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大谷の三冠王とアライズの3年連続首位打者。同じ打率で2人が並び、どちらも達成の可能性もある!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・アライズ(サンディエゴ・パドレス)Sep 27, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現在、ナ・リーグの打率トップ2には、ルイス・アライズ(サンディエゴ・パドレス)と大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)が位置している。それぞれの打率は.314と.309。レギュラーシーズンの残りは、パドレスもドジャースも、9月28日~29日の2試合だ。

 アライズは、過去2シーズンとも、首位打者を獲得している。2022年はミネソタ・ツインズで打率.316、2023年はマイアミ・マーリンズで打率.354を記録した。今シーズン、5月初旬のトレードにより、マーリンズからパドレスへ移った。

 大谷は、首位打者を獲得すれば、三冠王となるはずだ。54本塁打と130打点はリーグで最も多く、2位とは15本塁打と19打点の差がある。直近の三冠王は、2012年のミゲル・カブレラ(打率.330、44本塁打、139打点)。その前は、1967年のカール・ヤストレムスキ(打率.326、44本塁打、121打点)まで遡る。

 9月18日の時点で、大谷の打率は.287だった。その後、9月19日~27日の8試合で打率.706(34打数24安打)を記録し、シーズン打率を22ポイント上昇させた(.001=1ポイントとして表記)。24安打の半数は長打。ホームランと二塁打が6本ずつだ。この8試合で、20打点を挙げている。

 ここからの打数(0~10)とヒットの本数により、アライズと大谷のシーズン打率は、以下のようになる。ここには記載していないが、11打数以上もあり得る。

筆者作成
筆者作成

 例えば、アライズが6打数6安打、大谷は10打数10安打だと、表記上のシーズン打率はどちらも.320だが、アライズがわずかに大谷を上回る。

 2人が首位打者を分け合う可能性も、なくはない。こちらも一例を挙げると、アライズが3打数3安打、大谷は10打数8安打なら、シーズン打率はともに.317111459968603だ。ここからの打数からすると、まったく同じ打率になるのは、アライズが出場0試合か1試合、大谷は2試合とも出場の場合だろう。

 パドレスのワイルドカードとドジャースの地区優勝は、すでに確定している。パドレスは、シード4としてポストシーズンに臨むことも決まっている。ドジャースは、白星がフィラデルフィア・フィリーズを上回ればシード1、同数以下だとシード2だ。今シーズン、フィリーズとの6試合で、ドジャースは1勝しか挙げていない。

【追記:9/29】

 アライズは、9月28日のスターティング・ラインナップから外れている。大谷は、出場する予定だ。

 メジャーリーグに前例はないが、日本プロ野球では、2人が首位打者を分け合ったことがある。それについては、こちらで書いた。

「タイトルを分け合った打者たち。本塁打王は10組、打点王は7組、首位打者も2組」

 アライズと大谷が揃って首位打者を逃す可能性も――まず起こらないとは思うが――ゼロではない。

 2人の下には、打率.308のマーセル・オズーナ(アトランタ・ブレーブス)がいる。ブレーブスは、ここから4試合を行う。そこで、オズーナが20打数10安打だと、シーズン打率は.314。現時点のアライズと大谷を凌ぐ。20打数14安打なら、打率は.321まで上がる。

 なお、アライズが単独で首位打者を獲得し、大谷の三冠王を阻むと、2年前と同じような構図となる。アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、2022年に62本塁打と131打点を記録し、両タイトルを手にしたが、打率.311は2位。アライズの後塵を拝した。その差は、5ポイントだった。

 今シーズンも、ジャッジは二冠王となるだろう。58本のホームランを打ち、144打点を挙げている。だが、三冠王は難しそうだ。すでに終了した9月28日の試合は、5打数0安打、5三振を喫した。これにより、シーズン打率は.325から.322まで下がった。ボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)は、9月27日の時点で打率.332を記録している。ここから、ウィットJr.が8打数0安打、ジャッジは5打数5安打でも、ジャッジのシーズン打率はウィットJr.に及ばない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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