サイクロン・フォニ、20年ぶりの勢力でインド北東部上陸へ
非常に強い勢力のサイクロン・フォニが、3日インド北東部オリッサ州に上陸する見込みです。この強さで同州に上陸をするのは、死者1万人を出した1999年のサイクロン以来、20年ぶりのことです。
非常に強い勢力でインドに上陸へ
サイクロン・フォニ(Fani)がインドに接近しています。フォニは「蛇」を意味し、北インド洋における今年1号目のサイクロンです。
現地時間2日14時時点のフォニの最大風速は56m/sで、サイクロンの階級では2番目に強い「Extremely Severe Cyclonic Storm(非常に強い)」の勢力です。
フォニは現地時間3日午後にも、インド北東部のオリッサ州に上陸する見込みです。
インド気象局は、上陸時の最大瞬間風速は60m/sに達すると予想しており、藁ぶきの家屋は全壊、マンゴーやヤシの木は倒れ、その他の農作物も広範に被害を受けるおそれがあると警戒を促しています。また降水量は200ミリ超、高潮は1.5メートルに達する見込みです。
こうしたおそれから、当局は低地に住む80万人を避難させたもようです。
史上2つ目、4月生まれの上陸サイクロン
インドのサイクロンシーズンは4月から12月までですが、海水温がまだ低めの4月は、強いサイクロンが発生することは多くありません。
インド気象局によると、4月に発生したサイクロンが、その後インドに上陸した例は、過去118年間で1度しかないようです。
その唯一のサイクロンというのが、2008年のナルギスで、ナルギスはインドに上陸後ミャンマーを直撃し、死者13万人という大惨事を引き起こしました。
フォニも4月に発生しており、もしインドに上陸すれば、ナルギスに続き史上2回目のこととなります。
20年ぶりの最強サイクロン
またフォニが今の勢力のままオリッサ州に上陸すれば、この地域としては1999年以来最も強いサイクロンとなります。
この1999年のサイクロンは中心気圧が921hPaまで下がり、北インド洋史上最も強いサイクロンとして記録されました。高潮の高さは6メートルにも達し、1万人が亡くなっています。
サイクロン発生、次々と
インド洋全体で見ると、今年はこれまでに記録的なサイクロンが連続して発生しています。
3月にはサイクロン・イダイがアフリカ・モザンビークに上陸し、死者1,000人を超える大被害をもたらしました。さらに4月にはケネスがモザンビーク史上最強の勢力で上陸しています。
インド近海のサイクロンシーズンは始まったばかりです。しかしすでに海水温が30℃近くに達していて、例年よりも1℃以上も高い状態となっています。
追記 (5/3)
フォニは現地時間3日8時にオリッサ州に上陸しました。上陸直前の最大風速は51m/sで「Extremely Severe Cyclonic Storm (非常に強い)」の勢力でした。