超音速対艦ミサイル「ASM-3A」の量産開始が決定
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12月25日に防衛省は「新たな重要装備品等の選定結果について」において、超音速対艦ミサイル「ASM-3A【量産品】」の取得経費を令和3年度(2021年度)予算案に計上する決定を発表しました。
「ASM-3A」
1 事業の概要
本事業は、我戦闘機の残存性を確保しつつ、彼戦闘艦艇等に対し脅威圏外から有効に攻撃するため、超音速飛しょうにより高い残存性を有する空対艦誘導弾である射程延伸型ASM-3(ASM-3A)を取得する。
なお、周辺国の艦艇が急速に近代化する状況を踏まえれば、従来型より射程等が向上した空対艦誘導弾を早期に取得する必要があるため、本事業は、令和2年度から着手したASM-3(改)の開発の途中成果を反映したASM-3Aの量産取得を行うものである。
※ ASM-3Aより能力向上するASM-3(改)の開発は継続して実施予定。
このASM-3AはASM-3の射程延伸を図ったASM-3(改)とは別の装備です。ASM-3(改)の開発完了を待たずに途中で一部機能を獲得したASM-3Aを量産開始するという異例の決定となっています。防衛省には急がなければ有事に間に合わないという焦りがあるのでしょうか?
ASM-3
↓ ↓
↓ →ASM-3A
↓ ↓
ASM-3(改)
これら3種類は別種となります。この形式番号の付け方だとASM-3(改)は正式採用された後にはASM-3Bと改称される可能性が高そうです。
現段階の情報ではASM-3A とASM-3(改)の差異は分かりません。どちらも無印ASM-3からの射程延伸型ということしか判明していません。
長射程化技術の確立
搭載母機の運用性を維持するとともに、開発期間、経費を縮減するため弾体規模を変更せず、射程延伸に必要な機体の軽量化等を行うことで長射程化技術を確立する。
なおASM-3(改)ではミサイルの大きさは変更せず射程延伸を行う計画です。これは弾頭を軽量化する引き換えに燃料搭載量を増やすなどの改良を意味していると思われます。(追記:弾体全体を複合材と金属を組み合わせた一体成型として軽量化し、浮いた重量で燃料搭載量を増やす方針と判明。)
ASM-3Aでも2021年度から取得開始する以上は既に完成済みの筈で、大きさを変更するといった大掛かりな改修はされていないでしょう。他に考えられる射程延伸方法は飛行プロファイルの高度変更で燃費の良い高高度巡航の最適化なども考えられます。ただし情報が少な過ぎて改修内容はまだ確定的なことは言えません。
![防衛省:令和元年度 政策評価書(事前の事業評価)「ASM-3(改)」別紙より](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/obiekt/00214551/image-1608918777521.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)