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30得点でクリッパーズを6連敗に突き落とした若き司令塔

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 試合終了のブザーが鳴る43.9秒前、ロスアンジェルス・クリッパーズのカワイ・レナードがドライブからのレイアップを決め、アトランタ・ホークスに追いついた。

 スコアは108ー108。

 Crypto.comアリーナに詰めかけた1万9068人のファンの多くは、立ち上がって絶叫する。

29得点したカワイ・レナード
29得点したカワイ・レナード写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 現在、西地区7位のクリッパーズは、負けてしまうと6連敗となる。ホームのファンの前で、それは避けたかった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 しかし、ホークスのポイントガード、トレイ・ヤングが、ここから勝負強さを発揮する。

 残り時間33.1秒でジャンプショットを決めて110-108。続いて残り5.7秒にはマーカス・モリス・シニアのファールを誘い、フリースローを得る。その2本を危な気なく成功させ、ホークスは112-108でクリッパーズを下した。

 ヤングのこの日の得点は両チームを通じて最多の30。2位がレナードの29であった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 2021年、ヤングにとって初となるPlayoffで、満身創痍となりながらもホークスを牽引した姿が印象的だった。同シーズンのアトランタが合言葉とした「Believe」は、今日も健在だと感じさせるような勝ち方だった。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210625-00244465

 あれから2年近くが経ち、すっかりスター選手の仲間入りを果たしたものの、ゲーム前に念入りにシュート練習する様は変わらない。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 クリッパーズ後、「切り替えのスピードを意識した。そして走って、速いペースでプレーすることが大きな鍵だった」と語ったヤングは、今季がNBA選手として5年目。オクラホマ大学では1年プレーしたのみで、アーリーエントリーしてドラフト1巡目5位となったため、まだ24歳である。

 接戦を制したホークスは、この勝利で、ホークスのネイト・マクミラン監督に通算750勝目をプレゼントし、マクミランは歴代4位となった。

 とはいえ、19勝21敗で東地区10位とホークスが苦しんでいるのも事実だ。クリッパーズ戦をきっかけに、浮上できるか。ヤングのリーダーシップに期待したい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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