「舞いあがれ!」が描く母と子 久留美と父と母の複雑な関係性が気になる
“朝ドラ”こと連続テレビ小説「舞いあがれ!」(NHK)の第7〜8週は、熊野律時チーフプロデューサーいわく「節目」と「旅立ち」の週。第7週は五島列島で舞(福原遥)たちがこれからに想いを馳せ、第8週からは新展開となる。熊野CP に7、8週が物語の流れのなかでどういう役割をするか、また、気になる、幼馴染3人の母親たちについて聞いた。
「子供時代、人力飛行機サークル時代を経て舞が次にどういうふうに生きていきたいか、自分の言葉で両親をはじめとして他者に伝え、新しいステージに入る。その大きな節目に再び五島を訪れました。貴司(赤楚衛二)、久留美(山下美月)、幼馴染3人の新しい旅立ちです」
熊野CPが言うように、3人が五島の大自然に触れ、これからの生き方に思いを馳せる場面は壮大な五島ロケも相まって清々しいものだった。若い3人を心配しているのがそれぞれの両親。とりわけ第7週では母親との関係が丁寧に描かれていた。『舞いあがれ!』では母親の存在をどう捉えているのだろうか。
熊野「母親は物語で大事なポイントではあると考えています。第1週からめぐみ(永作博美)と祥子(高畑淳子)、めぐみと舞、それぞれの母娘関係からスタートしていますし、やはり母と娘、母と息子の関係は最も濃密なものだと思います。これから子供たちが青年期に入り自立していくとき母親とどう向き合うかは大事な要素だと思うと脚本家の桑原亮子さんと話しながら作っていきました」
久留美のお母さんが福岡在住なわけは?
熊野「東大阪と福岡の距離感が重要ポイントです。行こうと思えば行けるが、気軽には会いにいけない場所が、久留美と母との微妙な親子関係とも重なっています。これは作劇上の話になりますが、五島から東大阪に帰る途中に立ち寄れるというところもポイントでした」
第35回で久留美が寝ているお父さんにすがりつくシーン。久留美はなぜお父さんを選んだのでしょうか。
熊野「シンプルにお父さんもお母さんも久留美は大好きだし、でもお母さんが出ていくと言ったときに、お父ちゃんを置いて母についていくなんてできないし、お父さんと一緒にいると言えばお母さんが出ていくことを考え直してくれるんじゃないかという子供なりの意思表示です。でもお母さんは、お父さんを選んだと誤解してしまう。このドラマでは、誰かをすごく憎んでいるような人は出てきません。好きだけれど、お互いにしんどいことがあってちょっとすれちがったことが解消されないまま長い年月が経ってしまった。祥子とめぐみがそうであったように、久留美と母親もお互いの想いを見つめ直します」
こうしていよいよ第8週は、舞台を宮崎に移して宮崎の航空学校編にーー
「これまでの五島と東大阪とはまた違った新しいステージになり、宮崎の航空学校で新しい仲間たちに出会っていきます。パイロットになりたいという夢は共通ながら、大学とはまた違った、年齢も経歴も違い、それぞれに事情を抱えた仲間たちとともに、パイロットになるために切磋琢磨し助け合って進んでいきます。さらなる舞の成長を見守ってほしいと思います」と熊野CPは語った。
母親の庇護の元から巣立っていく3人。でも母が子を想う気持ちはいつまでも変わらない。
連続テレビ小説「舞いあがれ!」
総合:月~土 午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00 ※土曜は1週間の振り返り
BSプレミアム・BS4K:月~土 7:30〜7:45、出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介/吉川晃司、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太