楽天市場があるのになぜ? 新しい「ラクマ」はEC強化
4月5日、楽天グループが運営するフリマアプリ「楽天ラクマ」が、Eコマースの強化やブランドの刷新を発表しました。楽天市場があるにもかかわらず、なぜEコマースを強化するのでしょうか。
日本でフリマアプリといえばメルカリを思い浮かべる人が多いでしょう。2021年10月には「メルカリShops」でEコマースに本格参入しました。楽天ラクマが新たに開始する「ラクマ公式ショップ」は、これに対抗する動きといえそうです。
ここで疑問に感じるのは、楽天にはEコマースで日本最大級の「楽天市場」があるにもかかわらず、なぜそれとは別にフリマアプリでEコマースを強化する必要があるのか、という点でしょう。
実は、楽天市場を訪れる客とラクマを訪れる客にはだいぶ違いがあるようです。ラクマは中古品などの二次流通がメインで、年齢層は10〜30代が6割強と若いのが特徴といいます。ラクマを伸ばして若年層を取り込むことは、将来の楽天経済圏にとって重要というわけです。
フリマアプリのような個人間取引(CtoC)の市場は毎年伸びており、2021年には2兆円を超えたとみられています。単に中古品を売買するだけでなく、若年層の間で環境保護やSDGsが注目され、「捨てるのではなく誰かに使ってもらえる」ことの価値が見直されているともいえそうです。
ただし、中古品なら何でも良いというわけではなく、偽物や粗悪品をつかまされるなどフリマならではのトラブルは避けたいところです。そこでラクマ公式ショップに参加できるのは審査をクリアした事業者のみとしており、安心・安全を前面に出しています。
すでにアプリ内には海外輸入、リユース、産地直送などの公式ショップがオープンしています。ユーザーにとっては古着やブランド品、中古スマホを専門業者から購入できること、ショップにとってはフリマアプリを使う若年層にリーチできることが、それぞれのメリットとなっています。
フリマアプリの勢力図に変化は起きるか
ラクマ公式ショップができることで、個人の出品者に影響はあるのでしょうか。「事業者の商品が加わることで、ラクマで買いたいという人が集まる。出品した商品が売れる可能性が高くなれば、出品する人も増える好循環が生まれる」(楽天グループ 上級執行役員の松村亮氏)と、プラスの効果があるといいます。
この「好循環」を強みとしているのがメルカリです。出品者の手数料はメルカリの10%に対してラクマは税込6.6%と差があるにもかかわらず、メルカリの人気は衰えていません。いかに魅力的な場を作れるかというのがラクマの課題といえるでしょう。
楽天経済圏との連携にも注目です。ラクマでの買い物に楽天カードを利用するとポイントを還元するキャンペーンを何度か実施しており、次回は4月8日に始まります。
このキャンペーンの裏には、「楽天市場で楽天カードを使う人は、使っていない人よりも買い物金額が増える」とのデータがあるといいます。楽天市場での経験から、どうすれば成功するのかある程度分かっているのが楽天の強みといえるでしょう。