【スパイスカレーの副菜】剥きやすい&黄身トロゆで卵の作り方〈卵の科学〉
こんにちは!
スパイスのともさんです。
スパイスカレーのトッピングといえば半熟卵。
でも固ゆでになったり、緩すぎて殻をむくときに崩れたり、殻が剥けにくかったり、ゆでている途中で割れてしまったり…。うまく作るのは意外と難しいです。
今回は、はじめに
『剥きやすい&黄身トロゆで卵の作り方』
を紹介し、
その後に、何故そうなるのかを解説します。
剥きやすい&黄身トロゆで卵の作り方
【準備】
〇卵(Mサイズ)…冷蔵庫で冷やしておく。湯に入れる前に、押しピンで底に穴を開けておく。
〇鍋…水は卵が没する程度の量を入れる。
〇タイマー → 6分30秒
〇ボールに氷水 → 卵を急冷するために、氷水を卵が充分つかる程度入れる。
【調理】
①湯を沸かし、沸騰させる。
②卵を静かに入れる。☆水温が下がらないように、ボコボコと沸騰した状態をキープする。
③タイマーをスタートさせる。
④6分30秒たったら、すぐ氷水に入れ、軽くヒビを入れて、かき混ぜる。
⑤触れる程度に冷めたら、水の中か、流水をかけながら殻を剥く。
うまくできましたか?
卵に穴を開けたり、氷水で急冷したりするのは、もちろん理由があります。
では、その理由を見ていきましょう。
冷蔵庫で冷やす理由
冷蔵庫で冷やすのは、スタートのときの卵の温度を一定にするためです。
またボコボコと沸騰し続けるように加熱するのも同じ理由です。
何故それが大事なのか、まず卵が固まる仕組みを知って下さい。
卵が固まるのは、卵にふくまれるたんぱく質が、加熱されることで変性するためです。
これを「熱凝固性」といいます。
卵黄と卵白は含有するたんぱく質が違うので、固まる温度が違います。
〇卵黄 → 65~70 度
〇卵白 → 75~80 度
卵黄の方が凝固する温度が低いので、先に固まってしまうように思います。
しかし実際は、卵の周りから温まっていくので、卵白から固まっていきます。
でも、凝固する温度を知っていれば、卵黄だけ固めることもできます。
低温調理器などで、湯の温度を65度以上75度未満にキープして時間をかけて温める。こうすれば卵黄のみが固まります。いわゆる温泉卵ですね。
温泉卵は、温泉の熱エネルギーをうまく利用して、卵黄のみを固めています。
このように、ゆで卵を作るには、温度の調整がとても大事なんですね。
室温だと、調理をスタートするときの温度が毎回まちまちになってしまうので、仕上がりもばらけてしまいます。
でも冷蔵庫なら、ずっと一定に保つことができます。
また、お湯は冷たい卵を入れると、温度が下がってしまいます。これが仕上がりに差を生む原因になります。
なので、できるだけ温度が下がらないように、常にボコボコするぐらい強めに加熱することが大事なんです。
卵の底に穴を開ける理由
卵の底に穴を開けるのは、中にある二酸化炭素を抜くためです。
ゆで卵がゆでている最中に割れてしまったことはないですか?
また、茹で上がった後、剥きにくかったことはないですか?
これは、卵の中に多く含まれる二酸化炭素が加熱によって膨張することが原因です。
膨張した二酸化炭素が、殻の中に納まりきれなくなって、割ってしまいます。
また、割れなかった場合は、内側から殻をぎゅうぎゅうと押す状態になり、殻と身が圧迫され剥けにくくなります。
この現象は、二酸化炭素を除いてやれば解消されます。
方法は簡単で、押しピンで卵の底に穴をあけるだけで、抜けます。
冷水につける理由
茹で上がった後、冷水で急冷する理由は、黄身に熱が通り過ぎるのを防ぐためと、殻と身の収縮率の差を利用して、隙間を作り剥けやすくするためです。
茹で上がった状態のまま放置すると、熱された卵自体の熱で黄身が固まってしまいます。
それを防ぐため、急冷する必要があります。
冷水に入れて、放置するのではなく、軽くかき混ぜることで、より速く冷やすことができます。
また、ゆで卵は冷えると収縮します。
殻と身の縮み方に差があるのですが、急冷することで、その差を大きくすることができるので、両者の間に隙間を作ることができます。
さらにヒビを入れることで、隙間に水が入り込み、剥きやすくなります。
水中か流水をかけながら剥くのも、隙間に水を入れながら剥くことができるからです。
最後に
簡単にできるゆで卵ですが、卵の自体のことや、加熱による変化を知ることで、温泉卵や半熟卵など自由自在に作れるようになります。
「料理は科学」という言葉がありますが、まさにその通りだなと思います。