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おいしさを引き出す調理科学!秋の味覚に隠された化学の力!

TOUYA化学系研究者

 秋といえば、食欲の季節。サツマイモ、カボチャ、クリ、キノコなど、秋ならではの旬の食材が並び、料理の楽しみも広がります。しかし、これらの食材の美味しさを引き出すためには、実は化学の力が大きく関わっていることをご存知でしょうか?今回は、秋の味覚に隠された化学的な仕組みと、それを活かした調理法について解説します。調理科学を理解することで、家庭でもプロ顔負けの味を楽しむことができますよ!

甘さを引き出す「デンプン分解」

 サツマイモ、カボチャ、クリの甘さの秘密は、デンプンの分解にあります。加熱すると、β-アミラーゼという酵素が活性化され、デンプンを分解して糖分に変える反応が起こります。β-アミラーゼが最も活発に働くのは、約60〜70度の温度範囲です。この温度でじっくりと加熱することで、デンプンが効率よく分解され、甘さが最大限に引き出されます。

調理ポイント

  • サツマイモをオーブンで焼く場合、120度前後の低温で長時間焼くと、甘さが増します。
  • カボチャをゆっくり加熱してスープにすると、甘さと旨味が際立ち、食材の風味を最大限に活かせます。
  • 栗を鍋で茹でる場合は、水から茹で、茹で上がったらそのまま放置して冷ますことで、さらに栗の甘みが引き出されます。

うま味成分「グアニル酸」

キノコには、うま味成分として知られるグアニル酸が豊富に含まれています。グアニル酸は、加熱することで強い旨味を放ちます。また、キノコを乾燥させると、このグアニル酸の量が増えるため、乾燥キノコを使うと料理の旨味が格段にアップします。これは、キノコを干す際に細胞が破壊され、グアニル酸が外に放出されやすくなるためです。

調理ポイント

・干せない場合は、生のキノコを冷凍することでも細胞が壊れ、調理時に旨味が出やすくなります。

まとめ:おいしさを引き出す調理科学!秋の味覚に隠された化学の力!

秋の味覚をより美味しくするためには、ただ調理するだけでなく、化学の力を利用して食材のポテンシャルを最大限に引き出すことがポイントです。デンプンの分解、うま味成分の活用など、調理科学の知識を取り入れることで、家庭でもプロ並みの美味しさを実現できます。ぜひ、今回紹介した調理法を試して、秋の味覚を堪能してみてください!


化学系研究者

東京工業大学大学院の修士課程を卒業後、化学メーカーの医学系研究者として従事。研究成果がメディアに取り上げられた経験有り。科学やAIを活用したお役立ち情報を書いていきます!

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