1番人気メイケイエールの取捨は!?実力の割に人気の薄い馬は?!/スプリンターズSの展望とポイント
中央競馬、2022年秋冬のGI戦線がスタートだ。
2日、中山競馬場でスプリンターズS(GI)が行われる。同日、フランスでは凱旋門賞(GI)が行われるため、武豊騎手、ルメール騎手、川田騎手は不在のGIとなる。
前日オッズ1番人気はメイケイエールで2.3倍
前日の前売りオッズをおさらいしておこう。
1桁台は3頭で、メイケイエールが2.3倍、ナムラクレアが3.6倍、シュネルマイスターが7.8倍となっている。2桁台は5頭で、ナランフレグが16.3倍、ヴェントヴォーチェが17.1倍、タイセイビジョンが17.8倍、ウインマーベルが18.4倍、テイエムスパーダが19.4倍だ。
スプリンターズSでポイントになるのは、前売り1番人気のメイケイエールの取捨だと考える。メイケイエールは前向きな気持ちが強すぎるところがあり、ゲートがうまくいかないなどレースで結果を出せずにいた。ところが、ここ最近は鞍上との相性のよさや陣営の工夫などが相まって無事に状態の良さが結果に結びついている。悲願のGI制覇に向けて視界は良好だ。
コンビを組む池添騎手は過去にもこういった自己主張の強い馬の気持ちを汲み取り、上手に結果を出してきた騎手だ。三冠馬で凱旋門賞2着のオルフェーヴルに長く主戦として騎乗してきたし、牝馬ながら宝塚記念を優勝しハーツクライを破ったスイープトウショウの主戦も努めてきた。特にスイープトウショウは突如として微動だにしなくなる"わがままさ"を秘めていたが、幸いにしてレースの途中でそういったところを見せることはなかった。
■2022年セントウルS(GII) 優勝馬 メイケイエール
メイケイエールについても池添騎手とコンビを組んだ過去5戦のうち3戦はゲートを無難に出ている。ただし、問題は残る2戦。いずれもGIで昨年のスプリンターズSでは出遅れ、今年の高松宮記念でやや一息の印象だった。メイケイエールがリズムを狂わせ出したのは3歳春の桜花賞だったが、彼女にとってGIは鬼門なのだろうか。たしかにGIレースは観衆がざわめいて特殊な雰囲気を醸し出す。とはいえ、メイケイエールが出走したGIはコロナ規制のため、極端に人数が少ない。たとえば、リズムを崩し始めた2021年桜花賞当日の阪神競馬場の入場人員は3137人。従来の"GIの雰囲気"とはほど遠いはずなのだ。
■2021年桜花賞(GI) 優勝馬 ソダシ
"雰囲気に飲まれる"のがメイケイエールの弱点とするならば、入場人員を確実に増やしている現状は決してプラスではないだろう。馬具での工夫と、キャリアを重ねての"慣れ"を以て実力を出し切ることを期待するしかない。
そういった面を考慮すると、GI未勝利馬ながら前売りオッズ1番人気を背負うのは、少々気が重そうだ。
昨年の覇者であるピクシーナイトは昨年の香港での故障の影響で戦線離脱中。2着のレシステンシアは春シーズン中に骨折が判明。軽度ではあるが、スプリンターズSには間に合わわず、今年暮れでの復帰を目論んでいる。3着のシヴァージも出走しないため、昨年の出走メンバーでは4着だったメイケイエールが最上位となる。
メイケイエールの中間の状態、前残りの中山の馬場を考えても、GI初制覇は手の届くところにあるだけに、何とも歯がゆいところだが…。悲願達成を願う心理も加味してメイケイエールの期待が高まっているともいえそうだ。
メイケイエールが1倍台であれば、筆者は正直敬遠したくなる。でも、2日当日12時でも未だ2倍台。このあたり、ファンの皆さんもメイケイエールの"危うさ"を感じ取っている故の数字かと察している。
実績のわりに人気のないナランフレグ
逆に、実績のわりに人気がない馬もいる。
今年の高松宮記念を制したナランフレグは春秋制覇がかかるわりに単勝オッズは2桁台。状態もよいので、実力の割に人気の薄い馬の筆頭にあげておきたい。ただし、高松宮記念は展開がナランフレグに向いた感は否めない。人気の先行馬たちを終いの脚でどこまで追い詰めることができるのか、注目している。
■2022年高松宮記念(GI) 優勝馬 ナランフレグ
シュネルマイスターは安定度はあれど、距離が最大の課題。マイルでの実績はあるが、今回の舞台は電撃の6ハロン。たった400m(2ハロン)だが、マイルと千二ではレースの質が明らかに違う。
■2021年NHKマイルカップ(GI) 優勝馬 シュネルマイスター
大穴で期待しているのはメイショウミモザ。
ナランフラグ同様、後ろから行くタイプなので展開にかなり左右される。その上、基本的には逃げ、先行馬が有利な前残りの馬場ではあるが、そのあたりは目下絶好調の鞍上が上手に判断してくれるのではないだろうか。そう、コンビを組む丹内騎手は北海道シリーズに続いてひじょうに乗れている。
■2021年阪神牝馬S(GII) 優勝馬 メイショウミモザ
最後に忘れてはいけないのは53キロのナムラクレア。メイケイエールと同じミッキーアイルを父を持つ3歳牝馬だ。キャリアの浅さと中山が初めてという点は気になるが、斤量の有利さを生かしてほしい。平坦小回りコースでの実績はあり、坂のあるコースでは桜花賞3着が光る。日頃から坂路コースで好タイムを出しているのでレースでの坂も上手くこなしてくれると期待したい。
■2022年函館SS(GIII) 優勝馬 ナムラクレア
筆者のスプリンターズSの予想
◎ナランフレグ
〇シュネルマイスター
▲メイケイエール
△ナムラクレア
△メイショウミモザ