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超一流の問題解決能力を身につける!「手描きグラフ」をマスターしよう!

横山信弘経営コラムニスト
頭を整理するために「手描きグラフ」をマスターしよう!(写真:アフロ)

私は経営コンサルタントという職業柄のせいで「グラフ」をよく見ます。代表的なものは3つ。「棒グラフ」「折れ線グラフ」「円グラフ」です。これら3つに加え、「帯グラフ」「散布図」「レーダーチャート」などもよく目にします。このように、グラフには多様なバリエーションがあり、数値化するだけではわからない事柄を、視覚化してわかりやすくしてくれます。

さて、グラフは普通、「見る」ものです。とはいえ、たまに「作る」人もいます。社内資料、社外への提案資料、プレゼン資料、論文……等のために、独自のグラフを作成し、資料のどこかに埋め込むのです。この場合、グラフを作るのに利用するのがエクセルなどの「表計算ソフト」。ところが文字や図表を挿入するように、グラフも簡単に作ることができるかというと、意外にそうではありません。グラフのデータ元となる「表」を正しく作成してからでないと、グラフそのものを作成することはできません。手慣れた人は簡単でしょうが、慣れていない人には若干ハードルの高い作業と言えます。そして何より、グラフを作るためには(一般的に)パソコンが必要です。スマートフォンやタブレットでも作成可能かもしれませんが、グラフはパソコンで作成するのが現時点での常識と考えてよいでしょう。

つまり、「グラフを作る」という事象を考えた場合、一般的には、

● グラフを作る人は少ない

● グラフを作るのには手間がかかる

と言えます。結論づけると、多くの人にとってグラフは身近な存在ではない、と断言できます。

しかしながら、私はグラフを、とてもパワフルなツールだと考えています。問題を解決したり、継続力をつけたり、感情をコントロールするために、とても役立つからです。ですから、もっと多くの人にグラフを利用してもらいたい。グラフを身近な存在にし、『グラフのある生活』を営んでもらいたいと思っています。

そのためには、もっとグラフ作成への心理ハードルを下げなければなりません。通勤電車に乗っているときに、お昼休みに弁当を食べているときに、寝る準備をしている隙間時間に、「ちょっとグラフでも描いてみようかな」と思えるぐらいに、リーズナブルな存在にできないか、と。そのために、ノートやメモ帳にグラフを手描きする方法をお伝えしたいと思います。難しそうに思う人もいるでしょうが、コツさえつかめば想像以上に簡単に描くことができます。

「手描きグラフ」を描くうえでのポイントは以下の3つ。

■ 方眼タイプのノートやメモ帳を使う

■「棒グラフ」「帯グラフ」「折れ線グラフ」の3つが基本。(慣れれば「円グラフ」も)

■「誰か」のためではなく、「自分」のために描く

たとえば、部下3人の営業成績がバラバラだったとします。3人とも一所懸命にお客様のフォローをし続けており、それほど意識や行動にバラつきがあるとは思えない。そういう場合、「月間総労働時間」に対する「営業活動に向けられる可処分時間」の比率がわかるように棒グラフを描き、それに重ねて「月間訪問回数」「月間電話回数」を折れ線グラフで描いてみます。

これぐらいのグラフなら10分以内で作成可能
これぐらいのグラフなら10分以内で作成可能

総労働時間が長い割には、営業に向けられる可処分時間が少ないのは誰で、可処分時間がある割には訪問しておらず、電話ばかりしているのは誰で、結果的に誰が「受注件数」が多いのか? 誰が「受注総額」が大きいのか? これも複合グラフに記入していけば、3人の営業の行動傾向がわかってきます。もちろん、これ以外の指標を、別の軸で切り取り、並べてみてもいいでしょう。言葉や文章で表現するのではなく、グラフで表現することで、どのような切り口・角度で物事を見つめるのか? その視点の持ち方を鍛えることができます。

多くの人は、「グラフを描いても、何も発見などないはずだ」と大抵は思い込んでいます。しかし実際に描いてみると、

「わかっているようで、わかっていなかった」

という、ちょっとした問題点を発見できるものです。この「ちょっとした問題点」を見逃さないことが重要です。とにかく、いろいろな視点を持ち、多種多様な角度でグラフを描いてみることが最大のコツです。

