ベトナムと韓国・北朝鮮で多く、台湾と日本では0の今年の上陸台風
台風19号のベトナム上陸
南シナ海の台風19号が西進してベトナムに向かっています(図1、タイトル画像参照)。
台風が発達する目安とされる海面水温は27度以上といわれていますが、現在、台風19号が通過している海域の海面水温は27度以下です。
このため、徐々に台風は衰弱しており、台風としてベトナムに上陸するより、熱帯低気圧に変わってから上陸する可能性が高い予報でした。
もし、台風として上陸すれば、令和2年(2020年)で6個目ということになりますが、11月6日3時に熱帯低気圧に変わって6個目にはなりませんでした。
現時点で、令和2年(2020年)の台風の国別上陸数をみると、一番多いのがベトナムの5個です。
次いで多かったのはフィリピンと中国(台湾を除く)の4個、韓国の3個、北朝鮮の2個です(表)。
そして、台湾と日本は台風上陸数が0個です。
台風が一番多く上陸する国
昔、アメリカの海洋大気庁(NOAA)の資料をもとに、昭和50年(1975年)から59年(1984年)までの10年間について、各国の台風並みに発達した熱帯低気圧の上陸数を調べたことがあります(図2)。
ここで、NOAAの資料を用いたのは、気象庁では、全世界の熱帯低気圧について解析していないためです。
この調査によると、台風の上陸数が一番多い国は中国で6.5個(台湾を除くと6.0個)です。
次いで、オーストラリアの4.9個、フィリピンの4.4個と続きました。
台風の上陸数というのは、その国の面積にも関係していますので、広大な国土を持つ国は、それだけ上陸数が多くなります。
したがって、国の面積を考慮すると、フィリピンが一番多く台風が上陸する国といえるでしょう。
また、この時の調査では、日本は2.1個、ベトナムが2.0個、台湾が1.6個と、これらの国では毎年複数個の台風が上陸しています。
しかし、韓国や北朝鮮の台風上陸は0.5個未満(2年に1個も上陸しない)でした。
令和2年(2020年)の国別の台風上陸数には次のような特徴があります。
・ベトナムへの台風上陸数がかなり多い。
・韓国と北朝鮮への台風上陸数が記録的に多い。
・中国への台風上陸数が例年に比べれば少ない。
・台湾と日本への台風上陸数が0。
沖縄の南海上にある台風20号は、バシー海峡を通って南シナ海に入り、そこで熱帯低気圧に変わる予報です(図3)。
台風20号は、どの国にも上陸する可能性が低い台風ですが、沖縄県では、しばらく台風20号による高い波に注意が必要です。
タイトル画像、図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。
図2の出典:饒村曜(平成5年(1993年))、続・台風物語、日本気象協会。
表の出典:気象庁ホームページより著者作成。
(注)この記事は、台風19号が南シナ海で熱帯低気圧に変わったため、タイトルと内容の一部を修正しました。