「攻めの廃線」とは何だったのか!?鉄道路線消えた夕張のその後
北海道夕張市の衰退が止まらない。現在、北海道知事を務める鈴木直道氏が夕張市長に就任した2011年から12年で市の人口は1万人台から6千人台に減少している。鈴木氏が夕張市長時代だった2016年にはJR石勝線夕張支線新夕張―夕張間16.1kmの廃止を自らJR北海道に対して提案。いわゆる「攻めの廃線」として注目を集め、石勝線夕張支線は2019年3月31日限りで廃止された。
鈴木氏が攻めの廃線を提案した翌年の2017年には、夕張市所有の観光4施設「ホテルマウントレースイ」「マウントレースイスキー場」「ホテルシューパロ」「合宿の宿ひまわり」を格安で中国系企業に売却。その後、この中国系企業は香港系ファンドに高値でこれらの施設を売却し、夕張支線が廃止になった翌2020年12月にこれらの観光4施設の運営会社であった夕張リゾートは倒産。観光を基幹産業としていた夕張市から主力となる観光施設が消滅した。
2023年現在は、この香港系ファンドが新たに設立した夕張リゾートオペレーションという会社が「マウントレースイスキー場」と「合宿の宿ひまわり」を運営しているが、「合宿宿ひまわり」は冬期間閉鎖中で「マウントレースイスキー場」のみがかろうじて営業している状況だ。
夕張支線の廃止・バス転換については、バスが増便され鉄道時代より便利になったことがことさらに主張されたが、夕張市内のバス路線を一手に担っている夕鉄バスのドライバーの高齢化問題が重くのしかかる。夕鉄バスのドライバーは過半数が50代以上だといい、今後、便数の維持がどこまでできるのかは不透明な状況となっている。
さらに鉄道があることによって夕張市を訪問していた観光客も消滅。これはソーシャルゲームアプリ「駅メモ!」の現地での位置登録者のデータから裏付けが取れているそうだ。
現在では、旧夕張駅や夕張市役所周辺には廃墟が広がる街になってしまった。