10年に一度の平年値更新 宮城県も“夏”が長くなった
「最近は、一番過ごしやすい春が短くなって、その分、夏が長く続くようになった気がする。」
気象予報士という仕事柄、宮城に長く住んでいる人からはこうした話を持ち掛けられることがよくあります。これも地球温暖化の影響の1つかもしれません。
きょう19日から運用が開始された新しい平年値において、この「夏が長くなった」という感覚が実際にデータとして現れました。
10年に一度 平年値の更新
天気予報でよく耳にする「平年並み」「平年より〇度高い」というこの「平年値」は10年に一度更新されます。気象庁では30年間のデータを平均した値を「平年値」として使っているのですが、あまりに古い30年間のデータを使っても肌感覚と合わなくなるためで、今年はその平年値の更新の年になります。
そしてきょう5月19日から新しい平年値が運用され始めたのですが、地球温暖化の影響と思われる気温の上昇が宮城においても現れています。
新平年値 夏日が増えて霧は減った仙台
グラフは仙台の最高気温の新旧平年値です。これまで使われていた平年値に比べて、新しい平年値は全体的に上にズレていて近年の気温の高さが出ています。
またこの数字は30年分のデータを平均化して均したものなので新旧の差が小さくなってしまいますが、最高気温25度以上の夏日の日数で見るともう少しハッキリと差が出ています。
特に、夏本番である8月の夏日日数はほぼ同じであるのに対して、夏の前後5月~7月や9月~10月の夏日の日数が多くなっています。すなわち早くから夏日が現れ、遅くまで夏日が現れる=夏が長くなっている感覚と合致する結果となりました。おそらく地球温暖化の影響かと思われます。
またこの気温の上昇には、温暖化だけでなく都市化の影響も含まれているかと思われます。都市化が色濃く出ているのが霧の発生日数の減少です。
仙台は、県庁所在地としては全国でもトップクラスの霧の多さなのですが、その仙台の霧日数が新平年値においてはこれまでより如実に少なくなります。
都市化が進むと、植物や土壌から蒸発する水蒸気が減るため湿度が低くなり、結果霧が発生しにくくなります。交通障害のおそれが減るという意味ではいいデータとも言えますが、それだけ仙台の都市化が進んでいるということで、熱がこもりやすくなるため気温も高くなっているかと思われます。
2031年から使う次の平年値が、これ以上温暖化・都市化が進んでいることを示すものにならないよう環境問題について考えてみてください。