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大混乱の2018年NFLも、いよいよシーズン最終戦!タイタンズ対コルツは勝ったチームがプレーオフへ

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
テネシー・タイタンズはシーズン最終戦に勝てばプレーオフ出場が決まる

 9月第1週目に開幕した2018年シーズンも残すところ12月30日に行われるシーズン17週目――レギュラーシーズン最終週――の戦いを残すのみとなった。

 予想外の展開が続いた今季はシーズン最終戦までもつれる大混戦となっており、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)は4地区全ての地区優勝チームが前週の16週目まで決まったものの、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)は4地区中1地区しか地区優勝チームが決まっていない。

 NFLでは通常、日曜日の試合の他に、木曜日の夜に1試合、月曜日の夜にも1試合が行われるが、最終週だけは全チームが揃って日曜日に試合を行う。

 まずは第16週目までにプレーオフ進出を決めたチームと、まだプレーオフ争いに生き残っているチームの成績を見てみたい。

*マークのセインツはNFC第1シードが確定。yが付いているラムズ、ベアーズ、カウボーイズは地区優勝確定。xマークのシーホークスもプレーオフ出場確定で、残る1枠をバイキングスとイーグルスが争う
*マークのセインツはNFC第1シードが確定。yが付いているラムズ、ベアーズ、カウボーイズは地区優勝確定。xマークのシーホークスもプレーオフ出場確定で、残る1枠をバイキングスとイーグルスが争う

 NFCでは南地区優勝のニューオーリンズ・セインツ(13勝2敗)がカンファレンス第1シード権も手にして、プレーオフを通してのホームフィールド・アドバンテージを獲得。17週目はホームにカロライナ・パンサーズ(6勝9敗)を迎えるが、試合の勝敗に大きな意味はないので、プレーオフの戦いに向けて主力を温存することもでき、エースQBのドリュー・ブリーズではなく、控えのテディ・ブリッジウォーターを先発に起用する。

ベテランQB、ドリュー・ブリーズが率いるセインツはNFCの第1シード権が確定。今季は攻守ともに充実した布陣で、2009年シーズン以来となるスーパーボウル出場&優勝に向けて突き進む(三尾圭撮影)
ベテランQB、ドリュー・ブリーズが率いるセインツはNFCの第1シード権が確定。今季は攻守ともに充実した布陣で、2009年シーズン以来となるスーパーボウル出場&優勝に向けて突き進む(三尾圭撮影)

 NFLのプレーオフでは各カンファレンスの地区優勝チームの中で成績上位2チームが、第1ラウンド(ワイルドカード・ラウンド)を免除されるが、最終週に第2シードを争うのが西地区優勝のロサンゼルス・ラムズ(12勝3敗)と北地区優勝のシカゴ・ベアーズ(11勝4敗)の2チーム。

 開幕から8連勝と最高のスタートを切ったラムズは、9週目にセインツに敗れると、そこから4勝3敗と一時の勢いは消えてしまった。最終週はホームにサンフランシスコ・49ナーズ(4勝11敗)が相手だが、無事にこの試合に勝利すると(もしくは引き分け)第2シードを手にする。

リーグ2位のラッシングヤードを記録するトッド・ガーリー。前週は膝の怪我で欠場したが、2位シード獲得よりもプレーオフに備えての怪我の回復を優先させ、最終週の49ナーズ戦も欠場が発表された(三尾圭撮影)
リーグ2位のラッシングヤードを記録するトッド・ガーリー。前週は膝の怪我で欠場したが、2位シード獲得よりもプレーオフに備えての怪我の回復を優先させ、最終週の49ナーズ戦も欠場が発表された(三尾圭撮影)

 ベアーズは敵地ミネアポリスに乗り込んでミネソタ・バイキングス(8勝6敗1分)と対戦。ラムズが49ナーズに敗れ、ベアーズがバイキングスに勝つと両チームが12勝4敗で並ぶが、14週目の直接対決でベアーズがラムズに勝っているためにベアーズが第2シードを手にして、1回戦を免除される。

