復活した熱帯低気圧「クリストバル」、中米の次はアメリカ上陸か
「ゾンビストーム」と名付けたらいいのでしょうか。
5月末に中米を直撃したトロピカル・ストーム「アマンダ(Amanda)」が、再び猛威を振るっています。
アマンダはグアテマラに上陸後、一度は低気圧になりましたが、メキシコ湾で再発達し、トロピカル・ストーム「クリストバル(Cristobal)」になったのです。
※トロピカル・ストームとは、最大風速17~32m/sの熱帯低気圧。
「アマンダ」の詳細
それではまず、アマンダがどのような嵐だったのか振り返ってみます。
アマンダは5月31日(日)に発生し、東部太平洋海域における今年第1号のトロピカル・ストームとなりました。
中米のグアテマラ周辺に大雨をもたらし、22名が命を落としました。特に被害の大きかったエルサルバドルでは、首都で陥没穴が開いて、家屋や車が飲み込まれるといった大惨事も起きています。
「クリストバル」へ
アマンダはグアテマラ上陸直後に、温帯低気圧となりました。そのまま北上しメキシコ湾に到達、その後発達して、2日(火)に「クリストバル」となりました。
発生早々記録を塗り替え、大西洋(メキシコ湾を含む)史上もっとも早い時期に発生した第3号のトロピカル・ストームとなりました。なお、これまでの最早記録は2016年6月5日に発生した「コリン(Collin)」です。
※東部太平洋と大西洋で発生するトロピカル・ストームは、ABC順で名前が付けられる。第1号ならばA、第3号ならばCから始まる。
クリストバルはどこへ向かうのか
今後クリストバルは、どのような動きをするのでしょうか。
クリストバルは、今週いっぱいメキシコ・ユカタン半島付近に居座る見込みです。
同じような場所に大雨が降り続くことから、驚異的な雨量が予想されています。30日(土)からの総降水量は、グアテマラやエルサルバドルで890ミリ、メキシコで630ミリに及ぶおそれがあります。
週末にはメキシコ湾を北上、7日(日)にもアメリカ・ルイジアナ州などに上陸する可能性が出ています。どれほどしつこい嵐なのでしょうか。
ストーム「ヘルミン」
ところで、過去にも同じように経路をたどって、アメリカを直撃した嵐がありました。2010年のトロピカル・ストーム「ヘルミン(Hermine)」です。
ヘルミンは熱帯低気圧としてグアテマラに上陸、メキシコを通過し、中米で50名以上の死者を出す大災害を引き起こしました。その後、メキシコ湾でさらに発達してトロピカル・ストームとなり、アメリカ・テキサス州に上陸しています。
なお、ヘルミンは太平洋から大西洋へと低気圧にならずに渡り切ったトロピカル・ストームです。このような例は、1971年以降ほかに一つもありません。