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『白と黒の革命』が映す日本社会の中東観――松本清張と国際ジャーナリズム(5)

高橋和夫国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

当時の日本でイラン情勢を的確に見通した人を知らない。たとえば既に見たように大規模なデモの日にテヘランでの首脳会談を設定した日本の外務省はシャーが倒れるなど夢にも思っていなかった。イランに長年勤務した外交官が、「自分が一番イランを知っているつもりだったが、革命が来るのが分からなかった。恥ずかしいよ」と告白するのを聞いたことがある。イラン情勢が読めてなかったのは日本ばかりではなかった。その前の週には中国の華国鋒主席がテヘランを訪問している。これは、「治安当局に殺害された殉教者の遺体を踏みつけに来た」と革命勢力に批判された。後に華国鋒はホメイニーに謝罪の書簡を送る羽目となった。日中ともにイランでは苦労したわけだ。

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国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

国際情勢をわかる言葉で、まず自分自身に語りたいと思っています。北九州で生まれ育ち、大阪とニューヨークで勉強し、クウェートでの滞在経験もあります。アメリカで中東を研究した日本人という三つの視点を大切にしています。映像メディアに深い不信感を抱きながらも、放送大学ではテレビで講義をするという矛盾した存在です。及ばないながらも努力を続け、その過程を読者の皆様と共有できればと希求しています。

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