5勝11敗の昨季から大躍進を遂げたベアーズ。新加入のカリル・マックにばかり注目が集まりがちだが、2年目QBミッチェル・トゥルビスキーの成長も大きい。今季のQBレイティングはリーグ5位。(三尾圭撮影)
5勝11敗の昨季から大躍進を遂げたベアーズ。新加入のカリル・マックにばかり注目が集まりがちだが、2年目QBミッチェル・トゥルビスキーの成長も大きい。今季のQBレイティングはリーグ5位。(三尾圭撮影)

 すでにプレーオフ出場を確定しているベアーズよりも、プレーオフ最後の1枠がかかるバイキングスの方がこの試合にかける気持ちは強そうだ。バイキングスはベアーズに勝つか引き分けるとワイルドカード枠でのプレーオフ出場が決まるが、負けるとフィラデルフィア・イーグルス戦の結果次第となる。

 一方で、昨季のスーパーボウル覇者のイーグルス(8勝7敗)の連覇の可能性は他チームの手に委ねられてしまった。アメリカの首都でワシントン・レッドスキンズ(7勝8敗)と戦うイーグルスは、最終戦に勝ち、なおかつベアーズがバイキングスを倒してくれれば、プレーオフ最後の1枠をバイキングスから奪い取れる。

 昨季に引き続き、エースQBのカーソン・ウエンツが戦線離脱したイーグルスだが、昨スーパーボウル優勝の立役者であるもう一人のQBニック・フォールズが今季先発した試合では3勝1敗と好調で、フォールズが奇跡を引き起こしてくれることを祈るしかない。

 なお、イーグルスが勝ち、同地区首位のダラス・カウボーイズ(9勝6敗)がニューヨーク・ジャイアンツ(5勝10敗)に負けた場合は、カウボーイズとイーグルスが9勝7敗で並ぶが、今季の直接対決でカウボーイズが2勝無敗なのでイーグルスには地区優勝の可能性は残されていない。

 また、すでにワイルドカード枠でプレーオフ出場を決めているシアトル・シーホークス(9勝6敗)が最終週のアリゾナ・カージナルス(3勝12敗)に負けた場合には、イーグルスとシーホークスは今季直接対決を行っていないので、カンファレンス内の勝率の差でシーホークスにワイルドカード枠が与えられる。

 では、次にAFCでプレーオフ争い繰り広げているチームの成績を見てみよう。

地区優勝が決まっているのはペイトリオッツだけだが、チーフス、テキサンズ、チャージャーズもプレーオフ出場は確定。残る2枠をレイブンズ、コルツ、タイタンズ、スティーラーズの4チームで争う
地区優勝が決まっているのはペイトリオッツだけだが、チーフス、テキサンズ、チャージャーズもプレーオフ出場は確定。残る2枠をレイブンズ、コルツ、タイタンズ、スティーラーズの4チームで争う

 北地区のニューイングランド・ペイトリオッツ(10勝5敗)は前人未到の地区10連覇を達成したが、今季のペイトリオッツは例年のような安定感が欠けている。

 ペイトリオッツが二桁勝利に達したのは今年で16年連続となるが、最終週のニューヨーク・ジェッツ(4勝11敗)に順調に勝ったとしても今季は11勝止まり。これは過去9年間で最少の勝ち星でしかない。とくに懸念材料となっているのがエースQBトム・ブレイディの不調で、前週のバッファロー・ビルズ戦では勝利こそ手にしたが、パス126ヤード、1タッチダウンパス、2インターセプト、QBレイティング48.3とNFL歴代最高選手と呼ばれるブレイディらしくないパフォーマンスだった。ブレイディの126ヤードは2003年のビルズ戦で123ヤードを投げて以来となる最低の記録で、QBレイティング48.3は4インターセプトを喫した2006年のインディアナポリス・コルツ戦の34.0以来の低調な数字だった。

 41歳のブレイディに対して年齢による衰えを指摘する声もあるが、ブレイディ本人は「来季も絶対にプレーをするし、それ以降の現役続行も視野にいれている」と目標に掲げる45歳まで現役を改めてアピール。そのためにも、プレーオフでは本来の調子を取り戻して、ペイトリオッツを3年連続のプレーオフに導きたいところだ。

