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明治大学・箸本龍雅は、「相手に『イケる』と思わせた」のを反省。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
列の先頭が箸本(写真提供は日本ラグビーフットボール協会)

 敵は我にあり。明治大学ラグビー部はその態度を貫く。

 12月19日、東京・秩父宮ラグビー場での大学選手権の準々決勝で日本大学に34―7で勝利。ミスや反則に苦しみながらも、前半終了間際の自陣ゴール前での守り、5点差で迎えた後半13分の連続攻撃、試合終盤のスクラムでの好プッシュで白星を紡いだ。

 試合後、箸本龍雅キャプテンが田中澄憲監督、2トライの石川貴大とともに会見。昨季オフにスーパーラグビーのサンウルブズで練習生となった攻守の柱が語った、内なる敵の詳細は。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

田中

「きょうの試合が大学選手権初戦。難しい試合になると思っていましたが、前半の日本大学のファイトが素晴らしいなか、よく我慢して、後半しっかりと突き放せたのが収穫だった。ひとつずつ勝っていくことが大事だと思う。また準決勝に向けいい準備をしたいです」

箸本

「きょうは80分間を通して相手のペースでラグビーをやらせてしまって最後まで、明治のラグビーができなかった。とても反省するところが多い試合だったと思います。選手権では簡単に勝てる試合がない。苦しい状況で勝ち切れたのはよかった。しっかり課題を洗い出して、次に向けて準備したいです」

石川

「やっぱり、ずっと明治のペースをつかめずに課題の出た試合だった。しっかり課題を克服して、準備して臨みたいです」

――スクラムの押しについて。

箸本

「リザーブの大賀(宗志、右プロップ)が入ってから押しがよくなった。大賀がいいエナジーを持って入ってきてくれた。役割を果たしてくれた。このスコアになったのは大賀、(左プロップの山本)耕生などのリザーブのエナジーがあったからかと思います」

――後半3分にスコアをされた後の流れについて。

箸本

「後半にトライを獲られてから、速いテンポで動かした。スクラムの時などに相手のフォワードを見ると、結構、疲れていた。このテンポで回したら相手の足は止まるよという話はしました。ただ、あまりうまい方向に(ボールを)運べなくて、強いプレーがなく、本当に課題が多かったように思います。

前半は、たぶん、ほとんどディフェンスしかやっていない。アタックをやる時間はほとんどなかったんじゃないかと」

――きょうは、どうすればプレーの質を上げられたと思いますか。

箸本

「一番、自分が感じる反省点としては、試合の入りで相手に『イケる』と思わせてしまったこと。入りは明治から仕掛けていこうという話をしていたんですけど1人ひとりの強さ、全員がオプション(パスをもらう選択肢)になるということがあまりできていなくて――スコアは2トライ、先に獲れましたが――相手に『イケる』と思わせた。それが、試合を苦しくした理由です」

――それを受け、今後の練習では何を意識したいですか。

箸本

「(次に対戦する)天理も外国人が起点となってくるので、明治から先に仕掛けることを(再確認する)。練習でもスタートから100パーセントでやるということをもう1回、大切にしたいです」

 最初から全力で丁寧に戦うのが言葉にするほど簡単ではないと、再確認できた。準々決勝のそれが収穫だったろう。

 1月2日の準決勝では天理大学とぶつかる(秩父宮)。

 関西大学Aリーグ1位の天理大学はこの日、関東大学リーグ戦1部3位の流通経済大学を78―17で一蹴した。要所でのターンオーバー、複層的な攻撃陣形によるスペースの攻略、留学生選手の強靭さが目立った。

 特にアウトサイドセンターのシオサイア・フィフィタは、箸本が加わったサンウルブズの正規選手としてハイレベルな実戦を経験。昨季よりもしなやかに動く。

 関東大学対抗戦Aで2連覇中の明治大学陣営は、どう捉えるか。

――天理大学戦へ。

箸本

「今週は日大の対策を重点的にやっていたので、これから天理の映像を見て選手、監督、コーチ陣で特徴を洗い出していく感じです。…ただやっぱり、ディフェンスはカギになるんじゃないかなとは、思います」

田中

「天理大学さんには強力な外国人がいる。そこ(への対策)はやらなくてはいけない。きょうはアタックでもコミュニケーションがなくて、フィフティ・フィフティのパスも。相手の22メートルエリア内でのミスが多かった。そういった精度を詰めていくのも、大事になると思います」

――フィフィタ選手への警戒心は。

箸本

「多分、皆が知っていると思うんですけど、身体が強く、スピードがあり、突破力がある。そういう人に突破させると天理に勢いがつく。明治としては彼がスピードに乗る前にディフェンスをする。ボールを持ってきたら2人で止める。それを意識すればいいんじゃないかなと思います。僕は、対面に立てば止めますけど、わざわざ目の前に立ったりはしないです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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