楽天のスマホ新機種は価格が約2倍に。なぜ高くなった?
2月14日、楽天モバイルがスマホ新製品「Rakuten Hand 5G」を発売しました。片手で使えるサイズ感が魅力のモデルですが、価格は前モデルの約2倍に引き上げられています。その理由を探ってみました。
楽天モバイルは独自ブランドのスマホを販売しています。製造を委託しているのは中国などのメーカーですが、楽天のネットワークに最適化されており、FeliCaを利用したおサイフケータイなど日本向けの機能も備えています。
その中でRakuten Handは、片手で持てる横幅の細さが特徴です。新モデルは5G通信(Sub6)に対応しつつ、横幅約63mmというサイズ感は維持しており、楽天モバイルによれば「国内で発売されている5G対応スマートフォンにおいて最もスリム」としています。
5G対応以外にも、スペックにはいくつか違いがあります。プロセッサーは「Snapdragon 720G」から「Snapdragon 480」に変更。700番台から400番台に変わったのは気になるところですが、新しい世代のチップであり、ベンチマークテストのスコアはやや下がる程度と予想されます。
使い勝手が変わった点としては、3.5mmのイヤホンジャックが廃止されています。楽天モバイルは「昨今主流になりつつあるBluetoothイヤホンなどの代替手段があるため、シンプルなデザインを追求した」と説明しています。
その代わり、本体にはUSB Type-C用の変換アダプターが同梱されており、これを利用して有線イヤホンを使うことはできます。
面白い新機能としては「デュアルeSIM」があります。物理的なSIMカードを使うことができない点は変わっていませんが、2つのeSIMに異なる通信事業者のプランを割り当てるなど、活用方法が広がりそうです。
前モデルのRakuten Handにおける大きな不満の1つがAndroid OSのアップデートでした。セキュリティパッチは配布されているとはいえ、OS自体は発売当初のAndroid 10のまま、アップデートの提供は未定としています。
一方、Rakuten Hand 5Gでは「今後Android OSのアップデートを予定しております」と楽天モバイルは説明しています。あくまで5G対応のエントリーモデルという位置付けとのことですが、アップデートによって長く使えることを期待したいところです。
前モデルから価格は約2倍に引き上げ
Rakuten Hand 5Gで最も気になるのが価格の変化です。前モデルは発売当初から税込み2万円で、スペックと比べても安すぎるといえる水準でしたが、新モデルは税込み3万9800円と、約2倍に引き上げられています。
この価格設定の理由について、楽天モバイルは「5G対応やカメラ性能、防水・防塵、ROMの増加など性能が向上」といった点を挙げています。実際、ストレージ容量は64GBから128GBに、カメラの画素数は約4800万画素から約6400万画素に、防水・防塵性能はこれまでの「IPX2/IP5X」から「IPX6/IP6X」に強化されています。
それに加えて、筆者が注目したのは「ポイント還元」です。楽天モバイルへの新規申し込みなど条件を満たすことで、最大2万円相当のポイントが還元されます。その場合、実質価格は1万9800円になり、前モデルの2万円と同水準になります。
Rakuten Hand 5Gなどの楽天オリジナル端末は、楽天専用というわけではなく、他のキャリアでも使えます。前モデルのRakuten Handの場合は「povo2.0」が対応機種に挙げており、楽天ユーザーの取り込みを図っていました。
こうした背景を踏まえると、なるべく大きな割引を提供できるような価格設定とすることで、端末単体での販売よりも、楽天回線とのセット販売を強化したいという思惑が感じられます。
なお、前モデルのRakuten Handは価格を7000円引き下げ、単体でも税込み1万2980円で販売されています。楽天の5Gエリアの整備にまだ時間がかかりそうなことを考えれば、お買い得な印象があります。楽天モバイルによればこの販売は「在庫限り」とのことなので、気になる人は早めに検討するとよいでしょう。