7人制ラグビー、日本男子はここで勝負!
7人制ラグビーの日本代表男子にとって、『勝負の時』がやってきた。2016年リオデジャネイロ五輪を見据えた場合、どうしてもワールドシリーズの東京セブンズ(22、23日・秩父宮)と香港セブンズ(28~30日・香港)で結果を出さなければならない。
なぜかというと、チーム力アップを図るためには、ワールドシリーズの来季の全出場権がかかるコアチーム(世界トップ15カ国・地域)入りが絶対条件だからである。そのコアチーム決定戦は香港セブンズで行われるため、まずは東京セブンズでチーム力を整備し、好成績で弾みをつけることが重要となる。
ことしのセブンズ日本代表はぐんと戦力アップした。とくに「若さ」と「はやさ」と「ラグビー力」で勝負する。若さとはやさの象徴が、初めて7人制ラグビーに本格挑戦する21歳のBK福岡堅樹(筑波大)と、2年ぶり復帰の20歳のBK藤田慶和(早大)である。
福岡、藤田両選手とも、15人制の日本代表でも活躍するホープ。瀬川智広ヘッドコーチ(HC)は「チームのステータスが高くなった」と言い切る。
「これまでとは違い、こんかいは7人制に適した能力がある選手を、可能な限り、集めることができました。当然、(代表入りの)競争もはるかに高くなった。オリンピックで、みんなが(セブンズ日本代表に)協力したいという気持ちになっています」
結果、福岡選手など、スピードのある選手が加わった。セブンズと15人制ラグビーではフィットネスの質量や戦術、駆け引きなど違うけれど、トライをとり切るスピード、フィニッシャーとしての能力の貴重さは変わらない。スペースにボールを運ぶという点については、間違いなく去年より上がっている。
もっとも、東京セブンズの相手はコアチームの強豪ばかりだ。誰かが1人、2人入って、日本が勝てるほど甘くはない。スピードスターへのマークもきつくなるだろう。
「期待はしていますけど、福岡は走り切れないと思います」と瀬川HCも楽観していない。大事なことは、福岡選手にいい状況で走らすことと、福岡選手がゲインを切った場合、素早くサポート選手がつくことである。相手の裏が空けば、キックを蹴って、そこに福岡選手と走らせるというオプションもある。
むしろ藤田選手のほうがフィットネスは高く、セブンズの経験もあるので、相手をかき回すプレーをしてくれそうだ。
福岡、藤田両選手に目がいきがちだが、アジア・シリーズで活躍したロマノ・レメキが強豪相手にどこまでやれるのかも楽しみだ。昨年ブレイクしたジェイミー・ヘンリーやロテ・トゥキリのコンディションもいい。
さて、ジャパンはどこで勝負するのか?と聞けば、瀬川HCは「ラグビー力」と強調した。いわゆる、ラグビー理解力、技術、判断力か。15人制を含めれば、だれもが長いラグビー経験を積んでいる。「持っている(プレー選択の)引き出しは多いと思う。その引き出しを全員が同じ考えのもとで開けていけるかどうかがカギとなります」という。
セブンズで「守り勝つ」のはまず、無理である。いかにマイボールをキープするか、ボールを動かし続けることができるかがポイントとなる。タックルでは、個々のタックルの厳しさはもちろんだが、1対1の状況を極力避けることも重要となろう。
瀬川HCは言う。「アタックは“ハイテンポ”、ディフェンスでは“テーク・スペース”」と。テーク・スペースとは、相手チームのスペースを奪う、つまりスペースを消すことを意味する。
東京セブンズの日本の目標は、「予選プールで2勝してベスト8入り」である。日本は予選プールで、南アフリカ、アルゼンチン、ケニアと対戦する。どのチームもすこぶる強い。でも坂井克行主将は言った。
「香港で勝つためにも、東京セブンズが大事です。強いチームにチャレンジし、選手間のコミュニケーションというか、信頼関係というか、互いに言わなくても、同じ連携プレーができるようなチームになりたい」
チームのモットーが、『明るく、楽しく、元気よく』『やるときはやる』である。楽しむためには、やはり勝つのが一番だ。いざ桜のジャージの挑戦が始まる。