Rinさんのギターも伸びやかでいいよね。

Rin:解放する感じの曲はすごいやりやすくって。

――ライブで成長していく感じの長く残るタイプの曲ですよね。

Taiseiwatabiki:Billyrrom、最初の頃のライブは割と最後に「Sun shower」でやっているようなエンディングでやっていたので、ちょっと懐かしい感じもしますね。

Mol:あったねえ。

――ああ、そうなんだ。

Shunsuke:それを音源に残してこなかったんですよ。それを今回ようやく音源に残せてよかったです。

【11曲目:Clock Hands(作詞:Rin 作曲:Billyrrom)】

――アルバムのラストは、バンドサウンドでありスクラッチ、ピアノが入るBillyrromらしさ。それこそ、王道感ある曲でラストに戻ってくるというのがいいなと。歌詞のテーマは、時計の針、秒針をテーマとしたバンド活動における時間軸を歌われたナンバーとなっています。しかも、Molさんのボーカリゼーションに自由自在感があらわれていて良いんですよ。

Mol:嬉しいです。歌のメロディーはそんなに時間はかからなくって。割と僕が好きなようにやったヤツをみんなが良いって言ってくれて。なので楽しかったですね。

――アルバムの中でこの曲はどんなポジションをイメージされていましたか?

Mol:ちょっとフュージョンぽいというか、生の楽器の感じを大事にしたいなって。歌はちょっと古臭いんだけど、それがいいみたいな。アダルティーな雰囲気みたいなものを大事にしました。あとは、To Be Continued感というか。続いていく感じ。「Sun shower」でアルバムが終わりそうで終わらないところが良いんじゃないかな。そこにマッチするテーマもRinが歌詞で書いてきてくれて。

――人生を感じるというか刹那な感じがこの曲にはあらわれていたり。

Rin:この曲はアルバムの最後というイメージで作ったわけではなくて。でも、制作していくなかで、アルバムの最後の曲になるんじゃないかなとなって。意外とだから、今までの作品とは違う順番で歌詞を書いた気がしていて。まだ最後とは決まっていないけど、アルバムの最後になるんじゃね? ってときに歌詞を書きはじめたんです。この曲というのは時計の針が0時を回った後の時間という、次ということに着目していて。だからこそ「Clock Hands」なんです。実はシンデレラがテーマになっているんですよ。

――ああ、なるほどねえ。その辺のお話を伺いながらアルバムを聴くとより深く楽しめそうですね。

Mol:アルバムらしく、アルバムの曲順で楽しんで欲しいですね。

Taiseiwatabiki:お願いします!

Yuta Hara:思い入れの強い曲ですね。普段入れない位置にDJを入れたりとか。6人で作り上げていった曲です。

――ありがとうございます。以上、アルバム全11曲について語っていただきました。

Mol:インタビューで1曲ずつ聴いてもらえるのは嬉しいですね。

――きちんと今のリアルタイムな気持ちを記録しておきたいよね。1stアルバム『WiND』をリリースして、2025年に向けてBillyrromはどんなことを考えていますか?

Rin:アルバムを出したことは大きくって。“WiND=Walk in New Directions”という言葉の通り、新しい方向に進んでいったアルバムの曲たちをいろんなところで演奏したいし。いろんなところで聴いて欲しいです。そして、来年6都市ツアー『WiND』もあるので生でライブを観にきて欲しいし。アルバム以上のスタンスや方向性を感じてもらえたら嬉しいかな。とりあえず今はアルバムを大きく広めたいです。よろしくお願いします!!!

6都市ツアー『Billyrrom One-Man Tour 2025 WiND』開催決定!

2025年2月9日(Sun) 名古屋:新栄シャングリラ
2025年2月15日(Sat) 仙台:MACANA
2025年2月22日(Sat) 福岡:BEAT STATION
2025年2月24日(Mon) 大阪:Music Club JANUS
2025年3月1日(Sat) 札幌:SPiCE
2025年3月9日(Sun) 東京:Zepp Shinjuku(TOKYO)
https://eplus.jp/billyrrom/

1st Album『WiND』(2024.9.25 Digital Release)

01. Walk in New Directions

02. DUNE

03. Apollo

04. Windy You

05. Once Upon a Night

06. CALL, CALL

07. Devenir

08. SERENADE for Brahma

09. Soulbloom

10. Sun shower

11. Clock Hands
https://nex-tone.link/A00163894

Billyrrom Official Homepage: https://billyrrom.com

X: https://x.com/billyrrom

Instagram: https://www.instagram.com/billyrrom

YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCTCW1uXdX_WyVGPpn2u66CQ

TikTok:https://www.tiktok.com/@billyrrom_tiktok

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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