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【河内長野市】家具のオーダーメイドもリメイクも貴重な職人技で。寺元に移転のヤナギウッドワークスさん

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

生活に必要な家具やインテリアをそろえる際、最近の傾向として、ニトリやIKEAのような量販店や通販で、手ごろな値段の組み立て家具を手に入れる場合が多いのではないでしょうか?実際に私も引っ越しの際に、当時じゃんぼスクエアにあったニトリにお世話になりましたし、大阪市内に住んでいたころはIKEAに行ったりもしました。

しかし、河内長野にはそんな量産型の家具でなく、昔ながらの家具職人の工房・ショールームがあります。それはヤナギウッドワークスさんです。

ヤナギウッドワークスさんは、以前は原町のむか新河内長野店向かいの大阪外環状線沿いにお店がありました。

ところが、今年に入って山深い寺元に移転したという情報を得た私はそれはなぜなのか、オーナー職人の柳原さんに会ってお話を伺うことにしました。

寺元といえば観心寺があるところですが、最近は旧松中亭をリノベーションして再利用を考えているKENTOさんのenさんがありますね。そして柳原さんもenさんのところに引っ越しました。ますます寺元が熱くなっていますね。

旅館跡の2階に、ヤナギウッドワークスさんのショールームがあります。

2階のいちばん奥、こちらがヤナギウッドワークスさんの家具を置いているスぺースです。さっそく、柳原さんにお話を伺いました。

西宮出身の柳原さんは、もともと工作など自らの手で何かを作り上げるのが好きだったそうです。そのため、文系の大学を出たもののやはりと方向転換、建築系の専門学校に入りなおしました。就職は建築設計の会社での営業を含めた仕事でしたが、残念なことに設計をしても自ら作るわけではありませんでした。

自分自身の手でモノづくりをしたいと考えた柳原さんは、おもいきって転職。それが兵庫県西宮市に本社がある「家具の富士」さんです。そして柳原さんの営業スキルも認められたことで、河内長野店に配属されました。

家具の富士の物件を柳原さんが引き取る形になった
家具の富士の物件を柳原さんが引き取る形になった

河内長野店は、単に既製品の家具を販売するだけでなく、柳原さんがオーダーメイドやリメイクなどもしていました。そうして店長として務めていた柳原さんがいよいよ家具職人として独立を考えたところ、「柳原さんがいなくなると河内長野店の運営は難しくなる」と家具の富士の社長に言われたそうです。

結果的に家具の富士さんは河内長野から撤退することになり、そして物件はそのまま独立した柳原さんが借りることになったのです。こうして10年ほど前に独立した柳原さんは、家具の富士河内長野店をそのまま、ヤナギウッドワークスとして店舗を構えたのです。

旧松中亭のすぐ近くにあるヤナギウッドワークスさんの新しい工房
旧松中亭のすぐ近くにあるヤナギウッドワークスさんの新しい工房

そんな柳原さんが、大阪外環状線沿いにある場所から山深い寺元になぜ移転したのでしょうか?きっかけはやはりコロナ禍でした。

撤退後のヤナギウッドワークスさんの店舗だったところは白く塗装されて改装中
撤退後のヤナギウッドワークスさんの店舗だったところは白く塗装されて改装中

コロナ禍に始まり、ウクライナ戦争などもあって、木材価格が信じられないほど高騰。家具業界はかなり厳しい状況になったといいます。

さらに家具業界全体としては、多くの消費者のし好が「良い家具」より「安い家具」にシフトし、市場規模が年々縮小しています。柳原さんの出身会社である家具の富士さんは健在ですが、大手の家具メーカーは次々と倒産に追い込まれている現状。

これからの時代は、既製品の家具を並べる時代ではないので、アクセスが良く広い店舗は必要ない。もっと狭い工房でオーダーメイドやリメイクを中心にしていこう、どこか良い物件はないかと考えていた時に、enのKENTOさんと出会ったのです。

河内長野市のニュータウンと呼ばれる地域の家には、40年から50年前の引っ越し時に購入した職人手製の質の良い家具が残っていることが多いといいます。

こういった家具と同じ品質のものを今買おうとすると、かなり高価となるか、職人がおらず手に入らないこともあるとか。

そういった家具を修理して新品同様にするというのが、ヤナギウッドワークスさんの仕事です。リメイクの例を挙げると、例えばこちらの椅子の張替なども柳原さんは請け負うそうです。

古い椅子も、もともとがしっかりとした造作だからか、好きな色や柄に張り替えたりキズのところを補修すると、見違えるように素敵になりますね。

柳原さんはオーダーメイドの家具の制作もしています。依頼主の方の希望を聞き、世界にひとつだけのオリジナルの家具を作り上げます。

ところで、最近の家具業界の動きとして、量産型の家具に飽き足らずビンテージものの家具を好む人も増えているため、そういった家具を集めたおしゃれ系中古家具店も増えてきています。

柳原さんによれば、リメイクの時に触れたように、河内長野には一生ものとして価値のある家具が多く残っている可能性があるそうで、今後そういった中古市場が伸びるかもしれないという期待もあるそうです。

さらに、河内長野がブランド化しているおおさか河内材にも期待はあるそうで、木の品質は吉野杉と比べるとやや劣るものの、一般的なヒノキなどの木材と比べればとても質が良いそうです。

参考までに河内長野市(外部リンク)では次のような特徴が記載されているので引用しましょう。

「おおさか河内材」の特徴は木目が真っ直ぐで切口が真円に近く、年輪の幅も緻密で均一です。色合いも淡紅色で美しく、粘りがあり丈夫な良質材です。

寺元に移転してからの業務として、家具だけでなく木を使った小物のワークショップもしていきたいと考えているそうです。

「家具屋に加えてDIY的なものも加えて幅を広げていきたい」と柳原さんは寺元に来てからの展望を語ります。

移動には便利が良いとはいえ、車の往来の激しい大坂外環状線沿いから、山奥へ移転したヤナギウッドワークさん。ショールームから木々の緑が見える森の中を見ていると、あくまで素人の考えですが、自然豊かな環境になったことで以前よりさらに良いものができる気がしました。

夏に新しいカフェ「恕意(JOY)」がオープンするなど。来るたびに賑やかになる寺元、これからもますます注目していきましょう。

ヤナギウッドワークス(外部リンク)

住所:大阪府河内長野市寺元335-1

営業時間:10:00~17:00

定休日:火曜日

アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 観心寺バス停より徒歩1分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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