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大野雄大の「完投負け」は通算6度目。全完投の5分の1が黒星は多いのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
大野雄大 AUGUST 2, 2021(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 4月28日、大野雄大(中日ドラゴンズ)は、通算29度目の完投を記録した。阪神タイガースを相手に、8イニングを投げて3失点(自責点3)。完投ながら9イニングではないことからも窺えるように、中日は敗れた。

 大野の完投は、昨年6月29日以来だ。この試合は、雨によって6回裏の途中に打ち切られ、大野は敗戦投手となった。それと合わせて、今回は2完投連続の黒星ということになる。これらの完投負けは、通算5度目と6度目。29完投中6敗なので、完投した試合の20.7%で黒星を喫している。

 大野が初めて完投を記録したのは、一軍3年目の2013年9月26日だ。広島東洋カープを1点に抑え、白星を挙げた。ここ10シーズン(2013~22年)に完投が二桁の投手は、20人を数える。大野の完投は、39完投の菅野智之(読売ジャイアンツ)のと31完投の則本昂大(東北楽天ゴールデンイーグルス)に次ぎ、3番目に多い。

 一方、このスパンに10完投以上の20人中、完投に占める黒星の割合が高い3人は、50.0%(22完投中11敗)の金子千尋(現・北海道日本ハム・ファイターズ)、45.5%(11完投中5敗)の二木康太(千葉ロッテ・マリーンズ)、35.5%(31完投中11敗)の則本だ。大野の20.7%は、上から13番目。セ・リーグに限ると、8人の4番目だ。

 また、2013年の金子、2018年の菅野、2020年の大野は、いずれも10完投を記録した。2013年以降にシーズン二桁の完投は、彼らしかいない。これらのシーズンにおける、それぞれの完投負けは、金子が7度、菅野と大野は1度ずつだった。

 なお、金子の完投は、すべてオリックス・バファローズ時代だ。2011年以前も合わせた通算43度の完投は、現役投手3位。現在はどちらも東北楽天で投げている、59度の涌井秀章と54度の田中将大に次ぐ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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