2か月半ぶりに熱中症警戒アラートの発表なしも、しばらくは熱中症対策が必要 南の海は夏まっさかり
熱中症警戒アラートなし
令和6年(2024年)9月4日は、大陸からの乾いた移動性高気圧に覆われてきたため、関東から東海を中心に雨の所があったものの、湿度が低い晴天の地域が多くなりました(図1)。
そして、比較的湿度が低いことから、6月15日以降続いていた熱中症警戒アラートの発表が約2か月半ぶりにありませんでした。ただ、東日本の太平洋側から西日本・沖縄は、暑さ指数が31以上の危険レベル、高齢者においては安静状態でも熱中症が発生するレベルにはなっています。
気象庁と環境省が共同で、全国59地域(都府県毎、北海道と鹿児島県・沖縄県は細分)を対象に、前日夕方と当日朝の1日2回、「熱中症警戒アラート」を発表しています。
観測史上一番暑かったのは、昨年、令和5年(2023年)で、年間の熱中症警戒アラートの発表件数は、のべ1232地域でした。
しかし、今年の熱中症警戒アラートは、9月4日までで、のべ1496地域と、早くも記録的な暑さだった昨年を21パーセント以上も上回っています(図2)。
これだけ、今年は熱中症になりやすい湿った暑さの日が多かったといえるでしょう。
9月4日に熱中症警戒アラートの発表がなかったといっても、9月5日は、沖縄本島地方と八重山地方に発表となっています。
また、気象庁では「高温に関する全般気象情報」を発表し、「東日本では9月6日から7日にかけて、西日本では8日にかけて、気温の高い状態が続くため、熱中症など健康管理に注意してください」と呼び掛けています。
週末にかけて、再び熱中症警戒アラートの発表が増えてくることが予想されます(図3)。
今年、令和6年(2004年)は、6月に入ると最高気温が25度以上の夏日を観測した地点数が6割を超える日が多くなり、7月下旬からは最高気温が30度以上の真夏日を観測する地点数が8割を超えています(図4)。
そして、最高気温が35度以上の猛暑日も7月下旬以降は2割を超えていましたが、8月の終わり頃から台風10号による大雨などで猛暑日や真夏日が激減しています。
しかし、9月6日の猛暑日は100地点(全国で気温を観測している914地点の約11パーセント)、真夏日は607地点(約66パーセント)と、真夏が復活しそうです。
熱帯の海はまだ夏
南シナ海には、非常に強い台風11号があって、発達しながら西進しています(図5)。
台風進路にあたる海域は、海面水温が30度以上もあり、中心気圧925hPa、最大風速50メートル、最大瞬間風速80メートルまで発達する見込みですが、日本への直接の影響はなさそうです。
しかし、熱帯の海は、台風11号の他に、3つの熱帯低気圧と2つの雲の渦があり、まだまだ夏の様相です(タイトル画像)。
熱帯低気圧や雲の渦は消長を繰り返しており、どれが台風12号になるのか、ならないのか、現時点でははっきりしませんが、グアム島があるマリアナ諸島付近で熱帯低気圧が発達してくると、日本に影響がでてくる可能性があります。
台風は太平洋高気圧の縁辺をまわるように北上してくることが多く、夏は太平洋高気圧が張り出している沖縄付近で台風が停滞、あるいは迷走していました(図6右)。
しかし、今年の台風10号は、太平洋高気圧の張り出しが少し北へ移動していたことから、西日本付近で停滞や迷走をしました(図6左)。
また、今年の台風5号が岩手県大船渡市に上陸しましたが、平成28年(2016年)の台風10号が岩手県大船渡市に、令和3年(2021年)の台風8号が宮城県石巻市に上陸するなど、これまであまりなかった北西進して東北地方の太平洋側に上陸する台風が続けて発生しています。
近年、台風の性質が変わってきたのかもしれませんので、台風情報に注意してください。
タイトル画像、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:気象庁ホームページ。
図2の出典:環境省ホームページをもとに筆者作成。
図4の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図6の出典:筆者作成。