 ここまでホームゲームでは7連勝の負け知らずなだけに、ホームで行う最終戦のジェッツ戦にも勝利して、プレーオフでのホームフィールド・アドバンテージが与えられる第1シードを手にしたい。ペイトリオッツが第1シードを獲得するには、ジェッツ戦に勝つだけでなく、カンザスシティ・チーフスとロサンゼルス・チャージャーズの2チームが揃って最終戦に負けないとならない。

45歳まで現役を続けたいと公言しているトム・ブレイディにとって今プレーオフは真価を問われる戦いとなる(三尾圭撮影)
45歳まで現役を続けたいと公言しているトム・ブレイディにとって今プレーオフは真価を問われる戦いとなる(三尾圭撮影)

 17週目を前にAFCの第1シードに立っているのがチーフス(11勝4敗)。最終週のオークランド・レイダース(4勝11敗)に勝てば、第1シード権が確定する。

 ただし、レイダースに取りこぼすようなことがあれば、第1シードを明け渡すだけでなく、地区優勝さえ逃して、第5シードのワイルドカード枠まで転落してしまう。

今季のサプライズチームであるチーフス。QBパトリック・マホームズの躍進は次世代のスーパースター誕生を感じさせるが、彼が本物のスターになるにはプレーオフでの大活躍が必要不可欠だ(三尾圭撮影)
今季のサプライズチームであるチーフス。QBパトリック・マホームズの躍進は次世代のスーパースター誕生を感じさせるが、彼が本物のスターになるにはプレーオフでの大活躍が必要不可欠だ(三尾圭撮影)

 開幕戦でチーフスに惨敗したチャージャーズ(11勝4敗)だが、その後はチームを立て直して、最終週を前に同率でチーフスに並んでいる。

 チーフスとチャージャーズの直接対決は1勝1敗なので、同地区のこの2チームが並んだ場合には地区内での対戦成績で地区優勝が決まり、その場合はチーフスが地区優勝となる。チャージャーズが地区優勝するためには、敵地でのデンバー・ブロンコズ(6勝9敗)に勝った上で、チーフスの敗戦か引き分けを祈らないとならない。このシナリオが実現すれば、現在5位シードのチャージャーズは第1シードまでジャンプアップする。

 数字は残しながらもプレーオフで結果を出せていないQBのフィリップ・リバースにとって、戦力が充実している今季こそが悲願のスーパーボウル出場への最大のチャンスとなるシーズン。中学生のときから付き合っている最愛の奥さんとの間には8人もの子供を授かっており、奥さんは9年目を妊娠中。子沢山な「無冠の帝王」は8人の子どもたちのためにもスーパーボウルの舞台に勝ち進みたい。

子宝に恵まれたフィリップ・リバースが次に欲しいものはスーパーボウルのリング。最終週の結果次第では第1シードの可能性もあり、悲願のスーパーボウル出場に向けてチャンスのシーズンだ(三尾圭撮影)
子宝に恵まれたフィリップ・リバースが次に欲しいものはスーパーボウルのリング。最終週の結果次第では第1シードの可能性もあり、悲願のスーパーボウル出場に向けてチャンスのシーズンだ(三尾圭撮影)

 チーフスと同じくプレーオフ出場は確定したが、地区優勝が決まっていないのが南地区のヒューストン・テキサンズ(10勝5敗)。開幕3連敗の後、9連勝と破竹の勢いで順位を上げてきたが、コルツに連勝を止められた後は1勝2敗ともたついている。波があるチームなだけに、プレーオフで勢いに乗れば、台風の目となるかもしれない。

 最終週のジャクソンビル・ジャガーズ戦に勝てば地区優勝が決まるが、負けるようだとテネシー・タイタンズ(9勝6敗)対インディアナポリス・コルツ(9勝6敗)の勝者が地区優勝を飾る。

 このタイタンズ対コルツは、NFL最終週の目玉カードとして1試合だけナイトゲームで行われる。勝ったチームはプレーオフ進出、負けたチームはシーズン終了という文字通りのサバイバルゲームだ。

