老後のお金、2000万円必要の根拠 FPが解説 5つのパターンで自分のケースが見つかる
「老後に必要なお金、2億円」という見出しを雑誌で見かけるようになりました。少し前までは「1億円」という見出しだったのがインフレなどもあり2倍になっている印象です。
老後に実際に必要なお金は、生活費、年金などの収支が千差万別です。職業や家族構成で5つのパターンを作りましたので、ご自分に近いものを参考にしてください。巻末には個別で計算する方法もご紹介しています。
単純な計算式としては、必要なお金(支出)から年金等の(収入)を引くと備えるお金となります。必要なお金は二人世帯、単身のパターンの平均額で見積もりをし、年金は職業や家族構成から標準的な額を出しました。
老後に必要な資金:老後の生活費、いくら必要?
単身で5,165万円(25年間生活費+予備費)
「総務省家計調査2022年」によると、高齢単身世帯の1カ月の消費支出および非消費支出の平均額は15万5,495円です。こちらから65歳から90歳までの生活費の総額を出すと、約4,665万円となります。予備費に500万円前後と見積もると、約5,165万円となります。
予備費の考え方として、2年分程度の生活費+アルファ医療や介護の備えとして最低限ひとり500万円程度あると安心です。
夫婦で9,055万円(25年間生活費+予備費)
高齢夫婦、無職世帯の1カ月の消費支出および非消費支出の平均額は26万8,508円です。これは、非消費支出の税や社会保障の支払いや、住居費、医療費なども込みの金額です。こちらから65歳から90歳までの生活費の総額を出すと、約8,055万円となります。予備費に1,000万円前後(ひとり500万円)と見積もると、約9,055万円となります。
生活費はあくまでも持ち家前提でのシミュレーションになりますので賃貸の場合はより生活費がかかる場合もあります。単身で頼れる家族がいない場合などはより介護費を多めに備えてもよいでしょう。
この莫大な生活費を一体何で補うかと言うと、大部分は年金になります。各自が年金ネットなどで年金の金額を試算して、不足額を金融資産や収入などで補う必要があります。
職業と家族構成別にもらえる年金額
1.会社員 シングル 4,874万円(25年間の年金総額)
65歳からの会社員一人の標準的な年金額は、月額で16万2,483円(※)です。
この場合、65歳から90歳までの年金の総額が約4,874万円になります。退職金が出る場合はそちらも含めることができます。
(※)厚生労働省 平均的な報酬(賞与含む月額換算)が43.9万円で40年間就業したケース
2.会社員 x 会社員 カップル 9,749万円(25年間の年金総額)
会社員カップルの場合は先ほどの年金額を2倍すると、二人分の年金額は、月額で32万4,966円です。この場合、65歳から90歳までの二人分の年金の総額が約9,749万円になります。
3.会社員と専業主婦(夫)6,914万円(25年間の年金総額)
次に一方が厚生年金で、一方が被扶養者であった夫婦というパターン。
例えば、夫が会社員で妻が専業主婦というご家庭の場合などです。マネー紙などでよくあるモデルケースです。
このケースで、65歳からの夫婦2人で標準的な年金額は、月額で23万483円です(厚生労働省)。
夫が会社員で、2人分の年金額です。
この場合、65歳から90歳までの年金の総額が約6,914万円になります。
4.自営業者 シングル 2,040万円(25年間の年金総額)
自営業者の65歳からの標準的な年金額は1人当たり月額6万8,000円です。65歳から90歳までの年金の総額が約2,040万円となります。
5.自営業者 カップル 4,080万円(25年間の年金総額)
65歳からの標準的な年金額は自営業カップル二人で月額13万6,000円です。65歳から90歳までの年金の総額が約4,080万円となります。
職業、家族構成別に備えるお金の目安
それぞれのパターンで収支を足し引きするといくらになるでしょうか。
先ほどのパターン別に備えるお金の目安を一覧にしました。
こちらの不足額を老後の資金として金融資産や老後の収入などで育てる必要があります。
自営業者の場合、70歳まで働く、あるいは、元気な限りずっと働くというケースも多いですので、その場合、備えるお金を減らすこともできます。
支出などはあくまでも平均的な金額です。ご自分の場合で出す場合は、現役時代の生活費を参考にし、現役時代と比べて7割で計算します。
年金額はねんきんネットで将来の年金額を試算し、ご自分のケースでシミュレーションをすると、より正確な老後に必要な資金を算定することができます。
また、人生100年時代とも言われ、若い世帯では100歳以上まで生きることが予測されるので不足額はより膨らむ可能性もあります。
この記事ではできるだけシンプルにお伝えするために、インフレなどは考慮せずにまとめました。実際には生活費、年金額、運用をすることによって金融資産が変動します。その試算に関しましては別の記事で触れていますのでご参照ください。
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