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Jリーグから国際舞台で飛躍を遂げる!Uー19日本代表のヤングタレント7

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

富樫剛一監督が率いる”03ジャパン”U−19日本代表はフランスで行われるモーリスレベロ・トーナメント(旧名トゥーロン国際)に臨む23人のメンバーを発表しました。

今回は髙橋センダゴルタ仁胡(バルセロナ)、前田ハドー慈英(ブラックバーン)、サガン鳥栖から渡欧し、オーストリアのFCヴァッカー・インスブルックで活躍するFW二田理央という3人の”欧州組”が選ばれています。

そうした選手がU−19代表にも名前を連ねるというのは1つ日本サッカーの新たな時代を象徴するもので、彼らの活躍にも期待したいです。

また木村凌也(日本大)をはじめとしたGK3人と横浜FCユースから筑波大に進学したMF山崎太新の活躍にも期待したいですが、今回はJリーグやルヴァン杯、ACLで個性が光る7人を筆者の目線で選びました。

なお中野伸哉(サガン鳥栖)はこの世代の象徴的な選手の一人であり、本来ならば大岩剛監督のU−21代表で主力になっているべきタレントということで、叱咤激励の意味も込めて対象外とします。

中野伸哉
中野伸哉

中村仁郎(ガンバ大阪)

今回のメンバーでは最もJリーグの実績がある一人で、ガンバでも主力に定着してきている。左足のキックと鋭い仕掛けを併せ持つ中村はもともと”逆足ウイング”として期待された側面もあったが、片野坂知宏監督はシャドーや2トップの一角で起用しており、ボックス付近でフィニッシュに絡むプレーに磨きをかけている。代表では4ー4ー2の右がメインになりそうだが、左足のキッカーとしても大きな期待がかかる。

坂本一彩
坂本一彩

またFWではガンバの同僚である坂本一彩が追加招集されたので、二人のホットラインも躍進の鍵になりそうだ。

「自分の代の代表やし、自分がチームを引っ張っていくっていう気持ちでやりたい。まず数字で結果を残して、チームを引っ張っていければなと思っています」(中村仁郎)

横山歩夢(松本山雅)

新たに10番を背負う”03ジャパン”のエース候補。J3の松本山雅でゴールを量産して、このカテゴリーからは唯一。松本の代表であり、J3の代表として期待を背負う。前回の合宿ではトレーニングマッチで2ゴールを挙げて注目を集めたが、前からの守備、動き出しなど、あらゆるプレーがこの年代では研ぎ澄まされており、初の国際舞台でどれだけの活躍ができるのか。そして北野颯太や欧州組の二田、ガンバの主力である中村との共演は楽しみだ。

「大会で優勝はチームとしての目標だと思うので、優勝にはこだわってやっていきたい。個人としては得点王を目指していきたいと思います」(横山歩夢)

山根陸(横浜F・マリノス)

確かな技術と広い視野を持ち、J1屈指のインテンシティーを誇るマリノスの中盤に入っても、全く見劣りしないビジョンが目を引く。やはりACLという舞台で存在感を発揮していることは”チームの心臓”であるボランチを任される上で、大きなアドバンテージだ。ポテンシャル的には松木玖生(FC東京)にも匹敵するタレントと筆者は見ている。今回のアピール次第では、同ポジションにタレントが引き締めくU−21代表にステップアップしてもおかしくない。

北野颯太(セレッソ大阪)

鋭い仕掛けと、トップスピードでも精度が落ちないフィニッシュワークを備える。04年生まれで”03ジャパン”では下級生となるが、これまでの活動でそうした様子は全く見られない。MF登録ではあるが9番を授かった通りに、ストライカー色が極めて強いアタッカーで、実際にセレッソでは前線で起用されることが多い。ただ、チャスメイカーとしても優秀で、富樫監督もサイドとトップ、両ポジションで考えているのではないか。

工藤孝太(浦和レッズ)

リーグ戦の出場は無いが、ACLで存在感あるプレーを見せて、評価を引き上げた。前々回の招集では練習試合でキャプテンマークを巻いており、ディフェンスリーダーとして期待されるところが大だろう。左利きであることを生かした展開力を武器とするが、所属チームで日頃から強力な外国人FWとマッチアップしている経験は国際舞台で生かされそうだ。浦和はバックラインに複数のけが人が出ており、台所事情が苦しい中でも工藤を送り出した。その意味を本人がしっかりと受け取って、大会での活躍、そして帰国後のポジション奪取につなげてもらいたい。

「センターバックというポジションは声が大事になって来るので。そこはキャプテンになったならないに関わらずにやっていきたいと思います」(工藤孝太)

宇野禅斗(FC町田ゼルビア)

中盤でボールを奪う能力にかけては世代随一と言っても過言ではない。町田のボランチはレベルが高く、レギュラーを奪えた訳ではないが、主に強いをクローズする役割で投入されることが多く、全体的に間延びしかけたところで示す存在感はスペシャルだ。課題であるボールの動かしも意欲的に取り組む姿勢が見られる。また中野、工藤と並ぶリーダー格の一人で、大会でもキャプテンマークを巻く可能性がある。青森山田高の同僚だった松木に対して強烈なライバル心を隠さないなど、目に見える気持ちの強さも彼のスペシャリティだ。

升掛友護(柏レイソル)

横山と同じく見た目はおっとりしているが、騙されてはいけない。まさしく”神出鬼没”のアタッカーであり、自在性の高いオフの飛び出しと怖れ知らずのフィニッシュで相手ゴールを陥れる。北野、中村と一緒で登録はMFながら常にゴールが期待できるタレントだ。レイソルでもジョーカーとしての重要性は増しているが、本当の意味で主力になっていくために、もう一皮、二皮剥ける必要がある。そのために、今回の国際舞台は大きなチャンスだ。彼もトップ、サイドハーフ、システムによってはインサイドの二列目も可能なだけに、起用法にも注目したい。

文中写真:筆者撮影

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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