【W杯決勝展望】3度目の頂上決戦、聖地マラカナンで“真の勝者”を目指すドイツとアルゼンチン
ブラジル・ワールドカップも残すは3位決定戦と決勝戦のみ。栄えあるファイナルの舞台へと駒を進めたのは、3度目の優勝を目指すアルゼンチンと、4度目の世界一を狙うドイツだ。
両者がW杯決勝で顔を合わせるのは今回で3度目。最初の対戦となった1986年メキシコ大会では、ディエゴ・マラドーナ擁するアルゼンチンが西ドイツに3−2で勝利を収め、翌1990年イタリア大会決勝では、西ドイツが1−0で勝利し、リベンジを果たしている。
3度目の対戦。アルゼンチンの英雄マラドーナは自身の番組『De Zurda』で次のように展望を語った。
「脅威だと感じていたドイツといよいよ対戦することになった。ドイツは強い。それは十分に承知している。でも、私はアルゼンチンがドイツを破ることは決して不可能ではないと思っている」
準決勝でブラジルに7-1という歴史的大勝を収めるなど、したたかさに加え、爆発力を見せつけたドイツ。一方のアルゼンチンはオランダとの準決勝でPK戦の末に勝利を収めるなど、勝負強さを発揮。ボランチのハビエル・マスチェラーノを軸とする強固で粘り強いディフェンスで、ベスト16以降は相手に1点も与えていない。
ここまでの両者の勝ち上がりを振り返ってみよう。
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【ドイツ】
・グループリーグ第1節
ドイツ4−0ポルトガル
得点者/トーマス・ミュラー(12分、45分、78分)、マッツ・フンメルス(32分)
前半12分のミュラーのPK、同32分のCKからのフンメルスの追加点と、セットプレーから2点を奪ったドイツが前半で3点をマークし、ポルトガルを圧倒。ミュラーは78分にもゴールを挙げ、今大会初のハットトリックを達成した。
・グループリーグ第2節
ドイツ2−2ガーナ
得点者/マリオ・ゲッツェ(51分)、ミロスラフ・クローゼ(71分)
ゲッツェのゴールで先制したドイツだが、その後の連続失点でリードを許す形に。後半途中出場のクローゼのワールドカップ通算15得点目で勝ち点1を獲得した。
・グループリーグ第3節
アメリカ0−1ドイツ
得点者/トーマス・ミュラー(55分)
CKの流れからミュラーがミドルシュートで先制点をマーク。この1点を守りきったドイツがグループG首位通過を決めた。
・決勝トーナメント1回戦
ドイツ2−1アルジェリア
得点者/アンドレ・シュールレ(延長前半2分)、メスト・エジル(延長後半15分)
延長前半立ち上がりにミュラーからのグラウンダーのクロスをシュールレが左足のヒールで流し込み、ドイツが先制。終了間際の120分にエジルが追加点を奪い、その後、1点を返されたものの2-1で延長戦を制し、ドイツが16大会連続のベスト8進出を決めた。
・準々決勝
フランス0-1ドイツ
得点者/マッツ・フンメルス(13分)
クロースのFKからフンメルスがヘディングで先制点をマーク。その後、守護神ノイアーを中心とした堅い守備でフランスの反撃をしのいだドイツが4大会連続のベスト4進出を決めた。
・準決勝
ブラジル1-7ドイツ
得点者/トーマス・ミュラー(11分)、ミロスラフ・クローゼ(23分)、トニ・クロース(24分、26分)、サミ・ケディラ(29分)、アンドレ・シュールレ(69分、79分)
負傷のネイマール、出場停止処分のチアゴ・シウヴァを欠く開催国ブラジル対手に歴史的大勝。クローゼが元ブラジル代表ロナウドと並んでいたワールドカップ通算得点記録を16に更新し、単独トップに。さらに、ミュラーの決めた先制点は、ドイツ代表の国際Aマッチ通算2000ゴール目となった。
【アルゼンチン】
・グループリーグ第1節
アルゼンチン2−1ボスニア・ヘルツェゴビナ
得点者/OG(3分)、リオネル・メッシ(65分)
初出場のボスニア・ヘルツェゴビナ相手にOGで早々と先制点を奪ったアルゼンチンは、65分にメッシのカットインからのゴールで追加点をマーク。その後、1点を返されたが2-1で勝利し、白星スタートを切った。
・グループリーグ第2節
アルゼンチン1−0イラン
得点者/リオネル・メッシ(90分)
スコアレスドローに終わるかと思われた後半アディショナルタイム、ディマリアからのボールを受けたメッシが得意の左足で決勝点をマーク。2連勝のアルゼンチンは1試合を残し、決勝トーナメント進出を決めた。
・グループリーグ第2節
ナイジェリア2−3アルゼンチン
得点者/リオネル・メッシ(3分、45分)、マルコス・ロホ(50分)
エース、メッシの2ゴールと、ロホの代表初ゴールでアルゼンチンがナイジェリアに3-2の勝利。2得点のメッシはボスニア・ヘルツェゴビナ戦、イラン戦に続きMOMに選出。グループリーグ3試合で同賞に選出された。
・決勝トーナメント1回戦
アルゼンチン1−0スイス
得点者/アンヘル・ディ・マリア(延長後半13分)
スコアレスドローで迎えた108分、メッシがピッチ中央をドリブルで持ち上がりペナルティエリア内のディ・マリアにラストパス。このボールをディ・マリアがゴール左へ流し込み、先制点を奪ったアルゼンチンが120分の激闘を制した。ディ・マリアのゴールをアシストしたメッシはグループリーグの3試合に続き、4試合連続でMOMに選出。
・準々決勝
アルゼンチン0-1ベルギー
得点者/ゴンサロ・イグアイン(8分)
イグアインの今大会初ゴールで先制したアルゼンチンがこの1点を守りきり、1-0の勝利。準優勝の1990年イタリア大会以来となる6大会ぶりの準決勝進出を決めた。
・準決勝
オランダ0(2 PK 4)0アルゼンチン
アルゼンチンはベルギー戦で負傷したディ・マリアに代わりペレスがスタメン出場。緊迫した展開のまま90分を終えた試合は延長戦でも決着がつかず、PK戦に突入。オランダの最初のキッカー、フラ−ルのPKを守護神ロメロが止めると、アルゼンチンは1人目のメッシが落ち着いてゴールネットを揺らし、リードを得る。ロメロはオランダの3人目、スナイデルのPKも止め、アルゼンチンは4人目のマキシまで全員が成功し、PK戦を4-2で制した。
聖地マラカナンで迎える“3度目の頂上決戦”。ブラジルとの準決勝を消耗度の低いゲーム内容で制したドイツに対し、アルゼンチンはPK戦までもつれた上での決勝進出。試合間隔でもドイツが1日多く、コンディション面でのアドバンテージは前者にある。
一方のアルゼンチンはやはり、メッシの活躍がカギを握るだろう。この小さなアルゼンチンのキャプテンは、1990年大会でキャプテンとしてマラドーナが成し得なかった(※優勝した1986年大会のキャプテンはアントニオ・ラッティン)世界一を手にすることができるのか。「夢をかなえるために全てを尽くす」と語る10番のパフォーマンスに注目したい。