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弱体化が予想されるロシアW杯後の日本サッカーに、つける薬はズバリ「哲学」だ

杉山茂樹スポーツライター
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

「3バックか、4バックか。どちらなのかわかりませんけれど、監督の求めるものを、ピッチの上で表現できれば……」と語ったのは、スイス戦後の槙野智章だ。3バックとは3-4-2-1。4バックとはおそらく4-2-3-1。前者は守備的サッカーに、後者は攻撃的サッカーに属する布陣だ。

 守備的か、攻撃的か。いまだ、どちらを採用するのか、選手はわからないそうだ。西野ジャパンの弱さを集約しているポイントだ。西野さんが、根本的な問題を明確にせぬまま代表監督の座に就いてしまったことを問題視する人はあまり多くない。

 まさに究極の、哲学の領域に迫る選択だ。明示すれば監督の色は鮮明になる。それは言い換えればカリスマ性だ。哲学を語る監督ほど、高いカリスマ性が宿ることになる。監督にとってカリスマ性を備えることはなによりの財産なのだ。

 攻撃的か、守備的か。試合によって、相手によって使い分けるタイプもいる。ジョゼ・モウリーニョはその典型的な監督だ。これもまた色といえば色である。よく言えば現実主義者となるが、この場合、その立場を維持するためには常に結果を残す必要が生じる。結果を残せない現実主義者は、現実主義者ではないからだ。哲学者としての魅力も失われてしまう。

 西野監督がもし現実主義者なら、就任に際し、そうハッキリ語るべきだったのだ。それも色であり、哲学の範疇に収まるのかもしれない。少なくともカリスマ性はいまより出たはずだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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