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昨年は「サヨナラを含む1試合3本塁打」の選手が、今年は「どちらも海へ飛び込む1試合2本塁打」

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャック・スウィンスキー(ピッツバーグ・パイレーツ)May 29, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月29日、ジャック・スウィンスキー(ピッツバーグ・パイレーツ)は、7回表と9回表にホームランを1本ずつ打った。どちらの打球も、サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地、オラクル・パークのライト後方にある、マッコビー湾に飛び込んだ。

 ジャイアンツのサイトは、ジャイアンツの選手がマッコビー湾まで飛ばしたホームランを「スプラッシュ・ヒット」と謳い、相手チームの選手による同様のホームランは「マッコビー湾に達した他のホームラン」としている。だが、マッコビー湾に飛び込んだという点に違いはない。この記事では、打ったのがジャイアンツ以外の選手でも「スプラッシュ・ヒット」として扱う。

 1試合に2本の「スプラッシュ・ヒット」を打った選手は、スウィンスキーが2人目だ。それまでは、バリー・ボンズしかいなかった。ボンズは2度、2000年5月10日と2002年5月18日に記録している。

 スウィンスキーは、メジャーリーグ2年目の24歳。通算本塁打は、「スプラッシュ・ヒット」が29本目と30本目だ。ただ、昨年6月19日にも、珍しいマルチ本塁打を記録している。サヨナラ本塁打を含む1試合3本だ。相手はジャイアンツだが、サヨナラ本塁打が含まれていることからわかるように、球場は今回と異なる。ホームのPNCパークだ。これがどれくらい珍しいのかについては「「サヨナラを含む1試合3本塁打」はそう珍しくないのか。今月はこの選手が2人目」で書いた。

 これらの他にも、スウィンスキーは、マルチ本塁打を2度記録している。今シーズンの4月18日と5月26日に、それぞれ1試合2本だ。メジャーリーグ2年目で4度のマルチ本塁打は――4度目となった5月29日の2本目は、野手からのホームランだが――なかなかのペースではないだろうか。また、昨シーズンのホームランは、106試合で19本。今シーズンは、ここまで45試合に出場して11本だ。

 ちなみに、スウィンスキーと同じく、パイレーツからメジャーデビューしたボンズは、メジャーリーグ1年目の1986年が113試合で16本塁打、2年目の1987年は150試合で25本塁打だった。最初の2シーズンに、マルチ本塁打は2度。1987年に2度、1試合2本塁打を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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