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紆余曲折を経た元プロスペクトが、8年ぶりにホームランを打ち、次の打席でもホームラン

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョン・シングルトン(ヒューストン・アストロズ)Aug 11, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月11日、ジョン・シングルトン(ヒューストン・アストロズ)は、2回裏に通算15本目のホームランを打った。

 通算14本目は、2015年7月29日に記録した。14本目と15本目の間には、8年以上のブランクがある。

 かつて、シングルトンは、アストロズでプロスペクトと目されていた。だが、2016年から2022年までは、メジャーリーグでプレーしていない。

 今年6月に、ミルウォーキー・ブルワーズでメジャーリーグへ復帰したものの、11試合で打率.103(29打数3安打)と出塁率.188に終わり、DFAとされた。ウェーバー公示中に獲得の名乗りを上げる球団はなく、シングルトンはFAになることを選択。その3日後に、アストロズとマイナー契約を交わした。

 プロスペクト時代から、メジャーリーグ復帰までについては、こちらで書いた。

「デビュー前に5年契約を手にした元プロスペクトが、8年ぶりにメジャーリーグへ復帰する」

 アストロズへ戻ったシングルトンは、AAAの33試合で打率.333(120打数40安打)と出塁率.446、12本塁打――二塁打が7本あり、安打のほぼ半数は長打――を記録し、8月8日に昇格した。その日は代打として、カイル・タッカーの逆転グランドスラムにつながる四球を選び、先発出場の8月10日も四球で1度出塁したものの、ヒットは出ていなかった。

 ただ、8年ぶりにメジャーリーグでホームランを打ったシングルトンは、次の打席でもホームランを記録した。各ホームランの間のブランクは、通算14本目と15本目が最も長く、15本目と16本目が最も短い。

 オプタ・スタッツによると、8年ぶり、あるいはそれよりも長いブランクを経てホームランを打った試合で、さらに別のホームランも記録したのは、メジャーリーグ史上初。その前の、ホームラン→最も長いブランク→マルチ本塁打は、ジム・ブルージルの1972年9月1日(通算6本目)→ブランク→1978年6月20日(通算7本目と8本目)だったという。

 ちなみに、ブルージルのマルチ本塁打は、2打席連続でも2打数連続でもなかった。

 2打席アーチに続き、シングルトンは、四球、投手ゴロ、シングル・ヒットを記録した。アストロズ復帰後の3試合は、11打席で6度の出塁。ホームランが2本、シングル・ヒットが1本、四球は3だ。

 サンプル数はごくわずかだが、ここから、ホゼ・アブレイユと一塁のポジションを分け合う可能性もある。シングルトンは左打者、アブレイユは右打者だ。

 あるいは、アブレイユに代わってレギュラーとなることも、あり得なくはない。昨オフ、アブレイユは、3年5850万ドルの契約で入団したが、ここまでは、110試合で打率.234(423打数99安打)と出塁率.291、10本塁打だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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