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日本代表のいい人、ピーター・ラブスカフニ。会見後も圧巻。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
「静岡の歓喜」を体現した1人。(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 すべてを終えた後に、その人柄がにじんだ。ラグビー日本代表のピーター・ラブスカフニが10月2日、都内で会見。ワールドカップ日本大会に参加する現チームの状態などについて語った。

 2016年に南アフリカのプレトリアから来日したラブスカフニは、身長189センチ、体重105キロの30歳。運動量と防御力が魅力のオープンサイドフランカーで、前向きな言葉でチームを引っ張るリーダーでもある。今年の夏に日本代表資格(連続居住3年以上)を取得するよりも前から、代表候補群の軸と見られてきた。

 

 9月20日に始まったワールドカップ日本大会ではここまで2戦で通算34本ものタックルを放ち、失敗は3本のみ。ロシア代表を30―10で制した開幕戦(東京スタジアム)では後半6分、正面衝突した相手から球を奪って50メートル以上も独走。トライを決めている。

 続く28日の第2戦(静岡・エコパスタジアム)へはゲームキャプテンとして臨み、鋭い飛び出しでのタックルやジャッカル(接点で相手のボールへ絡むプレー)を連発。世界ランク2位だったアイルランド代表に圧力をかけ、19―12での勝利に喜んだ。

 この日の会見では、5日のサモア代表との予選プールA・第3戦(愛知・豊田スタジアム)へ決意を新たにする。さらに離席時は、普段から人格者と称される所以がにじんだ。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――ワールドカップでは様々な戦い方のチームと対戦します。どう対応していくか。

「大会によっては同じようなプレーをしてくるチームと各週対戦することもあるが、その中でもそれぞれの色がある。(その意味では)ワールドカップも一緒。いい準備ができている。我々が何をするかも把握しているし、そのための準備もしてきました。しっかりと自分たちに焦点を当ててプレーしています。そして、自分たちがプレーすることによって、対戦相手がプレースタイルを崩していつもと違うような戦いをしてしまうよう追い込めればいい。何が来ても、我々は対処します」

――アイルランド代表戦前日、選手に映画『幸せのちから』のワンシーンを見せたと聞きます。

「大きな戦いに挑む前に見るのにふさわしいシーンだと思ったので、見せました。その前には堀川(隆延)コーチ(候補合宿などで指導)に来ていただき、モチベーションが上がるスピーチをしていただいた。その後、映画のワンシーンを見せて、非常にいい流れができました」

――リーチ マイケルキャプテン、ラブスカフニ選手を含めたリーダーシップグループについて。

「リーチは素晴らしいリーダーです。このチームにはアタック、ディフェンスなどの(それぞれの領域を担当する)リーダーグループがあり、私はブレイクダウン(接点)のリーダーとして彼をサポートしています。それらをリーチが、全体的に仕切っています。周りに刺激を与えられる素晴らしい人物です。宮崎、網走(事前合宿)と、負担がどんどんのしかかりましたが、それに対し、リーダーシップグループでサポートしています。

 リーチは、自分たちがベストを尽くせるような働きかけに重きを置いています。そして選手たちがしっかりとしたパフォーマンスを出すことで、国全体が誇れるような存在になりたいと、常日頃、言っています。今回はいいパフォーマンスをして、あるいはいいチームであることによって、子どもたちにラグビーを始めたいという気持ちになってもらう絶好の機会です。そう全体を踏まえるとプレッシャーもありますが、リーチは優秀かつ刺激的なリーダーでもあるので、それに立ち向かっていけます。しっかりしたビジョンも持っていて、我々がそれと同じ絵を見られるように引っ張っていける」

――ラブスカフニ選手のリーダーとしての役割は。

「正直に言いますと、パシフィック・ネーションズカップ(夏の国際大会)もロシア代表戦もアイルランド代表戦も、同じような考え、意識で取り組んでいる。あくまで自分たちにフォーカスを当て、準備がすべての鍵だと捉えています。それはリーダーだけではなく、選手全員がそう思っています。周りから見ると、リーダー陣にかかっているという風に思われそうですが、チーム全体としてファンの皆様たちが誇れるようなチームになりたいと思っている。フィールド内外で、です。日本代表のジャージィを着られること、誇らしく思っています。こういう考えでリーダー陣として色々な取り組みをしている。これで普段のミーティングがどんな雰囲気かは察していただけると思います。あくまで次にフォーカスをしています。サモア代表戦に向け、何が必要かに着目しています」

 敬虔なクリスチャンでもある通称ラピース。練習では具体的な声かけで仲間をリードする(自衛隊へ訪れて実施した歩行訓練では「まず、あそこの信号まで頑張ろう」)一方、インタビューでもファン対応でも笑顔を絶やさずない。

今回の会見後には、隣に座っていた通訳の佐藤秀典さんへも握手とグータッチをおこなう。長らくチームに帯同して同種の業務をおこなう佐藤さんへ改めて謝意を示すあたりに、人柄がにじむ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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