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【光る君へ】実は大変好色だった、ロバート秋山さんが演じる藤原実資の意外なエピソード

渡邊大門株式会社歴史と文化の研究所代表取締役
藤原実資を演じるロバート秋山さん。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 今回の大河ドラマ「光る君へ」では、藤原宣孝が「まひろ(紫式部)」の相手に藤原実資を考えていた。しかも、実資に少しエッチな絵を添えていたのが、視聴者に受けていたようだ。

 むろん、この話も史実か否かはっきりしない。ところで、実資に関しては、好色だったという逸話があるので、紹介しておこう。

 ドラマの中の実資はユーモラスであるが、実際はなかなかの堅物だったようだ。実資は朝廷の儀式に精通しており、仕事には極めて厳格だったという。

 ときに道長の良き相談相手になったが、自身の日記『小右記』で道長を手厳しく批判することもあった。それは、政治をめぐる見解の相違というもので、2人は互いに信頼し合っていたといわれている。

 実資には、3人の妻がいた。1人は源惟正の娘で、天延元年(973)から翌年にかけて結ばれたといわれている。亡くなったのは、寛和2年(986)のことである。もう1人は、かつて花山天皇の女御だった婉子女王(為平親王の娘)である。そして、最後の1人が源頼定の乳母の娘である。

 宣孝が「まひろ(紫式部)」の相手に実資を考えていたのは、まず2人とも学問に優れていたということになろう。話題が合えば、良き夫婦生活を送ることができると考えたに違いない。

 それより、もっと重要なことは、実資は藤原氏の小野宮流の当主であり、かなりの資料を受け継いでいたこともあるが、何よりも膨大な所領を有していたことである。

 「まひろ(紫式部)」の父の藤原為時は失職していたので、宣孝はちょうどよいと考えたのだろう。しかし、それはあくまでドラマの中での話にすぎない。

 実資には勤勉実直というイメージがあるが、『古事談』という説話集には、女性にまつわる興味深い話が書かれているので、紹介することにしよう。

 実資は小野宮(京都市中京区)に邸宅を構えていたが、その向かいに美味しい水が出る井戸があった。その井戸には、近くの下女が水を汲みに来ていた。実資はその中に好みの女性を見つけると、自邸に連れ込んでイケナイことをしていた。

 そのことを知った藤原頼通(道長の子)は、もっとも美しい下女に水汲みに行かせ、もし実資が手を出したら逃げるよう命じたのである。ちょっとしたいたずら心である。

 すると、予想通り実資が手を出したので、下女は水桶を捨てて逃げた。その後、実資が頼通邸を訪ね、公事(政務)について相談したところ、頼通から「水桶を返してほしい」といわれ、赤面したという。

 もちろん説話なので、史実か否かは不明であるが、実資の好色ぶりがおもしろい。

株式会社歴史と文化の研究所代表取締役

1967年神奈川県生まれ。千葉県市川市在住。関西学院大学文学部史学科卒業。佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、株式会社歴史と文化の研究所代表取締役。大河ドラマ評論家。日本中近世史の研究を行いながら、執筆や講演に従事する。主要著書に『蔦屋重三郎と江戸メディア史』星海社新書『播磨・但馬・丹波・摂津・淡路の戦国史』法律文化社、『戦国大名の家中抗争』星海社新書、『戦国大名は経歴詐称する』柏書房、『嘉吉の乱 室町幕府を変えた将軍暗殺』ちくま新書、『誤解だらけの徳川家康』幻冬舎新書、 『豊臣五奉行と家康 関ヶ原合戦をめぐる権力闘争』柏書房など多数。

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