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すぐやる人は、2つのことを「見える化」している

横山信弘経営コラムニスト
やるべきことと、思考ノイズに「タグ」をつける(写真:アフロ)

作業を「見える化」する

何事も「すぐやる人」になりましょう。「すぐやる習慣」を身に着けると、日頃からストレスがたまらなくて済みます。そのためには、自分がポーター(荷物の運搬などを主業務とするホテル従業員)だとイメージし、やるべきことを台車の上に置いた「荷物」だと考えればよいのです。これを「台車理論」と呼びます。

自分がやるべきこと――「作業」「タスク」といったものは、本来見えないものです。あれをやらなくちゃ、あれをやりたいけどなかなか時間が……と、たまに意識下に出てきては、泡のように消えていくもの。そこで、これらの仕事を「荷物」だと認識するのです。重そうな荷物を台車に載せ、しかるべき場所へ運ぶ。自分はそういう仕事をするポーターだと考えれば、目の前にある「荷物」をそのままにしておくことはできません。

荷物を荷物と認識させるために「タグ」付けをします。スーツケースにつけるネームタグのようなものです。その荷物の「重量」と運搬先の「住所」です。誰かに送り届けるものであるなら、その方の「お名前」も。たとえると、

「この資料を”50分”で作成し、”3月2日(水)”までに、”岩崎さん”へ提出する」

という情報を記したタグを付ける、というイメージです。

無意識のおしゃべりも「見える化」する

とはいえ、作業を見える化しても、頭の中で「思考ノイズ」が乱反射していては、スムーズにその荷物を押すことができません。路面の摩擦抵抗が大きい、とイメージすればわかりやすいでしょう。そのため、次は、そのノイズを「見える化」します。

誰しも、目の前の作業に集中しようと思っても、無意識のうちに考え事をしてしまうときがあると思います。ついつい考えてもしょうがないことをアレコレ思い浮かべてみたり、過ぎ去った出来事をクヨクヨ思い出してみたり。今日の夕食は何にしようか、AKB48の新曲はいつ出るのかな、嵐の松本潤が出るドラマは4月スタートだっけ……などと、頭の中でおしゃべりをする癖がある人はさらに要注意です。

深い悩みや重苦しい問題を抱えているのみならいざ知らず、今は高度情報化時代となり、興味のある情報を簡単に検索できる時代です。誰かと一緒にいなくても、自分ひとりでいろいろとおしゃべりができるようになりました。

日頃から多種多様な情報にさらされる現代の私たちは、今、目の前の出来事になかなか集中できない時代に生きていると受け止めていいでしょう。ですから、グーグルやインテル、フェイスブックといった最先端の企業が「マインドフルネス瞑想」を取り入れたりするのです。

意識が内側にフォーカスするのを避けるために、外側に向けるようにします。無意識のうちにやっていることを、意識するように努力するのです。これをNLP理論で「無意識的有能」の状態を「意識的有能」の状態に退行させる、と表現します。

頭の中でのおしゃべりは、無意識にやってしまっていることなので、思考と一体化しているこの「おしゃべり」――「思考ノイズ」を切り離します。切り離すために、こちらも「タグ」付けを行います。ネームタグです。思考ノイズに名前を付けて「見える化」してしまいましょう。

たとえば、資料作成している間に「そういえば、あの商談どうなったのだろう? 田中君に状況を聞いてみたい」と無意識に考えはじめたとします。ディスプレイに向かい、パソコンの操作に意識を向けていたのにもかかわらず、内側に意識をフォーカスしてしまった瞬間です。すぐさまこの「思考ノイズ」にタグを付けます。このときに付与するタグは、「雑念」などとシンプルにします。

「今は資料作成する時間なので、田中君に状況確認するのは、後でいいが、いつがいいんだろう? 今週がいいかな。来週にしようか」

……などと考え始めると、これまた「頭の中のおしゃべり」になります。ですから、よほど重要なことでない限り、シンプルなタグを付けていくだけにします。そしてタグをつけたら、その「思考ノイズ」も荷物だと認識し、すぐさま他の場所へよけておきます。今は目の前にある荷物(資料作成というタスク)を運ばなければならないからです。

「喉が渇いたな」と思ったら「渇き」というタグを付け、よけておきます。「DEAN FUJIOKAって、どこで生まれたんだっけ?」と思ったら、これも「雑念」とタグを付けて、よけておきます。「お昼のラーメン、お腹にもたれたな」と思ったら、「もたれ」とタグを付けて、よけておきます。いろいろな思考ノイズが頭の中で湧き上がっては消えていきますが、これらがある限り、路面の摩擦抵抗が大きくなっていきます。スムーズに目の前の「荷物」を運搬するためには、これらのノイズにタグ付けをしていきましょう。タグを付けることで、無意識にやっていることを意識付けができるようになっていきます。思考との切り離しができる、ということです。

今やるべきことを、すぐやる。そのために、2つのことにタグを付ける。見える化する、という考え方を書きました。ぜひ、参考にしてみてください。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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