疑問視されている統一ライト級戦の結果
デビン・ヘイニー(24)がワシル・ロマチェンコに判定勝ちしてWBA/WBC/IBF/WBO統一ライト級タイトルを防衛した。スコアは116-112、115-113、115-113。
今回の黒星によって17勝(11KO)3敗となったロマチェンコは、試合後の記者会見で語った。
「判定は判定として、まずは私にチャンスを与えてくれた(プロモーターの)ボブ(アラム)にお礼を伝えたい。ただ、試合に勝ったのは自分だ。私がリングをコントロールし、すべてのラウンドを支配した」
ロマチェンコのマネージャーであるエギス・クリマスも、「これはまさに強奪だ。ヘイニー陣営にとってはクリスマスが夏にやってきたようなもの。我々はネバダ州アスレティック・コミッションに抗議を申し入れる。この世に正義があることを示したい。こんな不公平を認めてはいけない」と述べた。
そして、私が意外に感じたのはボブ・アラムの次の言葉である。
「スコアを耳にした際、誰もが唖然としていたが、私はプロモーターなのでコメントするつもりはない」
かつてのアラムは、自分が抱えていたエリック・モラレスやホセ・ルイス・カスティーリョが敗れた折に、レフェリーやジャッジに不満をぶつけたものだ。が、91歳となり落ち着いてしまったか。
MGMグランドガーデン・アリーナに勝者としてヘイニーの名がコールされた際、会場のファンは、リング上に激しいブーイングを浴びせた。
35歳のベテラン、ロマチェンコの国籍はご存知のようにウクライナだ。ロシアによる侵攻を受け、彼はボクシングに集中できない日々を送った。ファイターとして残された時間が長いとはいえないロマチェンコにとって、酷過ぎる状況であった。それでも3階級制覇を達成した男らしく、万全に仕上げてヘイニーとの戦いの日を迎えた。
リングサイドから同ファイトを見詰めた2階級制覇中のシャクール・スティーブンソンも、ロマチェンコの勝利を唱えている。
「ロマチェンコは文句なしでチャンピオンになるべきだった。彼は勝ったよ。よりクリーンなパンチを放っていたし、きれいなパンチをヘイニーに打ち込んでペースを握った」
ライアン・ガルシアもSNSで、勝者はロマチェンコだと綴った。
アリーナのブーイングは大きかったが、再戦ムードにならない。「リングに戻るよ」と発言したロマチェンコの今後が非常に気になる……。