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アストロズがローテーションの順番を入れ替える理由。シリーズ2勝0敗の余裕!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリスチャン・ハビア(ヒューストン・アストロズ)Oct 1, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ヒューストン・アストロズは、ディビジョン・シリーズでシアトル・マリナーズをスウィープした。先発マウンドに上がったのは、第1戦がジャスティン・バーランダー、第2戦がフランバー・バルデス、第3戦はランス・マッカラーズJr.だ。

 リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第1戦と第2戦も、それぞれ、バーランダーとバルデスが投げた。順番どおりにいけば、第3戦はマッカラーズJr.となる。けれども、第3戦の先発投手は、マッカラーズJr.ではなく、クリスチャン・ハビアだ。

 登板間隔が理由ではない。マッカラーズJr.は、10月15日に投げたので、22日のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第3戦は中6日。間隔は十分に空いている。ちなみに、15日は、スコアボードにゼロを6つ並べた。

 第3戦の終了後、クラブハウスでリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ進出を祝っていた時に、マッカラーズJr.は右肘を負傷した。自身が会見で語った内容によると、誰かが手にしていたシャンペンのボトルがぶつかったという。これが映画か何かのシーンなら、テイラー・スウィフトの「シャンペン・プロブレムズ」が流れるところだ。

 マッカラーズJr.は、21日にブルペンで投げ、問題はなかったということなので、おそらく、大事をとったのだろう。第4戦には登板すると思われる。シリーズを2勝0敗としていることも、登板順序の入れ替えを後押ししたのかもしれない。

 ハビアは、ディビジョン・シリーズ第1戦で1.1イニングを投げ、エウヘニオ・スアレスにホームランを打たれた。けれども、今年のレギュラーシーズンは、先発25登板とリリーフ5登板の計148.2イニングで、奪三振率11.74と与四球率3.15、防御率2.54とFIP3.16を記録している。他のチームなら、最初からポストシーズンのローテーションに入っていても、まったくおかしくなく、アストロズでも、第4戦の先発登板が予定されていたと思われる。

 また、6月と7月には、ヤンキースを相手に1度ずつ投げ、計12イニングで1失点に抑えている。最初の登板は、7イニングを無安打無失点。ヘクター・ネリスライアン・プレスリーとともに、継投ノーヒッターを達成した(「ヤンキースが19年ぶりにノーヒッターを達成される。前回と今回の共通点は、ホーム、継投、アストロズ」)。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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