ベトナムの労働法について知っておこう 〜Vietnam HRM News〜
ベトナム労働法は、2012年6月18日付で改正され、2013年5月1日に施行。この時点で旧労働法は失効しました。新しい労働法を詳しく知っておきたいところですが、まだまだ施行後に曖昧なまま運用されているものも多く、その都度、弁護士や当局に確認することを推奨します。
ここでは、日本との違いや最近の労働法の運用に関する傾向など、法的な解釈などは扱わず、日本人がベトナムで労働者を雇う際に気をつけるべき基本的な考え方などのご紹介にとどめさせてもらいたいと思います。詳しい部分は、私に直接ご相談いただくか、弁護士などに確認ください。
ベトナム労働法の主な内容は以下の通りです。
1.労働契約(雇用契約、試用期間、労働派遣)
2.職場における対話・団体交渉・集団労働協約
3.職業訓練、賃金、法的労働時間および休日
4.労働規律および対物責任
5.労働安全衛生
6.女性・未成年者・高齢者・障害者等の被雇用者の処遇
7.社会保険
8.労働組合および労働争議の解決方法
9.その他
上記のようなことが定められています。
労働法の世界は多様で細かい規定が沢山ありますので、勉強するとなると相当の覚悟がいります。
これは日本でも一緒ですが、運用していく上で、経営者や現場の管理監督者が気をつけておかなければならない点をしっかりと学習しておくことが重要だと思います。
例えば、1.の労働契約を締結するためには、最低賃金、法定労働時間、時間外労働(残業手当)、解雇通知、解雇手当などのルールがありますので、それらを確認しながら進めないと、当該契約は無効とされてしまいます。
労働時間は、1日8時間、又は週48時間を超えることはできません。
また、時間外労働については、原則として1日4時間、週12時間、1ヶ月30時間、または年間200時間を超えてはいけません。
ただし、これには例外もあるので詳細は法律で確認しましょう。
平日の時間外手当は、通常賃金の最低150%、休日の時間外手当は最低200%、有給休暇や祝祭日の勤務手当は最低300%といったように、日本よりも厳しめの最低増加額が設定されています。また、夜間勤務は30%加算、夜間時間外はさらにそれに20%加算などといったルールもありますので注意が必要です。
年次有給休暇は、通常労働条件の場合には最低12日間です。労働条件によっては最低日数もかわります。
また、使用者には年次有給休暇を取得できるようにスケジュールなどを調整する義務があります。
3ヶ月以上の雇用をする際は、書面による雇用契約を、たとえ日本人であっても、ベトナム語で作成しなければなりません。
以上のように雇用契約の項目ひとつをとってみても、沢山の日本と異なるルールがありますので、人を雇う人は労働法をある程度に勉強をしておかないといけませんね。
賃金水準などについても、周囲の実務家からの情報収集も重要でしょう。
私もベトナムに法人をつくりましたが、賃金水準については採用面談を何人かすすめていくなかで、だんだんと相場観がわかっていく、そのような感想を持ちました。ウェブやJETROなどでの情報収集も重要ですが、実際の情報はやはり生で存在しています。多少の試行錯誤は必要だと覚悟しておきましょう。
できるだけ多くの生の情報をあつめるには、現地でのネットワークづくりが大切です。
ベトナムには、様々な交流会などがありますので、しっかりと多様な方の意見をきいてみることをお勧めします。
私もベトナム・ホーチミンで「人事の大学」というコミュニティを1ヶ月に1回開催していますが、多くの方が試行錯誤している話をきいて、そこから共通項をみつけて、自分なりの答えを創っているという感覚です。
どこかに掲載されているものをみれば大丈夫。
そのような環境にはないので、ネットワークをもって、自分なりの情報整理をして選択肢を考えていくことが必要なようです。
私は、このような状況をできるだけなくすべく、様々に錯綜する情報を整理して伝えていける役割を担えたらと思っております。
どうぞこれからも記事をよろしくお願いします。
以上