次に、グラフを手描きするうえでの注意点3つを紹介します。

■ 美しく描こうとしないこと

■ 細かい数字は気にしないこと

■ 何度でも描き直すこと

特に「細かい数字は気にしないこと」は大事です。大局的に物事を掴むことで、新たな発見を得られます。「異常値」に気付くことができるのです。細かいことは気にせず、”だいたいこれぐらいだろう”という大ざっぱな感覚でグラフを描いてみましょう。

目標を達成させたり、問題を発見させるために、グラフはとても役立つツールですが、その他にも「継続力」を身につけるうえでも強い味方になってくれます。

たとえば月間100キロを目標に、毎月走っているとします。ペース配分を守るうえでも、「手描きグラフ」はとても役立ちます。目標と実績との複合グラフで表現すると、いつも月末に無理している傾向が「感覚」ではなく「ビジュアル」で理解できます。

実績累計グラフは、意外なことを教えてくれます。
実績累計グラフは、意外なことを教えてくれます。

資格試験のための勉強量と過去問スコアの因果関係を、時間軸で追いかけるためのグラフを描いたり、家族旅行に行った回数と、費やした金額と、そこで味わった満足スコアを、5年間という軸で表現できるグラフを描いてみたり。こうすることで、物事を「点」でとらえる癖が減っていきます。ちょっとしたインパクトのある事件が人生の中で起きるたびに、以下のような漠然とした悩みや不安を抱えるもの。しかしそういった悩みも「手描きグラフ」は解消してくれます。

「自分は頑張っている割に、会社に評価されていないんじゃないか?」

「夫はこまめに家事をやっていると主張するけれど、本当にそうなのか?」

「うちの課はどうして結果が出ないのか? 他の課よりもどうして人財が育っていないのか?」

「もっと読書しろと上司は言うけれど、そんな余裕が一体どこにあるというのか?」

自分の中で思い込んでいる事実が「本当にそうなのか?」を立証する手掛かりとなるからです。頭を整理するうえで、ぜひ身につけたいのが物事の全体を捉える力――「俯瞰力」です。効果的にグラフを作ることで、物事を俯瞰する力が身についてきます。理由は3つあります。

● パソコンではなく、手でグラフを描いている最中に、脳が強制的に、2つの「軸」で物事を切り取ろうとする

● 手で描いたグラフだからこそ、その印象が脳にイメージとして残り、何度も脳の中で反すうする

● グラフを描き続けることで、何事も数字で捉えようとする意識が芽生える

最初は慣れないでしょうが、慣れればグラフを描くのに【10分】以上かかることはないでしょう。だいたいの数字を掴んでおくと、すいすいと描くことができるようになります。

過去に描いたグラフを並べることで、さらに「俯瞰力」がアップします。
過去に描いたグラフを並べることで、さらに「俯瞰力」がアップします。

さらに、「グラフのある生活」を手に入れることで、以下のような事柄が実現できることでしょう。

・何かを継続させる

・一定量の何かを継続させる

・目標を達成させるために、何かを継続させる

・一定量継続している何かが、目標達成に役立っているかを検証する

・全体バランスを見て問題を発見する

・他グループとのバランスを見て問題を発見する

・発見した問題の原因を特定する

・発見した問題の解決策を吟味する

・時間推移を見て、異常値を発見する

・何かを蓄積させる

・目標を達成させるために、何かを蓄積させる

・発生している事象を分析する

・意思決定を促す

・感情をコントロールする

・スランプを脱する……

グラフを身近な存在にすることで、仕事のみならず、新しい生活を手に入れることができるようになります。興味のある方は、方眼ノートやメモ帳を調達し、簡単なグラフから描くトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。(写真の方眼メモや、すべて「ロディアNO.11」を使用しています)

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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累計40万部を超える著書「絶対達成シリーズ」。経営者、管理者が4万人以上購読する「メルマガ草創花伝」。6年で1000回を超える講演活動など、強い発信力を誇る「絶対達成させるコンサルタント」が、時代の潮流をとらえながら、ビジネスで結果を出す戦略と思考をお伝えします。

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