5年前にメジャーデビューした選手が、ようやく初ヒットを打ち、初のマウンドにも上がる
6月12日、アンディ・バーンズ(ロサンゼルス・ドジャース)が1打席目に打ったのは、当たり損ねのゴロだった。遊撃手が前に走ってきて拾おうとしたが、ボールはグラブの土手に当たって跳ねた。公式記録員は、これをヒットと判定した。
どんな打球でも、ヒットはヒットだ。しかも、30歳にしてようやく記録した、メジャーリーグ初安打。バーンズは一塁で笑みを浮かべた。
メジャーデビューは5年前。2016年にトロント・ブルージェイズの選手として10試合に出場し、7打席で6打数0安打、1死球に終わった。そこから今年の6月11日まで、バーンズがメジャーリーグでプレーすることはなかった。2017~18年は韓国で過ごし、ブルージェイズへ戻った2019年は、AAAのシーズンが終わってからオーストラリアでもプレーした。昨シーズンもブルージェイズに在籍していたが、昇格することはなかった。
昨年12月にドジャースとマイナーリーグ契約を交わし、バーンズはノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待選手)として、スプリング・トレーニングに参加した。もともと、選手層の厚いドジャースにあって、開幕ロースターに入るチャンスは皆無に近かった上、エキシビション・ゲームでは、25打数2安打、12三振と振るわなかった。
ただ、5月に開幕したAAAでは、30試合で5本のホームランと11本の二塁打を打ち、打率.330(97打数32安打)と出塁率.427を記録。7盗塁も決めた(失敗1)。マックス・マンシーの故障者入りに伴い、バーンズは6月12日に昇格。「7番・二塁」として、メジャーリーグの試合のスターティング・ラインナップに、初めて名を連ねた。
さらに、9回表の途中(無死)からはマウンドに上がり、打者6人に投げて3安打――そのうちの2本は自身がまだ打っていない二塁打とホームラン――を喫したものの、何とかイニングを終わらせた。バーンズは内野を中心に外野も守るが、メジャーリーグでもマイナーリーグでも、マウンドに上がったことはなかった。おそらく、韓国とオーストラリアでも、登板はしていないと思われる。調べた限りでは、どちらでも一塁以外の内野3ポジションを守っている。
なお、ドジャースには、捕手&二塁手のオースティン・バーンズがいる。2人ともイニシャルはA.B.だが、初ヒットを打ったバーンズは「Burns」、通算200安打まであと1本のバーンズは「Barnes」と綴る。また、ともにアリゾナの大学出身ながら、こちらも同じではなく、アリゾナ大とアリゾナ州立大。ドラフト入団は同期。2011年の11巡目・全体349位(ブルージェイズ)と9巡目・全体283位(フロリダ・マーリンズ)だ。