 実はタイタンズは昨季も似たようなシナリオを経験している。昨季はシーズン最終週で地区優勝をすでに決めていたジャガーズとホームで対戦。そこまで8勝7敗だったタイタンズはホームでの試合に勝てばプレーオフ出場、負ければシーズン終了という瀬戸際に立たされた試合で見事に勝利を収めた。

 その昨季の経験を生かして、2年連続のプレーオフ出場を決めたいが、そこに立ちふさがるのはQBアンドリュー・ラック率いる天敵のコルツ。ラックが先発した試合には10戦全敗と非常に分が悪いタイタンズだが、ラックの壁を乗り越えないとプレーオフの道に辿り着けない。

 前週の試合途中に負傷退場したQBマーカス・マリオタは本調子ではなく、試合に出場できるかどうかも試合直前の判断となる。また、守備の要であるDTジャーレル・ケーシーの欠場は確定。攻守の中心選手不在の穴をチーム全体の力で埋めていきたい。

 タイタンズでチアリーダーとしてこの試合のサイドラインに立つ曽我小百合さんは、「NFLレギュラーシーズン、最後の第17週。一番注目されるサンデー・ナイト・フットボールをホームスタジアムで応援することができ、タイタンズ・チアリーダー一同みんな興奮しています!今シーズンは逆転での勝利や、アップセットした試合も多く、ここぞという時の判断力や積極的な姿勢、強さを感じる試合展開も多かったせいか、どんな状況においても、負けない自信があります!最後まで選手とタイタンズの勝利を信じて、全力で応援します!」とコメント。選手だけでなく、チアリーダー、ファンが一丸となってプレーオフ出場を勝ち取っていく決意だ。

サイドラインから踊りと声援で勝利を後押しするタイタンズ・チアリーダーの曽我小百合さんは、「プレーオフ2回戦まで進んだ昨季よりも今季のチームの方が勝利に貪欲で、強さを感じる」と言う(三尾圭撮影)
サイドラインから踊りと声援で勝利を後押しするタイタンズ・チアリーダーの曽我小百合さんは、「プレーオフ2回戦まで進んだ昨季よりも今季のチームの方が勝利に貪欲で、強さを感じる」と言う(三尾圭撮影)

参考記事: 幾多の困難を乗り越えて掴んだNFLチアリーダーの夢

 南地区はテキサンズ、タイタンズ、コルツの三つ巴の争いで、この中から1チームだけプレーオフへの切符を逃すことになるが、北地区はボルティモア・レイブンズ(9勝6敗)とピッツバーグ・スティーラーズ(8勝6敗1分)の争いで、1チームがイン、もう1チームがアウトとなる。

 レイブンズがクリーブランド・ブラウンズ(7勝7敗1分)に勝てば、レイブンズの地区優勝が無条件で決定。ただし、レイブンズが負けるか引き分けて、スティーラーズがシンシナティ・ベンガルズ(6勝9敗)に勝てば、古豪のスティーラーズが地区優勝となり、レイブンズのシーズンは終わる。

 数字的には北地区の両チームがプレーオフへ行ける確率も残されており、それはレイブンズとスティーラーズが勝利した上で、コルツとタイタンズが引き分けること(この場合、レイブンズが引き分けでも可)。今季は引き分け試合も多いだけに、誰も予想しないようなシナリオが現実となる可能性も捨てきれない。

リーグ最強ディフェンスを誇るレイブンズは、先発QBをジョー・フラッコから新人のラマー・ジャクソンに変えてから攻撃のリズムも良くなり5勝1敗と立ち直っただけに、プレーオフでも侮れない存在だ(三尾圭撮影)
リーグ最強ディフェンスを誇るレイブンズは、先発QBをジョー・フラッコから新人のラマー・ジャクソンに変えてから攻撃のリズムも良くなり5勝1敗と立ち直っただけに、プレーオフでも侮れない存在だ(三尾圭撮影)

 1つの試合の結果が、多くのチームに影響を与えるNFLレギュラーシーズン最終週は、アメリカ現地で12月30日、日曜日(日本時間31日、月曜日)に行われる。

 NFL全32チーム中、プレーオフの切符を手にできるのは僅か12チームだけ。アメリカで最も人気のあるスポーツが、レギュラーシーズンで最も熱くなる日に注目だ。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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