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早稲田大学・山下大悟監督が語る、古巣サントリーへ出稽古の意義。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
早慶戦は常に多くのファンを集める(写真ボール保持者は鶴川達彦)。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 大学選手権では歴代最多の優勝15回を誇る早稲田大学ラグビー部は11月14日、都内にある昨季トップリーグ王者のサントリーのグラウンドへ出げいこ。11月23日の慶應義塾大学戦(関東大学対抗戦A、東京・秩父宮ラグビー場)に向け、財産を得た。

 サントリーは、同大OBで就任2年目の山下大悟監督が現役時代にプレーしたチーム。今季に入っても複数回実施されている合同練習だが、今回は急遽決まった模様だ。

 実戦形式の練習を終えるとポジション別のセッションも始まり、中野将伍らセンター陣はオーストラリア代表103キャップのマット・ギタウらとともに走ってパスを受け渡しする基本練習を実施。斎藤直人、岸岡智樹といった司令塔団は、日本代表34キャップのスタンドオフ、小野晃征から連続攻撃時の立ち位置や動き方などのレクチャーを受けた。

 

 練習後にはかつての仲間らと旧交を温めた山下監督は、このタイミングで上位クラブと練習するメリット、慶應義塾大学との伝統の一戦への思いなどを語った。

  

 以下、練習後の単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――練習を終えて。

「ありがたい機会を頂戴しました。サンゴリアス(サントリーの愛称)に感謝したいです。サントリーには若手の(大学)OBの方がいっぱいいる。結果、早慶戦を前に現役とOBが一体になる機会ができた。それはよかったです。いつもサントリーさんにお邪魔するときはアタック&ディフェンス(実戦形式練習)と特にフォワードのユニット練習をするのですが、(今回も)いい強度での練習ができたと思います」

――シーズン中にトップリーグのチームと練習するメリットは。

「(練習の)コンタクトシチュエーションでの強度が高いほうが、自分たちのやってきたファンダメンタルのスキルが通用するかどうかの指標が見える。あとは、(サントリーの練習は)テンポがいい。ずっと集中した状態で止まらないでできるので、ありがたいです」

――ギタウ選手や小野選手のレクチャー。豪華でした。若い頃に実力者の指導を受ける意味は大きいですか。

「体感する、ということが一番です。中野の例で言うと、ワラビーズ(オーストラリア代表)で100キャップを取った選手からボールのもらい方、止まらないで(パスを)放って。アライメント(所定の位置につく)…ということをやっていたと思うのですが、非常に勉強になりました。あとは小野選手からも、いつも熱心にボールのもらい方、ラインのアライメントについて教えてもらえます。いつも思うのは、小野選手はラグビーが好きで、常に考えていて、身体が小さいなかでもいろいろと実践してきていて、その経験から来ることを加味して教えていただける。『最近、ウチはこうしている』など、全部インプットした情報を試して、得たものを。しかも、それがいつも更新されている。それを支えるファンダメンタルのスキルも高い。勉強になります」

――早慶戦に向けて。

「慶應義塾大学さんは、自分たちのやることを100パーセントやってくる素晴らしいチーム。我々もやるべきことをしっかりとやる。愚直にやってくるチームでもあるので、(早稲田大学も)相手よりひたむきにやる。それと、接点のところはずっとこだわっていたので、より激しくやっていきたいです。当たり前の話なのですが。自分たちのテンポで、自分たちの激しさで。…愚直にやるってところです」

――相手のキーマンは。

「細田隼都選手(プロップ、フッカー)、中村京介選手(フランカー)はブレイクダウン(接点)で頑張りますし、両ロック(佐藤大樹キャプテン、辻雄康)も高い。古田京選手(スタンドオフ)はゲームコントロールが上手ですし、丹治辰碩(フルバック)はXファクター。他にも、いい選手ばかりです」

 2008年度以来の大学日本一を目指すチームは、シーズンのクライマックスに先端の知見をインストール。国内有数のクラシコに臨む。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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